生まれ変わった僕。優しい獣人達に囲まれて幸せです。

アニエル

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神様の話をしよう。2

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"………あのね、本当は…郁君は幸せになる筈だったんだ"


モニターを見つめながら、えぐえぐと子供の様に泣き続ける僕に、神様が告げた。


「………?……ちょっと、よく、わかりません。どういう、ことですか?」


ぐすぐすと鼻を啜りながら泣き続ける僕は、言われてる意味がよくわからなくて神様に聞き返す。


"……郁君のお父さんはね、本来、まだ死ぬ予定じゃなかったんだ。お父さんが死ぬことがなければ、お母さんは郁君が大好きな優しいお母さんのまま、郁君も寿命まで死ぬことなく、幸せに暮らしていた筈だったんだよ"


「……え?なら、どうして…?」


"僕達、神の世界にはね、敵対している存在がいるんだ。彼等の目的は、人の、完全に穢れた魂を自分達の中に取り込むこと。そうすることによって、彼等は力を付けるからね。でも魂が完全に穢れている人というのは、わりと少ないんだ"


「…………うん」


"彼等はより強大な力を得るために、こうして度々人々の世界に干渉をする。そして、人々の運命を狂わせ、そうして、関わった人達の魂が穢れるのを、じっと手を拱いて待っているんだ"


「そんな…酷い……」


"そう。彼等は本当に赦しがたい存在なんだ。僕達も常に取り締まってはいるんだけど、防いでも後からやってきてはキリがなく、全てを防ぐことは出来ないんだ。だから郁君のお父さんの場合も、僕が気が付いた時には既に運命が歪められてしまった後だったんだ…。未然に防げなくて、本当にごめんね…"


「……どうして………」


父が死んでしまった本当の理由を今明かされた僕は、さっきまで驚きで少し引っ込んでいた涙がまた溢れて来る。


"それは……おそらく、僕が思うに君の魂が純粋で、一際綺麗だからなんじゃないかと思う。そういう人の魂は普通の人よりとても黒くなるのが早いんだ。一度完全に穢れてしまうと、僕達の力でもどうにかするのは難しい。そして、完全に穢れた魂は彼等から目を付けられ易くなる。彼等に取り込まれてしまうと、僕達が転生を促すことが出来ず、文字通り、その魂は消滅してしまうんだ"


「じゃあ……じゃあ、お父さんは…僕の、せい…で…?」


僕は一気に目の前が真っ暗になり、恐くなって、ぎゅう…と自分で自分を抱き締めた。


"郁君!違うよ!それだけは絶対に違う!それに、君が君のままでいてくれたお陰で、お母さんの魂は救われたんだ!"


「……え?」


"普通はね、郁君みたいな状況に置かれたら、魂は穢れていく一方なんだよ。でも、君は…郁君の魂は、清く、美しいまま少しも穢れることはなかった。そのお陰で、僕達は郁君のお母さんの魂の穢れを取り除くことだけに集中出来たし、今回、やっと進行を止めることも出来たんだ"


「……お母さんの、魂?」


"そうだよ。本来、郁君程ではないけれど、お母さんの魂もとても綺麗だったんだ。でも、お父さんが亡くなってしまってから、お母さんの魂はゆっくりと黒く染まって穢れて行くところだった。でも、今回のことでそれが止まった。君が亡くなってしまったことで、やっとお母さんの目が覚めたんだ。時間は掛かるかもしれないけれど、いずれはお母さん本来の魂の色に戻る筈だよ"


「そっか……そっかぁ……お母さん、元に戻るんだ…良かった……良かったぁ……ふっ…うぅ……」


"そうだよ。君がお母さんを救ったんだ。そして、君自身のこともね。誇りに思いなさい"


ぐしぐしと再び泣き出した僕は、心の底から安堵した。


お母さんが助かったなら、いいや。


大好きなお母さんが、またいつか、昔みたいに笑える様になってくれるのなら、それでいい。


生きてる間は、お母さんを笑顔にしてあげることが出来なかった僕だけど、それなら、僕が死んだことにも少しは意味があったのかなと思える。


"……そんな、とってもいい子な郁君に、僕からも提案があるんだ"


「提案…?」


"うん、そう。僕からのご褒美とも言うかな"


「なに…?」


そうして、神様は言ったんだ。


"異世界に転生してみない?"
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