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6話
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しおりを挟む「柑菜ちゃん、人参の大きさはこれでいいかしら?」
普段料理をしない人参を担当している櫻子は、困っていた。
ーー料理くらい、やっておくべきだったわ。
包丁を持つ手もなんだか不器用で、その様子を見ている方がハラハラしてしまう。
「うん、そんな感じでいいと思う。でも、もう少し大きくてもいいかな」
可愛らしいサイズの人参は、子供にはきっと大変好かれるだろう。
でも、ここにいる皆は大学生以上で、その人たちにとっては少し小さい。
櫻子のアドバイスをしながら、柑菜は手つきよく玉ねぎを切っていた。
その隣でジャガイモの皮を剥いている春樹は、目を抑えて上を向いている。
「柑菜……玉ねぎが……」
その目には、涙が溜まっていた。
もちろん、悲しいわけでもなく笑いすぎたわけでもない。
「ごめん、でも、我慢して」
謝りつつも、玉ねぎを切る手を止めない柑菜。
もちろんカレーに玉ねぎが必要なことを知っている春樹は、それ以上は何も言わない。
玉ねぎをテンポよく切る音が、キッチン中に鳴り響く。
「待ってて、すぐ切り終わるから」
ティッシュで涙をふく春樹の隣で、すごい勢いで玉ねぎを切っている柑菜の姿は笑いを誘った。
切るものを切り、炒めるものを炒め終わったところで、あとは煮込む作業だけが残っていた。
大きい鍋に入れられた具材たちは、音を立てている。
ぐつぐつという音は、食欲をかき立たせる。
ちょうどよいところでカレーのルーを入れ少し待っていると、お腹を空かせる匂いがキッチンに充満してきた。
「煮込んでいる間、ちょっと休憩しようかな」
秋斗は鍋に蓋をして、リビングのソファに座った。
それに続き、春樹も冷蔵庫から飲み物を取り出してテーブルの上に置き、ソファに座る。
美鈴はコップを6つ用意すると、その飲み物の横に置いた。
「カレー楽しみだね」
「カレーといえば、学食のカレーってクオリティ高くない?」
美鈴は、「よく分かんないけど、とにかく美味しいの」とそれに続けて言う。
「分かります、美味しいですよね、学食のカレー」
「そんなに美味しいの?」
唯一学食とは縁のない秋斗が、興味津々に学食のカレーについて聞いてきた。
「そう、秋斗今度食べに来たらいいよ」
「行きたいな」
柑菜はつい、キャンパス内を歩く秋斗を想像してしまう。
ーー絶対、モテるだろうなあ。
そう考えると、来てほしいとは思う反面なんだか来てほしくないような気もすると矛盾している柑菜だった。
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