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10話
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しおりを挟む「それより、柑菜ちゃん、秋斗さんへのクリスマスプレゼントはどうするの?」
「何が良いのかな……秋斗さんが欲しそうなものって思い浮かばない」
パテシエの秋斗に甘いものを贈ることは到底有り得ないだろうし、かと言ってなにか残るものをプレゼントするにはまだまだそこまでの関係ではない。
柑菜はいろいろとプレゼント候補になりそうなものを考えているが、なかなか良いものが思い浮かばないでいる。
「柑菜ちゃんが選ぶものなら、きっとなんでも嬉しいはずよ」
「えへへ、そうかな?」
「きっとそう」と、櫻子は本当に嬉しそうな笑顔を浮かべて柑菜の話を聞いていた。
そんな笑顔を見る柑菜は、心の中にある疑問を櫻子に問いてみたくなる。
「櫻子は……クリスマスどうするの?」
「私は、亜紀と過ごそうかしら」
ふふっと笑う櫻子だが、柑菜はその笑顔を見ると心がぎゅっとなる。
きっと、好きな人と過ごしたいはずなのに、それを必死で抑えつけて……。
「じゃあ、24日に私の家でクリスマスパーティーやらない? 去年みたいに! 去年は櫻子の家だったけれど、今年は私の家にしよう」
それならきっと、春樹と櫻子が一緒に過ごせるはず、そう柑菜は思う。
「迷惑じゃないかしら?」
「大丈夫だよ」
今日の夜にでも春樹にお願いをしようと思う柑菜。
それに、単純に今年のクリスマスも友達と過ごしたいと思っていた柑菜は、秋斗とのクリスマスだけじゃなく柑菜や亜紀とのクリスマスも心待ちにしている。
好きな人とのクリスマスもいいけれど、気の知れた仲間とのクリスマスも最高の日だ。
「今年も、プレゼント交換会する?」
「そうね、みんなプレゼントのセンスが良くて私もセンス磨かないと」
「櫻子のプレゼントも可愛いよ」
2人は、すっかりクリスマスの話題で盛り上がっている。
ちなみに、去年のプレゼントは腕時計や有名チョコレート店のチョコ詰め合わせだった。
そのうち、授業を終わらせるためのチャイムが校内に響き渡る。
楽しい話をするときは、時間があっという間に過ぎてしまうものだ。
「授業、行こっか」
チャイムと同時に、2人はラウンジを後にした。
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