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土曜日、櫻子と柑菜はホームパーティ用の料理を、レシピを見ながら作っている。
櫻子の立派な家の一角にある、広々としたキッチンは、2人が並んでもまだまだ余裕があった。
白が基調のキッチンは、清潔感が漂う。
キッチン用品は、まるで新品であるかのように綺麗なもので揃えられていた。それに、家電も最新のもので、ここにいればなんでも作れそうな気がしてくる。
ドアの近くには、西音寺家のメイドが1人立っていて、2人の様子を見ている。
キッチンの壁に掛けられた時計は、櫻子が出かける5分前を指していた。
「じゃあ、私は出かけるわ。真波さん、柑菜ちゃんのお手伝いよろしくね」
櫻子は、メイドに向かってそう言った。
その光景を見た柑菜は、櫻子とは住む世界が違うんだなと、改めてしみじみと思う。
「承りました」
真波の洗練された声が、柑菜の耳に入る。
櫻子はエプロンを外し、「じゃあ行ってくるわ」と柑菜に告げ、キッチンを後にした。
柑菜は、ケーキ屋に向かうその後ろ姿を羨ましそうな視線で見つめていた。
慣れないキッチンで、ほぼ初対面の真波と2人きりになった柑菜は、緊張している。
「柑菜さま、なにをお手伝いしたらよろしいでしょうか?」
真波は早速柑菜に話しかける。
柑菜は、柑菜さま、という言葉に慣れずにそわそわとしていた。
「じゃあ、これと同じものをあと10個作っていただけますか?」
「かしこまりました」
ちょうど完成した生春巻きを真波に見せる。
中には、エビやレタス、きゅうりや人参が具材として入っていた。
真波はそれを見て、手際よく具材を乗せ巻いていった。
「真波さん、じょうずですね」
「料理は得意なもので」
普段あまり褒められることのない真波は、柑菜に褒められ、ポーカーフェイスを崩してどこか恥ずかしそうな表情を浮かべた。
そして、あっという間に10個の生春巻きを完成させる。
「それにしても、3人でこの量って多いと思いませんか?」
柑菜は、午後から作っていた料理の品を見て、真波に同意を求めた。
「3人、ですか?」
その返しに柑菜は少し疑問に思いつつも、会話を続ける。
「はい、私と櫻子と今日が主役の友達の3人です」
柑菜は、他に誰かいたかなと確かめながら数を数えた。
「そうですね、少し多いかもしれませんね」
何かを悟ったように、真波は先ほどの『3人、ですか?』という質問がなかったかのように、そう答える。
「でも、足りないよりはいいんじゃないでしょうか」
真波は、正当な理由で柑菜を納得させる。
「そうですね……あ、じゃあ次はこの林檎の皮を向いていただけますか?」
赤色の林檎を、真波に渡す。
「はい」
櫻子の立派な家の一角にある、広々としたキッチンは、2人が並んでもまだまだ余裕があった。
白が基調のキッチンは、清潔感が漂う。
キッチン用品は、まるで新品であるかのように綺麗なもので揃えられていた。それに、家電も最新のもので、ここにいればなんでも作れそうな気がしてくる。
ドアの近くには、西音寺家のメイドが1人立っていて、2人の様子を見ている。
キッチンの壁に掛けられた時計は、櫻子が出かける5分前を指していた。
「じゃあ、私は出かけるわ。真波さん、柑菜ちゃんのお手伝いよろしくね」
櫻子は、メイドに向かってそう言った。
その光景を見た柑菜は、櫻子とは住む世界が違うんだなと、改めてしみじみと思う。
「承りました」
真波の洗練された声が、柑菜の耳に入る。
櫻子はエプロンを外し、「じゃあ行ってくるわ」と柑菜に告げ、キッチンを後にした。
柑菜は、ケーキ屋に向かうその後ろ姿を羨ましそうな視線で見つめていた。
慣れないキッチンで、ほぼ初対面の真波と2人きりになった柑菜は、緊張している。
「柑菜さま、なにをお手伝いしたらよろしいでしょうか?」
真波は早速柑菜に話しかける。
柑菜は、柑菜さま、という言葉に慣れずにそわそわとしていた。
「じゃあ、これと同じものをあと10個作っていただけますか?」
「かしこまりました」
ちょうど完成した生春巻きを真波に見せる。
中には、エビやレタス、きゅうりや人参が具材として入っていた。
真波はそれを見て、手際よく具材を乗せ巻いていった。
「真波さん、じょうずですね」
「料理は得意なもので」
普段あまり褒められることのない真波は、柑菜に褒められ、ポーカーフェイスを崩してどこか恥ずかしそうな表情を浮かべた。
そして、あっという間に10個の生春巻きを完成させる。
「それにしても、3人でこの量って多いと思いませんか?」
柑菜は、午後から作っていた料理の品を見て、真波に同意を求めた。
「3人、ですか?」
その返しに柑菜は少し疑問に思いつつも、会話を続ける。
「はい、私と櫻子と今日が主役の友達の3人です」
柑菜は、他に誰かいたかなと確かめながら数を数えた。
「そうですね、少し多いかもしれませんね」
何かを悟ったように、真波は先ほどの『3人、ですか?』という質問がなかったかのように、そう答える。
「でも、足りないよりはいいんじゃないでしょうか」
真波は、正当な理由で柑菜を納得させる。
「そうですね……あ、じゃあ次はこの林檎の皮を向いていただけますか?」
赤色の林檎を、真波に渡す。
「はい」
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