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11話
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しおりを挟む午後6時半。
インターホンが部屋の中に鳴り響き、来客を伝えた。
「今日は呼んでくれてありがとう」
扉を開けると、秋斗と美鈴が寒さで顔を赤くさせていた。
外はやはり寒いらしい。
家の中に入ると、2人は手袋やマフラーを外して暖かさにほっと一息ついているよう。
柑菜は、秋斗の姿を見ると、頰が緩んでにやけてしまう。
秋斗が近くにいるだけで、柑菜の心は高まってしまう。
いつからこんなに好きになってしまったのかな……なんて柑菜は自問するけれど、答えは分からない。
ただ、分かることは、とても秋斗のことが好きだということ。
「柑菜さん、今日は呼んでくれてありがとう」
柑菜の目の前に立つ秋斗。
「はいっ、ぜひ楽しんでいってください!」
「うん」
言いながら、秋斗は柑菜の頭の上に自分の手を置いた。
「あ、秋斗さん……」
大きい手が優しく柑菜の頭を撫でる。
「あ、ごめん、なんか……ううん、なんでもない」
秋斗は、顔を真っ赤にして柑菜から目を逸らす。
可愛かったからつい、その言葉を秋斗は柑菜に伝えるには、勇気がまだなかった。
自分のことをもし好きじゃなかったら、そんなことを考えると、あともう一歩を踏み出せないでいる。
でも、自惚れてしまう自分もいることに、秋斗は悶々としていた。
柑菜は、顔を赤くしている秋斗の姿を見て、益々その気持ちが高まってくる。
だから、ついこんなことを言ってしまう。
「秋斗さん……あの……明日、話したいことがあるんです」
「…………うん、分かった」
秋斗は、その言葉を聞くとどうしてもやはり自惚れの気持ちが湧いてきてしまう。
でも、どうにかそれを押し込めて平静を装うも、周りの人たちはそんな秋斗をニヤついた目で見ていた。
「お2人さん、そろそろいいですか?」
飲み物の注がれたカップを片手に持った美鈴が、2人の世界の中に割り込んできた。
「あ、はい!」
柑菜は思わず、大きな声を出してしまう。
みんなに見られていたかと思うと、顔から火が出そうな思いの柑菜。
秋斗もまた、さきほどよりも顔を赤くさせていた。
「はい、これ持って。乾杯してパーティ始まるから、そしたらまた2人の世界へ」
「美鈴さんっ、そ、そんな、2人の世界なんて……みんなで楽しみましょう」
柑菜は、みんな、という言葉を強調させて、美鈴の背中を押してみんなの元へ向かった。
その後ろを、秋斗は柑菜の背中を見つめながら追いかけていった。
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