「落ちこぼれ扱い」だった新人冒険者、悪魔の商人からぶっ壊れ性能アイテムを手に入れて無双する/ロー・グライクの奇妙な迷宮探索記

横山剛衛門

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24.古代遺産階層に遭遇し、謎のアイテムを手に入れる

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 今回は第三階層からスタートする三人が、第四階層への階段を降りていく。
 しばらく進んでやっと辿り着いた……と思いきや、何か様子がおかしい。

「あれ? なんか、これまでと全然違うね。だだっ広いけど、これ、一部屋しかないのかな?」
「そのようですね。迷宮と言うならば、いくつもの部屋と通路があるものと考えていましたが」
「こ、これは! やったニャ! ボーナス階層にゃ!」

 首を傾げるグライクとヤマトナに対し、ファムファは喜色満面で叫ぶ。それは、二人よりも迷宮の経験に富む彼女ならではの知識ゆえであると思われた。

「ボーナス階層って? 普通の階層とは違うの?」
「名前通り、攻略者にとってとってもありがたい階層のことニャ! ボーナス階層には魔物が現れず、しかも宝物がどっさり置いてあるニャ!」

 財宝に目がないファムファにとっては、まさに天国と言える階層なのであった。財宝自体にはそこまで興味がないグライクも、迷宮の攻略に役立つものが手に入るのではと喜び、その姿を見てヤマトナもまた喜ぶ。

「見た感じ、このボーナス階層は古代の遺産が残されている見たいニャ。もしかしたらとんでもないお宝があるかもニャ?」
「古代遺産? そういえば、俺が悪魔の商人から手に入れたアイテムにも、古代の遺物があったよな。もしそのレベルのものなら相当役に立つよ」

 話しながらもファムファは早速近くの床に積まれていた木箱を砕き、中身を取り出す。
 そして、急激に声のテンションが落ちた。

「……なんニャこれ? どういう道具だニャ?」
「え、見せて見せて?」

 グライクが受け取ったのは、不思議な形のおもちゃのようなアイテムだった。
 片手サイズの握りがあり、その上にレンコンのような形をした金属の部品 シリンダーがついていて、さらにそこから一本、筒が中指の長さほど伸びている。

「あ、これはレバーかな? ……おお、このレバーでここががハンマーみたいに動くのね」

 握りを持つとちょうど人差し指が届く位置にあるレバーを引くと、レンコン部品の後ろにある部品がガチリと硬く動いた。

「でも、特に何も起きないな。なんだろ? 何かが足りないのかな?」
「若様、こんなものがありました」

 木箱を漁っていたヤマトナが差し出したのは、箱に入った金属の粒である。ドングリほどの大きさのそれは、シリンダーの穴にちょうど収まった。
 その瞬間、グライクの背筋がゾクリと冷えた。慌てて、鑑定を試みる。


【トウアの火筒 】
 等級:伝説レア
 解説:太古の超文明トウアで作られた第一種射出装置。ありとあらゆる弾丸の発射に耐えられる。最大装填数は六発。


【ミスリルの弾丸】
 等級:稀代アンコモン
 解説:弾頭がミスリルで作られた弾丸。高い貫通力を持ち、また鬼や悪魔、死霊に特に高い効果を発揮する。第二種以上の射出装置を用いて発射することができる。


 グライクには意味の分からない言葉が多く並んでいるが、古代の道具であること、遠距離に向けて用いることは理解できた。
 そして、レバーがこの装置の起動の引き金となることも。

「ヤマトナはちょっと離れてて」
「若様?」
「どうしたニャ? さっきのモノ、何か分かったかニャ?」

 周辺のガラクタの山を漁っていたファムファも戻ってきて、グライクの実験を見守る。
 グライクは弾丸をシリンダーの穴に込めると、右手で握りを持ち、左手はそれを覆うように添えて構える。そして、筒の先を10セメルほど先にあるガラクタの山に向けた。

「いくよ--っ!?」

 ゴガアアアアアン、という広大な部屋全体を揺るがす轟音と同時、筒の先が火が吹き、ガラクタの山の一部が吹き飛んだ。

「んニャ!? 耳が! 耳が! 耳がー!」
「若様、ご無事ですか!?」
「う、うん。大丈夫。すごい音だっね……うわ、あれ見てよ」

 どうやら遠距離で使える武器であるようだと、グライクは理解した。射出装置という名前からして、先程の弾丸が飛んでいったことも。
 耳を押さえて悶えるファムファはさておき、グライクとヤマトナはもっと弾丸がないか探すことにした。
 結果、かなりの数と種類が見つかり、鑑定してみる。


【炎の弾丸】
 等級:稀代アンコモン
 解説:弾頭が火魔術で作られた弾丸。着弾時に小さく爆発し、また樹属性に特に高い効果を発揮する。第三種以上の射出装置を用いて発射することができる。


【氷の弾丸】
 等級:稀代アンコモン
 解説:弾頭が水魔術で作られた弾丸。着弾箇所を凍らせ、また火属性に特に高い効果を発揮する。第三種以上の射出装置を用いて発射することができる。


【巌の弾丸】
 等級:稀代アンコモン
 解説:弾頭が樹魔術で作られた弾丸。着弾箇所を毒性の苔が蝕み、また水属性に特に高い効果を発揮する。第三種以上の射出装置を用いて発射することができる。


【闇の弾丸】
 等級:稀代アンコモン
 解説:弾頭が闇魔術で作られた弾丸。着弾箇所を消滅させ、また光属性に特に高い効果を発揮する。第三種以上の射出装置を用いて発射することができる。


【光の弾丸】
 等級:稀代アンコモン
 解説:弾頭が火魔術で作られた弾丸。あらゆる弾丸の中で最高の弾速を誇り、また闇属性に特に高い効果を発揮する。第三種以上の射出装置を用いて発射することができる。


 そして、いつものようにこれらを合成させると、想像通りのものが出来上がった。


【オリハルコンの弾丸】
 等級:伝説レア
 解説:弾頭がオリハルコンで作られた弾丸。命中したあらゆる物を砕く。第一種以上の射出装置を用いて発射することができる。


 そうして、いくらか試し撃ちしてみる。

「うん、これはなかなか強力だね。でも扱いが難しそうだ。俺はあんまり命中させられないよ。そうだ、ファムファのスキルと相性がいいんじゃない?」
「あたしは耳がキーンとするからいらないニャ」
「では若様、僭越ながら、このヤマトナにお預けくださりませんか?」
「お、試してみる?」

 火筒を受け取ったヤマトナは、軽く具合を確かめると、一度懐に収めた。そして次の瞬間、いきなり剣術の居合のように抜き放ち、狙いを定めたとも思えぬ速さで瞬時に六連発し、見事に的を撃ち抜いた。

「すごい! じゃあこれはヤマトナに預けようかな」
「恐悦至極、光栄の極みに存じます、若様!」

 その後、両手持ちタイプの火筒もいくつか見つかり、それら全てをヤマトナが預かることとなったのだった。
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