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9話
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少し重くなった空気を変えようと、柑菜は話題を変えた。
「そういえば、渡辺くんは作曲勉強してるんだよね?」
「そう、作曲って意外と理論的で数学や科学みたいなんだ」
「そうなんだ、初めて知ったよ」
柑菜は、知らない分野の話に興味津々の様子だ。
特に、音楽に関してはいつも隣に音楽棟があるのにほぼ関わりがなく、生徒が練習をしている音しか聞いていなかったために、音楽の生徒の話を聞くことができるのは貴重であった。
「柑菜さんの描く絵をイメージして作曲をすることだってできる」
「それ楽しそう……!」
「柑菜ちゃん、空の言葉に乗ってもいいことないわよ」
呆れたように櫻子は言った。
それに、空が本気で柑菜のことが好きなのかどうかもいまだに疑いを持っている。
「だから柑菜さん、ぼくのこと本当に真剣に考えてくれないか?」
「え……」
『だから』の意味がいまいち分からなかった柑菜だったが、その真剣な瞳には嘘がないように思えた。
「柑菜ちゃんが困ってるじゃない」
「あはは、ごめん」
「柑菜ちゃんには……」
櫻子はそこまで言うと、それ以上言うのをやめた。
「分かってるよ」
櫻子が言いたいことを空は分かっているようで、ただ一言そう相槌を打つ。
柑菜は緊張をほぐそうと、乾いた喉を潤すために、目の前の紅茶を一口飲んだ。
それはなんだか、さっき飲んだ時よりもほろ苦く感じた……。
「そろそろ時間だ」
空は腕にしてある時計を見ると、何か用事があるようでカフェを出る準備を始める。
「名残惜しいけど、あとは2人で楽しんで」
その言葉を残すと、あっという間に空はカフェからいなくなった。
「柑菜ちゃん、ごめんなさい。なんだか面倒なことになって」
「大丈夫だよ、渡辺くんも悪い人じゃなさそうだし」
「そうね、根は悪くないからこそ、余計に柑菜ちゃんに惚れて欲しくなかったわ」
柑菜は、残ったパンプキンパイを一口で全て食べる。
『一緒にいたら、きっと楽しいんだろうな』と考えてしまった自分が、少し分からなくなる柑菜。
秋斗が好きなのに、空のこともなぜか気になってしまう。
「柑菜ちゃんがどういう選択をしても、私は応援するわ」
「……うん、ありがとう」
自分の考えていることが分かってしまったのだろうか、柑菜は櫻子の顔を見てそう思う。
「……空も結婚は自由にできないはずなの、それでもあの人は自分の心に素直でいる。」
「そう、なんだ」
空もまた櫻子と同様、自由を奪われ籠の中に入れられた王子様。
なのに、自分を好きだという空のことを考えると、柑菜は胸が締め付けられる。
ーーどんな思いで私に告白してきたのか。
柑菜は少しもその心を読み取ることなんでできなかった。
秋斗が好きなのに、揺れてしまいそうな心に柑菜は自己嫌悪に陥る。
でも、心は簡単にコントロールできるものではないことを、柑菜は知っていた。
「そういえば、渡辺くんは作曲勉強してるんだよね?」
「そう、作曲って意外と理論的で数学や科学みたいなんだ」
「そうなんだ、初めて知ったよ」
柑菜は、知らない分野の話に興味津々の様子だ。
特に、音楽に関してはいつも隣に音楽棟があるのにほぼ関わりがなく、生徒が練習をしている音しか聞いていなかったために、音楽の生徒の話を聞くことができるのは貴重であった。
「柑菜さんの描く絵をイメージして作曲をすることだってできる」
「それ楽しそう……!」
「柑菜ちゃん、空の言葉に乗ってもいいことないわよ」
呆れたように櫻子は言った。
それに、空が本気で柑菜のことが好きなのかどうかもいまだに疑いを持っている。
「だから柑菜さん、ぼくのこと本当に真剣に考えてくれないか?」
「え……」
『だから』の意味がいまいち分からなかった柑菜だったが、その真剣な瞳には嘘がないように思えた。
「柑菜ちゃんが困ってるじゃない」
「あはは、ごめん」
「柑菜ちゃんには……」
櫻子はそこまで言うと、それ以上言うのをやめた。
「分かってるよ」
櫻子が言いたいことを空は分かっているようで、ただ一言そう相槌を打つ。
柑菜は緊張をほぐそうと、乾いた喉を潤すために、目の前の紅茶を一口飲んだ。
それはなんだか、さっき飲んだ時よりもほろ苦く感じた……。
「そろそろ時間だ」
空は腕にしてある時計を見ると、何か用事があるようでカフェを出る準備を始める。
「名残惜しいけど、あとは2人で楽しんで」
その言葉を残すと、あっという間に空はカフェからいなくなった。
「柑菜ちゃん、ごめんなさい。なんだか面倒なことになって」
「大丈夫だよ、渡辺くんも悪い人じゃなさそうだし」
「そうね、根は悪くないからこそ、余計に柑菜ちゃんに惚れて欲しくなかったわ」
柑菜は、残ったパンプキンパイを一口で全て食べる。
『一緒にいたら、きっと楽しいんだろうな』と考えてしまった自分が、少し分からなくなる柑菜。
秋斗が好きなのに、空のこともなぜか気になってしまう。
「柑菜ちゃんがどういう選択をしても、私は応援するわ」
「……うん、ありがとう」
自分の考えていることが分かってしまったのだろうか、柑菜は櫻子の顔を見てそう思う。
「……空も結婚は自由にできないはずなの、それでもあの人は自分の心に素直でいる。」
「そう、なんだ」
空もまた櫻子と同様、自由を奪われ籠の中に入れられた王子様。
なのに、自分を好きだという空のことを考えると、柑菜は胸が締め付けられる。
ーーどんな思いで私に告白してきたのか。
柑菜は少しもその心を読み取ることなんでできなかった。
秋斗が好きなのに、揺れてしまいそうな心に柑菜は自己嫌悪に陥る。
でも、心は簡単にコントロールできるものではないことを、柑菜は知っていた。
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