79 / 82
11話
7
しおりを挟む「でも、僕、空さんに初めて会ったあの日、かっこ悪かったですよね。敵意むき出しにしてしまった」
「いえ、好きな人に対してはそれくらいがちょうどいいですよ! 僕、あの時の姿を見て本気なんだなって思いました」
「ははっ、そうですね」
春樹も隣でうんうんと頷いている。
実は、春樹も秋斗のことを初めて知った時に、秋斗に対して嫉妬をしてしまっていたのだ。
自分よりも幼い頃から同じ時を美鈴と過ごしてきた秋斗。
それだけでなく、美鈴の片思いの相手でもあった。
それに、今ではもう過去のことだが、少しだけなんとなく気になっていた櫻子のことも、空という人物を知って少しだけ穏やかではなかった。
美鈴と櫻子、結局やはり春樹が好きなのは美鈴だ。
春樹と空は似ている。
同じように1番好きな人がいて、だけど振り向いてもらえないと諦めかけてほかの気になる人もできるけれど、やはり心の中にずっといるのは1人だけ。
「俺も、頑張ります」
「春樹さんも好きな人いるんですか?」
「ええ、まあ……」
照れ臭そうに視線を外しながら話す春樹に、空は肩を叩き『うんうん』と頷いている。
春樹は、なんだよ、と言いながら顔を赤くしていた。
「そろそろ、時間も遅いしお開きにしましょうか」
パーティも時間が大分経ち、時計は夜の10時を指していた。
「そうだね、明日は明日で用事がある人もいるもんね」
美鈴がそういうと、みんなは秋斗と柑菜をニヤニヤとした表情で見ている。
柑菜と秋斗は、そのみんなの視線から逃れるように2人目を合わせて苦笑いを浮かべた。
「じゃあ、最後に写真撮りませんか?」
空は携帯を手に、みんなを並ばせる。
秋斗の隣には、もちろん柑菜の姿が。
いつもは触れない距離にいるけれど、今は腕と腕が触れて、なんだかそこが熱く感じる柑菜。
「じゃあ、ボタン押して10秒後に!」
空は、そういった瞬間素早くみんなの元へ行く。
「じゃあ、また来年」
「うん、じゃあまた来年」
写真も撮り終え、柑菜と春樹はみんなを玄関の外まで送る。
見えなくなるまで、2人は4人に向かって手を振るのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる