ケーキ屋の彼

みー

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6話

3

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 学食のカレートークに幕を閉ざした6人は、アイスコーヒーを飲みながら旅番組を観ている。

 その旅番組のテーマは『京都』。

 テレビに映っている京都は先取りをしていて、赤や黄色の鮮やかな風景を見ることができた。

 景色だけではなく、京都の美味しそうなお菓子や料理も映されていて、皆はそれに、釘付けになっている。

 そんな時

「みんなは京都って行ったことある?」

 と、誰かがお決まりの質問をする。

「毎年家族と行ってるよね」

「うん」

 春樹と柑菜の家では、年末年始に京都で過ごすことが恒例になっていた。

 だから、毎年初詣は家族とで、柑菜や春樹は、友達や恋人とその日を過ごした経験がない。

「京都でデートとかしてみたいなあ……」

 何気なく柑菜が言った言葉に、みんなは鋭く反応する。

「柑菜さんは付き合っている人いるの?」

 唯一柑菜の好きな人を知らない秋斗が柑菜にそう質問をした。

「い、いないですよ」

「そうなんだ」

 周りの皆は、なにを言ったらいいのか困っている様子で黙っている。

 下手に何かを言っても、柑菜を困らせるだけかもしれない。

 そんな微妙な空気を美鈴は、話題を無理やり変えた。

「そういえば、柑菜ちゃんって春樹くんの好きな人知ってる? 聞いてもはぐらかされちゃって」

「えっと……そういう話しないので分かんないです」

 しかし、話題転換したあとの話題もまた、その場に気まずい雰囲気をもたらしてしまった。

 まさか、あなたですよ美鈴さん、と言えるはずもない。

「私カレー、見てきますね」

 この雰囲気に耐えきれそうにないと感じた柑菜は、カレーに逃げる。

 柑菜が席を立った数秒後、秋斗も席を立った。

 それに気がつかない柑菜は、誰にも見られていないと思い「ふう」とため息をつく。

「疲れたの?」

「あ、秋斗さん!」

 いきなり聞こえてきた甘い声に驚く柑菜。

 てっきりソファに座っているとばかり思っていたため、目を丸くしている。

 ーー心臓、止まるかと思った。

「ごめんね、驚かせるつもりはなかったんだ」

 柑菜の様子を見て、焦りながら謝る秋斗。

「いえ、こちらこそなんだかすみません……」

「実はね、これをカレーに入れるために今ここに来たんだ」

 秋斗は冷蔵庫からチョコレートを一欠片取り出し、カレーの中に入れた。

「よく知られた隠し味だけどね」

 口角を上げて言う秋斗の顔を、柑菜はつい見つめてしまう。

 ーー可愛い笑顔……。

 柑菜にとって完璧であるその笑顔に、つい見惚れてしまう。

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