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5話
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しおりを挟む「あ、ありがとう」
顔を見なくても分かる美鈴の照れた様子に、柑菜は視界だけでなく聴覚すら閉じたくなってしまう。
「ちゃんと見て歩い「あ、あの……。私そういえばさっき一つ買い忘れてた物があったんですよ、だから今から戻って櫻子たちのチームに合流しますね」
早口でそれを2人に伝えた柑菜は、そこにいるのが耐え切れずに2人の返事を聞く前に走ってきた道を戻る。
柑菜の耳に、かすかに秋斗の「柑菜ちゃん!」と叫ぶ声が聞こえた。
けれど柑菜は、それには一切振り向くことはなかった。
いや……振り向くことができなかった。
一本道は、迷う心配もなく、すぐにあの分かれ道にたどり着く。
ーーこんなことになるなら、櫻子にどっちの道を選ぶのか聞けばよかった……。
そう思いながら、柑菜は櫻子たちを追いかけるために走ってもう一つの道を進んだ。
「ちょっと止まって。写真撮るから!」
花の道を選んだ櫻子たちは、写真を撮るために立ち止まりを繰り返しながら進んでいた。
そこには、夏に咲く様々な色の花が咲いていて、ちょうど写真スポットのようになっている。
色あざやな花は、その場の雰囲気を華やかにする。
亜紀は携帯を出して、いろいろな角度で花を写真に収めている。その姿はまるで写真家のようだった。
そんな亜紀たちに、柑菜はすぐに合流した。
「あれ、柑菜?」
一番初めに気づいたのは、双子の弟の春樹だ。
「柑菜ちゃんどうしてここに?」
「こっちってスーパーに続く道でしょ? 途中で買い忘れたの思い出して」
「へへっ」と笑う柑菜に、「もう柑菜ちゃんったら」と疑う様子もなく櫻子は途中で合流した柑菜を受け入れた。
ただ、亜紀だけは柑菜がここに来た理由をなんとなく感じ取っているようである。
「それより、3人は進むの遅いね」
「写真撮りながら進んでるからかしら」
あくまでもマイペースの3人は、そのことを何も気にしていない様子だ。
その3人の様子を見て、柑菜は落ち着きを取り戻す。
ーーやっぱり、櫻子たちといるほうが楽しい……。
春樹は、なにやら座り込み、小さい雑草をじっと見ていた。
「何やってるの?」
「なんか、葉っぱの模様が面白いなと思って」
柑菜も、同じようにしゃがみ、春樹とは違う雑草をガン見する。
風に揺られたり、虫の通り道になったり、観察をしているとさまざまな物語を見ることができる。
春樹とは違うけれど、確かにこうやって観察することは面白い。
「そろそろ進む?」
流石に遅すぎると思った柑菜は、3人にそう叫んだ。
散らばっている3人は、同時に「うん」と返事をする。
先ほどとは違い、3人と合流した柑菜は笑ったり驚いたりしながらこの散歩道を楽しんだ。
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