ケーキ屋の彼

みー

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12話

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 12月25日。

 それは、ここ日本においては恋人たちが一緒に過ごすロマンチックな日。

 イルミネーションで輝く街中、大きなクリスマスツリーの前でワンピースにコートを羽織って立っているの姿は、まぎれもなく柑菜だ。

 片手に持つ、少し高めのお店の袋。

 携帯の時計を見ながら、少し早かったかなと思う今の時刻は夜の6時18分。

「お待たせ」

 柑菜が時間を確認したすぐ後に、柑菜の大好きな人の声が聞こえてきた。

「はいっ……。私も、今来たところです」

 クリスマスのムードもあってか、柑菜はいつも以上に緊張していた。

「うん、……とりあえず、レストラン行こうか。実は、予約してあるんだ」

「ありがとうございますっ」

 秋斗は、さりげなく柑菜をエスコートする。

 柑菜は、それを感じ取ることのできる余裕もないほどに緊張していた。

「ここです」

 数分歩いたところにある、お洒落なフレンチレストラン。

「ここ、いいんですか?」

 普段は柑菜が来ないようなところに、ついそんな言葉が出て来てしまう。

 それに、こんなところで2人で食事をするなんて、緊張が今よりも何倍にもなってしまうと、柑菜は息を止めていた。

「せっかくのクリスマスだし……それに、柑菜さんの話の前に僕から伝えたいことがあるから。ここならゆっくり話せる」

「はい、そうですね」

 いつもとは違う、なにかを決意したかのような秋田の眼差しに、柑菜は視線をそらすことができず、その目をじっと見つめる。

 ーー吸い込まれそう……。

 まるでビー玉のような目は、街の光を反射して輝いている。

「入りましょう」

 そう言われるまで、柑菜はその瞳を見つめ続けてしまっていた。






「こちらがスープでございます」

 席に着くと数分で、料理が運ばれて来た。

「いただきましょうか」

「はい」

 2人とも、どこか硬い表情で向かい合って座っている。

 でも、それはもちろん相手を警戒しているものではなく、極度の緊張からくるもの。

 なにを話そう、と柑菜はスープを飲みながら考えている。

「柑菜さんは、クリスマス好きですか?」

 すると、秋斗のほうから柑菜に質問を投げかけてきた。

「はい、イルミネーションとか綺麗だし、神聖な感じがして好きです。いつか、ヨーロッパの本場のクリスマス、味わってみたいって思ってます」

「そうなんだ、……パリとかいいよねきっと。…………柑菜さん、今ちょっといいかな?」

「……はい、いいですよ」

 そう柑菜が返事をしてから、少しの間沈黙が流れる。

 その間に、ウェイトレスが前菜を運んで来た。

 そのウェイトレスが去り、秋斗は意を決したように話し始めた。

「僕、実は柑菜さんに一目惚れしたんです、初めて柑菜さんがケーキ屋に来た時に」
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