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5話
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しおりを挟む「この後どうする?」
亜紀は、アーモンド入りのヌガーを片手に、不特定の人にそう聞く。
みんなは、クッキーやマドレーヌを食べながら考えている。
「そういえば、この近くに緑地の散歩コースがあるの。そこをみんなでゆったりと歩くなんていかがでしょう」
「それいいね」
櫻子の提案に、秋斗が賛成する。
他のみんなも、「うん、いいと思う」と口を揃えて言った。
柑菜は「せっかくだし、このお菓子も持って行きません?途中で休憩しながら食べるのもいいと思うし」と言う。
それにも、みんなは首を縦に振った。
櫻子はキッチンからバスケットカゴを持ってきて、お菓子をそれに入れる。
それを見た春樹は「俺持つよ」と、櫻子からカゴを受け取った。
それぞれ、この暑さ対策用に帽子や飲み物を持つと、準備は整い6人は玄関を出た。
別荘から少し歩いたところに、看板が立っている。
その看板には矢印と散歩道という文字が記してあった。
少し先に、大人の男女2人組が散歩をしている姿が見える。
仲が良さそうな2人は、夫婦であるのだろう。
穏やかな笑顔を浮かべて、ゆったりとこの場を楽しんでいるように見えた。
左右を木で囲まれ、その間から漏れる光が道を照らし、まるでどこか天国のような雰囲気を感じさせた。
柑菜は大きく息を吸うと、ゆっくりとそれを吐く。
自然の汚れのない空気は、いつも住んでいる都会のものよりも格段と気持ちのいいものだ。
秋斗と亜紀が一番前を歩き、その後ろを柑菜たちが歩いている。
「非日常感がすごくいいわね。絵を描きたくなるわ」
美鈴は、太陽の光を受ける木々の葉を、目を細めて見ている。
その横顔を、春樹は愛おしそうに眺めている。
そしてその春樹の顔を、心苦しそうに見る櫻子に、3人を複雑な思いで見ている柑菜。
この美しい自然とは裏腹に、この3人の関係はなんとも複雑で入り組んでいた。
少し歩くと、広場のようなところにたどり着く。
ベンチが置いてあり、座って休憩するにはちょうど適した場所だった。
みんなは、春樹からお菓子を受け取ったり、持ってきた飲み物を飲んだりしている。
ベンチに座って耳をすますと、鳥の鳴き声やセミの鳴き声がこの自然に響き渡っていた。
「ねえ、柑菜。ちょっといい?」
座っている柑菜に、亜紀が話しかける。
「うん、いいよ」
亜紀は柑菜を、みんなから少し離れたところに連れて行った。
それはあくまで不自然ではなく、自然な形で。
そして、眉毛を下げて申し訳なさそうな顔をして話し始めた。
「あのね……柑菜には言いづらいんだけど、秋斗さん、美鈴さんのことが好きなんだって」
いつもよりも低いトーンで、それを柑菜に伝える。
「え?」
柑菜は、心の中で積み上げてきた思いが崩れていくのが分かった。
それは、がらがらと音を立てる。
「あとから2人が付き合うのを知るよりも、先に知っておいた方が、ダメージ少なくなるでしょ?」
「そうだね……わざわざ教えてくれてありがとう」
亜紀は、柑菜の肩を抱くと「元気出して」とエールを送った。
柑菜は笑顔を作るも、その目には力がない。
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