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第十七話 信輔vsクラスト
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楓は竜腕が砕かれた時、竜尾を具現化した。
堅蔵が楓の竜腕が砕け、体勢が崩れた隙を見逃さず渾身の一撃を放とうと拳を振り上げ、勝ちを確信していたところを竜尾により堅蔵の右脇を振り抜いた。
堅蔵も楓とのラッシュでギリギリであり、その中で楓の竜腕が砕けたことにより、最後の一撃で決着と意識が向いたことで楓の反撃を考えていなかった。
そこに今までなかった腕と脚以外からの完全に意識外からの攻撃。
さすがに堅蔵もこれには耐えられなかった。
「なんとか……勝てたわね…」
そう呟く楓も満身創痍で戦える状態ではない。
「おっ…楓、大丈夫か?」
逸平が楓に駆け寄る。
「一応…ね」
楓は苦笑を浮かべ答える。
「倒したアイツは拘束してくさかい…あとは…アリスはん!楓を回収、治療を頼むわ!」
逸平が状況を確認し、迅速に指示を出す。
『了解よ!もうすぐ着くわ!』
アリスからの返答に「さすがやな」と呟き、
「楓、よお頑張ったな!あとはわいに任せぇ!」
楓に労る言葉をかける。
「頼んだわよ」
楓がそれだけ伝え、気を失う。
そこにアリスが到着する。
「頑張ったのね!楓の事は任せて!」
アリスが楓の治療に当たる。
逸平が気絶し拘束した堅蔵を見て、
「アイツにも最低限の治療を頼むわ」
アリスに言う。
「色々訊かないといけないし、死なれても困るわね!」
「加賀美が楓嬢と合流!楓嬢は【裁きの使徒】の一人を倒した!しかし、楓嬢自身も重傷のため戦線離脱!アリスがすでに現着し、治療にあたっている!」
レオナルドが楓の状況を報告する。
『わいはこのまま地下へ向かうで!』
逸平からの通信が指揮室に届く。
「逸平さん、お願いします!」
さゆりからの言葉に「おう!」と返事をし、逸平との通信は途切れる。
「楓お姉ちゃんは大丈夫かな…」
リンカが心配する。
「アリスさんがすでに治療しているので、大丈夫です!」
さゆりが笑顔をリンカに向ける。
「…わたしもできることをします!」
さゆりの不安のない笑顔を見て、リンカが朔真たちの状況をレオナルドに報告していく。
(私が不安を見せるわけには、いきませんからね)
さゆりが内心呟き、状況を確認する。
アリスが楓と逸平に合流する少し前、信輔とクラストが数回、魔法を打ち合い、対峙していた。
「君は火を使うのだね!」
クラストが愉しそうに言う。
「そういうあなたは酸?ですか?」
信輔が舞から聞いたクラストの酸魔法の話を擦り合わせるように訊く。
「如何にも……氷の彼女から聞いたのかね?」
「……」
クラストの質問に無言の信輔。
「沈黙は肯定となる…まぁ、隠してもないのでね!誰に聞いたかとか興味はないのだがね!」
「自分で聞いといて!?」
思わず信輔がツッコミを入れる。
「君と戦うのに必要ないだろう?興味があるのは、君が我輩と戦えるかどうかだけである!“酸の弾丸”」
クラストが酸の弾丸を信輔に放つ。
「焔の盾!」
信輔は焔の盾を前方に創り、酸の弾丸を防ぐ。
「先程から思っていたのだが、君の火は少し変わってるのだな」
信輔の焔の盾を見て、クラストが少しだけ驚いた声を出す。
火の色は赤や橙色、オレンジ、茜色などが多い。
そんな中、信輔の焔は青白いの焔であった。
「そうだね…僕の焔魔法は一般的な炎魔法とは少し違うかもね……“焔の矢”」
焔の弓を左手に持ち、弓を引く動作から射ると焔の矢が複数放たれ、クラストへ襲い掛かる。
「なるほど...“酸の矢”」
クラストが中空に酸を矢の形で生み出し、焔の矢にぶつけ相殺により、酸の蒸気が信輔とクラストの間に発生する。
「“酸の鞭”」
クラストが即座に酸の鞭を創り、蒸気を目隠しに感覚で信輔のいるだろう場所へ打ちつける。
「っ!?」
信輔はクラストの酸の鞭が蒸気を突き抜け、信輔を攻撃してきたことに驚き、左に一足飛びしギリギリで避ける。
その避けた勢いのままクラストの横へ出るために駆ける。
(即座に視界が蒸気で塞がれたのを利用して、攻撃してくるとは…)
蒸気が晴れた時には信輔はクラストの右側から、
「“焔の槍”」
焔の槍を投げた。
「悪くない攻撃である……が」
クラストが放った酸の波に焔の槍が上から押し潰され、その勢いのまま酸の波が信輔に押し寄せる。
信輔は“焔の槍”を放った直後で、目の前に迫る酸の波を直撃する。
「まだまだであったな」
信輔が酸の波に飲まれたのを見て、残念そうにこぼす。
「まだ、終わってない!」
信輔の声が酸の波の中、否、酸の波の一部が蒸発し、その蒸気の中に信輔が立っていた。
「おぉ!“酸の波”を凌いだであるか!?」
クラストが嬉しそうに声を上げる。
(この人、強い!)
「はぁ...はぁ...」
信輔は無理な魔法を行使したことで、息が上がるのをなんとか落ち着かせる。
「直撃したように見えたのだが、どうしたのかね?」
クラストが不思議そうな顔をして訊く。
「後ろも横も逃げ切れなかったので、前に出ました」
所々、酸によるダメージを受けつつも、致命傷には至っていない事を信輔は答えながら確認する。
「炎を全身に纏う事で強引に突っ込んだわけであるか……下手をすれば、溶けて無くなっていたのに…」
「最初のあなたの矢を焔の盾で防いだ時に、僕の焔なら蒸発させられる事は確認できたから、あとは波に飲まれない火力を一気に放出した感じです」
クラストの敵とは思えない態度に信輔も丁寧に答える。
「君は我輩とは敵同士であるのに、正直に答えすぎである」
「いや、あなたも大概だからね!?」
信輔も途中から素直に説明しすぎたと自覚はしているが、クラストの真っ直ぐな質問に釣られて真っ直ぐ答えていた。
「ははは…それでも我輩は君を倒させていただこう!」
(無理に酸の波を抜けたため、かなり魔力が乱れている……そこを突くのである)
信輔の呼吸の荒さ、魔力そのものが不安定なのを見て、クラストが仕掛ける。
「“酸の収束砲”」
クラストが右手を信輔に向け、酸を高速で直線に放つ。
信輔は避けようとするも、高速で放たれた酸を左肩に喰らう。
「ぐあぁぁあ」
信輔の左肩が酸により焼け爛れる。
「胸を狙ったんだが、あれを避ける余力が残ってたであるか…しかし、次で終わりである!」
「いや…終わるのはあなただ!“焔の渦”!」
突如、青白い焔が渦を巻いて立ち昇り、クラストを覆った。
「なっ!?」
突然の出来事にクラストが動揺する。
咄嗟にクラスト自身を酸の幕で被うが、すぐに蒸発する。
時間にして、数秒ではあるがクラストは大きな火傷とダメージを負った。
「いつの間に…こんなものを?」
クラストが片膝を着きつつも意識を保ち、信輔に訊く。
「酸の波に飲まれた後にね…」
信輔は酸の波を突破した際に生まれた、蒸気の中で“焔の渦”の火種を飛ばしていた。
“焔の渦”は小さな火種が触れることで、その場に焔の渦を発動する魔法である。
威力は高いが、範囲も直径1メートルと狭く、火種も速度が遅く使い所が難しい。
今回は視界が遮られたのを利用し、クラストに気付かれないよう、視界外の上から落とすように火種を飛ばしていた。
「一度ならず二度も蒸気による死角からの攻撃であるか……ふぅ」
クラストは小さくため息をつき、
「ここは、このまま引かせてもらうのである!“酸の霧”」
一気に酸の霧を創り出して、姿を消した。
「待て!」
信輔が叫ぶも霧が晴れた先には、クラストの姿はなかった。
「逃げられた……か」
信輔が蒸気を利用した事を嘲笑うように、同じような酸の霧を使い逃げたクラスト。
信輔が重傷を負った左肩を庇う。
クラストも大きなダメージを負ったが、あのまま戦い続けていたら、信輔も危なかった。
そういう意味では、クラストが逃げたことで自身もこの程度で済んだと前向きに信輔は考えることにした。
「すみません、相手にダメージを負わせたんですが、逃げられました」
信輔が【シンフォニア】の指揮室に通信し、状況を伝えた。
堅蔵が楓の竜腕が砕け、体勢が崩れた隙を見逃さず渾身の一撃を放とうと拳を振り上げ、勝ちを確信していたところを竜尾により堅蔵の右脇を振り抜いた。
堅蔵も楓とのラッシュでギリギリであり、その中で楓の竜腕が砕けたことにより、最後の一撃で決着と意識が向いたことで楓の反撃を考えていなかった。
そこに今までなかった腕と脚以外からの完全に意識外からの攻撃。
さすがに堅蔵もこれには耐えられなかった。
「なんとか……勝てたわね…」
そう呟く楓も満身創痍で戦える状態ではない。
「おっ…楓、大丈夫か?」
逸平が楓に駆け寄る。
「一応…ね」
楓は苦笑を浮かべ答える。
「倒したアイツは拘束してくさかい…あとは…アリスはん!楓を回収、治療を頼むわ!」
逸平が状況を確認し、迅速に指示を出す。
『了解よ!もうすぐ着くわ!』
アリスからの返答に「さすがやな」と呟き、
「楓、よお頑張ったな!あとはわいに任せぇ!」
楓に労る言葉をかける。
「頼んだわよ」
楓がそれだけ伝え、気を失う。
そこにアリスが到着する。
「頑張ったのね!楓の事は任せて!」
アリスが楓の治療に当たる。
逸平が気絶し拘束した堅蔵を見て、
「アイツにも最低限の治療を頼むわ」
アリスに言う。
「色々訊かないといけないし、死なれても困るわね!」
「加賀美が楓嬢と合流!楓嬢は【裁きの使徒】の一人を倒した!しかし、楓嬢自身も重傷のため戦線離脱!アリスがすでに現着し、治療にあたっている!」
レオナルドが楓の状況を報告する。
『わいはこのまま地下へ向かうで!』
逸平からの通信が指揮室に届く。
「逸平さん、お願いします!」
さゆりからの言葉に「おう!」と返事をし、逸平との通信は途切れる。
「楓お姉ちゃんは大丈夫かな…」
リンカが心配する。
「アリスさんがすでに治療しているので、大丈夫です!」
さゆりが笑顔をリンカに向ける。
「…わたしもできることをします!」
さゆりの不安のない笑顔を見て、リンカが朔真たちの状況をレオナルドに報告していく。
(私が不安を見せるわけには、いきませんからね)
さゆりが内心呟き、状況を確認する。
アリスが楓と逸平に合流する少し前、信輔とクラストが数回、魔法を打ち合い、対峙していた。
「君は火を使うのだね!」
クラストが愉しそうに言う。
「そういうあなたは酸?ですか?」
信輔が舞から聞いたクラストの酸魔法の話を擦り合わせるように訊く。
「如何にも……氷の彼女から聞いたのかね?」
「……」
クラストの質問に無言の信輔。
「沈黙は肯定となる…まぁ、隠してもないのでね!誰に聞いたかとか興味はないのだがね!」
「自分で聞いといて!?」
思わず信輔がツッコミを入れる。
「君と戦うのに必要ないだろう?興味があるのは、君が我輩と戦えるかどうかだけである!“酸の弾丸”」
クラストが酸の弾丸を信輔に放つ。
「焔の盾!」
信輔は焔の盾を前方に創り、酸の弾丸を防ぐ。
「先程から思っていたのだが、君の火は少し変わってるのだな」
信輔の焔の盾を見て、クラストが少しだけ驚いた声を出す。
火の色は赤や橙色、オレンジ、茜色などが多い。
そんな中、信輔の焔は青白いの焔であった。
「そうだね…僕の焔魔法は一般的な炎魔法とは少し違うかもね……“焔の矢”」
焔の弓を左手に持ち、弓を引く動作から射ると焔の矢が複数放たれ、クラストへ襲い掛かる。
「なるほど...“酸の矢”」
クラストが中空に酸を矢の形で生み出し、焔の矢にぶつけ相殺により、酸の蒸気が信輔とクラストの間に発生する。
「“酸の鞭”」
クラストが即座に酸の鞭を創り、蒸気を目隠しに感覚で信輔のいるだろう場所へ打ちつける。
「っ!?」
信輔はクラストの酸の鞭が蒸気を突き抜け、信輔を攻撃してきたことに驚き、左に一足飛びしギリギリで避ける。
その避けた勢いのままクラストの横へ出るために駆ける。
(即座に視界が蒸気で塞がれたのを利用して、攻撃してくるとは…)
蒸気が晴れた時には信輔はクラストの右側から、
「“焔の槍”」
焔の槍を投げた。
「悪くない攻撃である……が」
クラストが放った酸の波に焔の槍が上から押し潰され、その勢いのまま酸の波が信輔に押し寄せる。
信輔は“焔の槍”を放った直後で、目の前に迫る酸の波を直撃する。
「まだまだであったな」
信輔が酸の波に飲まれたのを見て、残念そうにこぼす。
「まだ、終わってない!」
信輔の声が酸の波の中、否、酸の波の一部が蒸発し、その蒸気の中に信輔が立っていた。
「おぉ!“酸の波”を凌いだであるか!?」
クラストが嬉しそうに声を上げる。
(この人、強い!)
「はぁ...はぁ...」
信輔は無理な魔法を行使したことで、息が上がるのをなんとか落ち着かせる。
「直撃したように見えたのだが、どうしたのかね?」
クラストが不思議そうな顔をして訊く。
「後ろも横も逃げ切れなかったので、前に出ました」
所々、酸によるダメージを受けつつも、致命傷には至っていない事を信輔は答えながら確認する。
「炎を全身に纏う事で強引に突っ込んだわけであるか……下手をすれば、溶けて無くなっていたのに…」
「最初のあなたの矢を焔の盾で防いだ時に、僕の焔なら蒸発させられる事は確認できたから、あとは波に飲まれない火力を一気に放出した感じです」
クラストの敵とは思えない態度に信輔も丁寧に答える。
「君は我輩とは敵同士であるのに、正直に答えすぎである」
「いや、あなたも大概だからね!?」
信輔も途中から素直に説明しすぎたと自覚はしているが、クラストの真っ直ぐな質問に釣られて真っ直ぐ答えていた。
「ははは…それでも我輩は君を倒させていただこう!」
(無理に酸の波を抜けたため、かなり魔力が乱れている……そこを突くのである)
信輔の呼吸の荒さ、魔力そのものが不安定なのを見て、クラストが仕掛ける。
「“酸の収束砲”」
クラストが右手を信輔に向け、酸を高速で直線に放つ。
信輔は避けようとするも、高速で放たれた酸を左肩に喰らう。
「ぐあぁぁあ」
信輔の左肩が酸により焼け爛れる。
「胸を狙ったんだが、あれを避ける余力が残ってたであるか…しかし、次で終わりである!」
「いや…終わるのはあなただ!“焔の渦”!」
突如、青白い焔が渦を巻いて立ち昇り、クラストを覆った。
「なっ!?」
突然の出来事にクラストが動揺する。
咄嗟にクラスト自身を酸の幕で被うが、すぐに蒸発する。
時間にして、数秒ではあるがクラストは大きな火傷とダメージを負った。
「いつの間に…こんなものを?」
クラストが片膝を着きつつも意識を保ち、信輔に訊く。
「酸の波に飲まれた後にね…」
信輔は酸の波を突破した際に生まれた、蒸気の中で“焔の渦”の火種を飛ばしていた。
“焔の渦”は小さな火種が触れることで、その場に焔の渦を発動する魔法である。
威力は高いが、範囲も直径1メートルと狭く、火種も速度が遅く使い所が難しい。
今回は視界が遮られたのを利用し、クラストに気付かれないよう、視界外の上から落とすように火種を飛ばしていた。
「一度ならず二度も蒸気による死角からの攻撃であるか……ふぅ」
クラストは小さくため息をつき、
「ここは、このまま引かせてもらうのである!“酸の霧”」
一気に酸の霧を創り出して、姿を消した。
「待て!」
信輔が叫ぶも霧が晴れた先には、クラストの姿はなかった。
「逃げられた……か」
信輔が蒸気を利用した事を嘲笑うように、同じような酸の霧を使い逃げたクラスト。
信輔が重傷を負った左肩を庇う。
クラストも大きなダメージを負ったが、あのまま戦い続けていたら、信輔も危なかった。
そういう意味では、クラストが逃げたことで自身もこの程度で済んだと前向きに信輔は考えることにした。
「すみません、相手にダメージを負わせたんですが、逃げられました」
信輔が【シンフォニア】の指揮室に通信し、状況を伝えた。
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