ケーキ屋の彼

みー

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2話

5

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「それで、結局その日は会うことできなかったの」

「あら、残念ね」

「また次チャンスがあったらその時話しかけよう!」

 金曜日の出来事の報告を一通り終える。

 今日は珍しく、3人は柑菜の家に来ていた。いつもは、一人暮らしの亜紀の家に行くことが多い。

 家の中に人が2人増えると、雰囲気は一気に明るくなる。

 柑菜も、心なしかいつもよりも笑顔が多い。

 3人で紅茶とクッキーをお供に話に花を咲かせていると、扉の開く音がして春樹が帰ってきたのが分かった。

「あれ、友達?」

 リビングルームに顔だけをひょいと見せた。

「うん、一度だけ会ったことあるでしょ?」

 春樹は、櫻子と亜紀の顔を交互に見ると、思い出したのか「ああ」と声を出した。

「姉がいつもお世話になっています」

 3人のいるリビングルームに顔だけでなく身体も入り込んだ。

 2人は、わざわざ椅子から立ち上がり、春樹に向って一礼をする。

 春樹もそれにつられて、お辞儀を返した。

 亜紀と櫻子は、いつも柑菜から春樹の話を聞いているせいか、本人を前にした時のこの微妙な距離感に、少し違和感を感じる。

 特に櫻子にとっては、その距離感がとても気持ちが悪く、そしてもどかしく感じた。

「あ、どうぞ、座ってください」

 立ったままの2人は、春樹の言葉に従って再び椅子に座った。

「じゃあ、俺部屋行くわ」

 リビングルームを出ようとする春樹に

「せっかくだし、少しみんなで話すのもいいんじゃないかしら」

 と、彼の言葉に重なるように、櫻子はそう提案する。

「そうだね、春樹も座りなよ」

 柑菜にも同じように言われた春樹は、とりあえず鞄を部屋に置いてきて再びリビングに姿を現した。

 戻って来た春樹は、4つの椅子のうち空いている1つの椅子に腰かける。

 そこは、櫻子の向かいの席だった。

「今、金曜日の話してたの、ケーキ屋のね」

「ああ、あの時の」

 思い出すように春樹は言った。

「2人とも、私の好きな人のことも知ってる」

「私たちなんですよ、弟と2人で行けば話しやすいんじゃないかって提案したの、もし迷惑かけていたらすみません」

 亜紀は、頭をぺこっと下げた。

 櫻子もつられて頭を下げる。

「いや、あそこには一度行こうと思ってたので、逆によかったです」

 春樹も亜紀も、聞きなれない敬語で話しいるせいで、なんとなくその場に流れるお堅い空気に違和感を覚える。櫻子だけは、いつもと変わらず丁寧な話し方をしているが。

 その空気を壊すように、柑菜は「ねえ、みんな同い年なんだからタメ語でいいんじゃない」と言った。



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