妖の木漏れ日カフェ

みー

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始まりの夏

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「すごく奇麗な色ね」

「ああ、そうだね」

 そう話す2人の声が聞こえてくる。

 自分がハーブティを淹れたわけじゃないのに、お客さまのプラスな声を聞くことができるのはすごく嬉しい。

 なんとなくだけれど、お店を経営する楽しさっていうか、やりがいっていうかそういうのを少しでも感じ取ることが出来ているような気がする。

 本当は、もっともっと大変なこともたくさんあるんだろうけど、きっとそれ以上に心満たされることも多いはず。

 特に、カイさんのように自分で食材を手作りするならなおさら。

「いいですね。自分の料理で人を笑顔に出来るなんて」

「まあな。1人でも美味しいと言ってくれる人がいると、明日も頑張ろうって思えるんだ」

 カイさんは、誇り高い顔をして言った。

 自分のお店が大好きなんだなって、その顔を見ると伝わってきて私ももっとここを好きになりたいと思う。

「はいっ」












 今日は定休日で、ヤクモさんと花火を買いに行く約束をしていた。

 庭に咲いている生き生きとした艶やかな野菜を見ていると、ヤクモさんが来る。

「よっ、早速買いに行こうぜ」

「はいっ、行きましょう」

 今日は買い物のほかに、もう1つやりたいことがあった。最近気になっている地震について、何か本がないかどうかを探すこと。

「ヤクモさん」

「ん?」

「古本屋さんってありますか?」

「おお、あるぞ」

「そこにも行きたいんですけど、いいですか?」

「よし、じゃあ先にそっちに行くか」

「はい」

 普通の本屋さんより、古いものを売っている本屋さんの方がなんとなくそれ関係の本がありそうな気がするのは、きっとアニメとか漫画の見過ぎなんだろうけれど、とりあえず確かめてみる価値はあると思う。

 ヤクモさんの後を着いて行くと、いかにも古本屋と言った木製の少し古い建物が見えてきて、建物外にも本が並べられているのが見える。

「じゃあ、俺もちょっと本見てるから」

「はい、じゃあ少し経ったらまた」

「おう」

 外見よりも中は広く、相当の数の本が棚にずらりと並んでいた。

 この中から見つけるのは容易じゃなくて、とりあえず、歴史とか地学とか関係ありそうなジャンルの棚を見てみる。

 古本屋、に相応しい古い本がならんたくさん並んであり、中には驚くほどの分厚い本もある。

 いろいろと見て回るけれど、やっぱりそんなに簡単に見つかるわけもなく、今日は諦めることにした。

 もしかしたら、私が知りたいことについて書いてある本なんてないのかもと思い始める。でも、それでも知りたいと思う気持ちは変わらない。

 他に、本がたくさんあるところってどこだろう。

 あっちの世界みたいに図書館なんてものはあるのかな。

「よしっ、花火買いに行くか」

「はいっ、そうですね」

 本のことは一旦忘れて、今日は花火を楽しむことに専念しなきゃ。

 せっかく、ヤクモさんが企画してくれた夏の終わりの思い出つくりなんだから。
 
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