ケーキ屋の彼

みー

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5話

3

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 一方、櫻子と柑菜は秋斗の横顔を見つめる春樹を見つけてしまっていた。

「ねえ、怪しくない?」

「本当ね、視線もなんだかいつもと違う感じが……」

 春樹が2人の様子に気が付くことはなかった。

「ねえ、それより、海楽しみだね」

「ええ、今日の夕食はカレーよね?」

「そう、みんなで作るカレーライス。夏って感じ」

 春樹から視線を外した2人は、これからのことについて話して盛り上がる。

 すると、廊下を2人の隣に座っていたおばあさんが2人に話しかけた。

「おやまあ、楽しそうだねえ」

 そのおばあさんは、人懐っこいにこやかな笑顔を浮かべる。

 2人は、そのおばあさんに同じような表情で話し返す。

「はい。これから海に行くんです。夏休みだし楽しもうって」

 おばあさんは、「いいわね~。若いって」と、首をゆっくり縦に振っている。

「はい、すごく楽しみなんです」

「青春だねえ」

 おばあさんは、どこか懐かしむように2人にそう言った。

 きっと、おばあさんにも若き日々があり、こうやって友達同士で楽しんだのだろうと2人は思う。

「友達との時間は貴重だから、大事にするんだよ」

「はい、大事にします」

 柑菜と櫻子は顔を見合わせて微笑みあった。

 そのうち、電車は柑菜たちの目的の場所に着く。

 その頃には、電車の中は同じく海に来る人で溢れていた。

「じゃあ、失礼します」

「じゃあねえ」
 
 おばあさんに会釈をして、2人は電車降りた。

「みなさん、こちらです」

 駅から出て、6人は櫻子の別荘に向かった。

 海沿いに立つ、緑に囲まれた一軒家。

 自然に囲まれたこの立地は、夏の暑い季節の避暑地にはぴったりだ。

 5人は、櫻子に案内されてそれぞれの部屋に荷物を置く。

 女子チームは広めの部屋で4人1部屋、男子チームは2人1部屋。

「海が目の前にあるなんて、素晴らしいわ」

 美鈴は、なにやら指でアングルを作っている。1人納得をしたように「うん」と頷いた。

「じゃあ、下降りようか」

 4人でワイワイとお喋りをしながらリビングに向かうと、春樹と秋斗はすでにソファに座っていた。

「みんな楽しそうだね」

「秋斗も楽しみなよ~。普段ケーキばっかり作ってるんだから」

「まあ、それが仕事だし、なにより楽しいからね。でも、せっかくの休みだし満喫するよ」

 柑菜は、タメ語で話し合う2人を見て羨ましいと感じてしまう。

 敬語だと、やはりどこか壁を感じてしまい、遠慮がちになってしまうから。
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