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本編
23.悪神討つべし2
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そうして暗い洞窟を歩くこと暫く。
やたらとイカツい装飾が施された、鉄だか岩だか分からん材質の門扉が俺達の前に現れる。
うーん、扉越しでもビリビリ伝わってくるね、悪のオーラが。結構前から嫌な空気が流れてたけど、間違いなくここが原因だ。
「この吐き気を催す邪悪さはどうだ? こんな不快な奴と縁が出来たと思うだけで怒りに震えるわ。しかし、それも今日で終わりだ。喜ばしい日となろう」
ものすごい表情と語気で美人なお顔を歪ませたズーニーが宣言する。
「問題は解決されねばならない。それは確かだ。お主の目的がそうであるように、我輩もまたそうするであろう」
一度俺の目を見て、ズーニーは再び扉に視線を戻す。
美しい横顔だ。造形がって意味じゃなくてね。
彼女のこんな表情は初めて見る。覚悟を決めた、一人の女の顔。そういうの、なんか心に刺さるんだよな。
こんなの見せられたら、俺も全力で応援したくなるよ。いや、実際に応援するわ。
「ほいじゃ、やってやりますか!」
ズーニーと一緒に扉に手をついて、思い切り押し開く。
何かしら魔術の封印がかかっていたらしく、本来ありえないほどの重さがある。が、俺達二人にかかればそれも無意味な抵抗に終わった。
「うおおおりゃあああ!」
気合い一発!てなもんで、ついに大ボスが待つ部屋の扉は開かれた。
部屋の中は真っ暗だった。俺達の持つ魔術の灯りも届かないのだ。光すら吸収する暗黒ってやつか? カッコいいじゃないの。
「入るぞ」
そんな部屋に迷いなく踏み込んだズーニー。俺もすぐそれに続く。
が、見てないのはちょっと困るな。
「魔力を目に込めるのだ。できるな?」
「おお、こんな感じかな……?」
ズーニーに教わった通りにしてみると、にゃるほど、見えるというか感じるというか、とにかく暗闇が苦にならなくなる。助かったわ。
【イヌイは 暗闇の魔眼 を身に付けた】
そうしてじっと目を凝らせば、最奥の壁際に段差と玉座、あとそこに座る人型の何かが見えた。
あれが、悪神……?
「油断するな。奴もこっちを見ておるぞ」
「あー、感じるわ」
背筋がゾクゾクするヤな雰囲気。貴様見ているな!ってのはこういう状態を言うのね。なるほど、ムカつくもんだ。
ずんずん進んでいって、玉座の前に立つ。人型の何かは腕環を嵌めていた。これが、栄光の腕環かな?
「それを外すがいい。さすれば、奴が復活する。この人型が最後の封印なのだ」
「あいよ、それじゃ早速」
なんだ、これは悪神ではないのか。じゃあ、どこ?
とりあえず言われたままに腕環へ手をやり、ぐいっと引っ張ると簡単に外れた。
と同時に人型はチリのように一瞬で崩れ去り、後には何も残らない。
そして、部屋中に満ちていた嫌な空気が渦巻き始めた。それは段々と光の粒へと変化していき、目に見えるようになった。
そうか、この部屋いっぱいに満ちてた嫌な空気……それ自体が悪神だったってことか。
そんな風に考えているうちに、今やその光の粒は、巨大な人型を形成していた。さっき戦った嵐のジンにも似た、しかしより強大で危険なことがはっきりと分かる化け物だ。
「久しいな、悪夢のマリードよ。この"魔神"が自ら、落とし前をつけさせに来たぞ」
「フハハハハ。ソノ為ニワザワザ我ヲ解キ放ツトハ、ナント愚カナ。我ガ眷属カラ貴様ニ礼ヲ下シテヤロウ」
うーん、確かに自分の怒りの発散の為にこんな危険な奴の封印を解くのは、賢いとは言えないな……
ま、その責任はちゃんと取ったる。そこは任せといてくれ。
「出デヨ、陽炎ノイフリートドモ」
マリードの周りに青い炎が立ち昇ったかと思うと、それらは人型のモンスターの姿へと変わる。
「イヌイよ、この下郎どもを頼む。我輩はマリードを」
「おうよ、任せとけ」
さあ来い、ハゲマッチョども。俺の魔剣の切れ味を教えたる。
飛んできた炎の弾を魔剣で打ち落とし、俺はイフリートの一体に狙いを定める。
こういう時に打つべき手はーー
【イヌイは 単身突破 を放った!】
複数の敵から複数の攻撃が五月雨式にやってくるなら、攻撃をいなして突進していくこのテクネが効果覿面だ。
ダメージ覚悟の特攻のようでいて、ただ立って防ぐよりも狙いが定まらない分、実は遥かに危険が少ない……はず。
「まず、は、お前!」
辿り着いた一体に魔剣を振り抜く。分かっちゃいるが避けられない、という狙いすました一閃を決められた。ふう。
斬って分かった。こいつら、相当な魔力を持ってる。油断は禁物でいかにゃならん。
ちなみに、それがなんで分かったかというと、俺の魔剣に魔力が流れ込んできたからだ。
実を言うと今やっと確信できたんだが、この魔剣は斬った相手の(多分)魔力を吸い取る力がある。その魔力は剣の中に溜められているようで、今のでズシンと増えたのが伝わってくる。これまで斬った相手なんて屁みたいなもんだった。
「次、お前!」
炎の槍を生み出して突進してきたイフリートを、カウンターで斬り伏せる。
「さあ、どんどん来いや!」
右に左に、前に後ろに、それから上に下に。縦横無尽とはまさにこのこと、ってな具合に動き回ってかき乱す。
さてさて、ズーニーの方はどうなってるかな?
やたらとイカツい装飾が施された、鉄だか岩だか分からん材質の門扉が俺達の前に現れる。
うーん、扉越しでもビリビリ伝わってくるね、悪のオーラが。結構前から嫌な空気が流れてたけど、間違いなくここが原因だ。
「この吐き気を催す邪悪さはどうだ? こんな不快な奴と縁が出来たと思うだけで怒りに震えるわ。しかし、それも今日で終わりだ。喜ばしい日となろう」
ものすごい表情と語気で美人なお顔を歪ませたズーニーが宣言する。
「問題は解決されねばならない。それは確かだ。お主の目的がそうであるように、我輩もまたそうするであろう」
一度俺の目を見て、ズーニーは再び扉に視線を戻す。
美しい横顔だ。造形がって意味じゃなくてね。
彼女のこんな表情は初めて見る。覚悟を決めた、一人の女の顔。そういうの、なんか心に刺さるんだよな。
こんなの見せられたら、俺も全力で応援したくなるよ。いや、実際に応援するわ。
「ほいじゃ、やってやりますか!」
ズーニーと一緒に扉に手をついて、思い切り押し開く。
何かしら魔術の封印がかかっていたらしく、本来ありえないほどの重さがある。が、俺達二人にかかればそれも無意味な抵抗に終わった。
「うおおおりゃあああ!」
気合い一発!てなもんで、ついに大ボスが待つ部屋の扉は開かれた。
部屋の中は真っ暗だった。俺達の持つ魔術の灯りも届かないのだ。光すら吸収する暗黒ってやつか? カッコいいじゃないの。
「入るぞ」
そんな部屋に迷いなく踏み込んだズーニー。俺もすぐそれに続く。
が、見てないのはちょっと困るな。
「魔力を目に込めるのだ。できるな?」
「おお、こんな感じかな……?」
ズーニーに教わった通りにしてみると、にゃるほど、見えるというか感じるというか、とにかく暗闇が苦にならなくなる。助かったわ。
【イヌイは 暗闇の魔眼 を身に付けた】
そうしてじっと目を凝らせば、最奥の壁際に段差と玉座、あとそこに座る人型の何かが見えた。
あれが、悪神……?
「油断するな。奴もこっちを見ておるぞ」
「あー、感じるわ」
背筋がゾクゾクするヤな雰囲気。貴様見ているな!ってのはこういう状態を言うのね。なるほど、ムカつくもんだ。
ずんずん進んでいって、玉座の前に立つ。人型の何かは腕環を嵌めていた。これが、栄光の腕環かな?
「それを外すがいい。さすれば、奴が復活する。この人型が最後の封印なのだ」
「あいよ、それじゃ早速」
なんだ、これは悪神ではないのか。じゃあ、どこ?
とりあえず言われたままに腕環へ手をやり、ぐいっと引っ張ると簡単に外れた。
と同時に人型はチリのように一瞬で崩れ去り、後には何も残らない。
そして、部屋中に満ちていた嫌な空気が渦巻き始めた。それは段々と光の粒へと変化していき、目に見えるようになった。
そうか、この部屋いっぱいに満ちてた嫌な空気……それ自体が悪神だったってことか。
そんな風に考えているうちに、今やその光の粒は、巨大な人型を形成していた。さっき戦った嵐のジンにも似た、しかしより強大で危険なことがはっきりと分かる化け物だ。
「久しいな、悪夢のマリードよ。この"魔神"が自ら、落とし前をつけさせに来たぞ」
「フハハハハ。ソノ為ニワザワザ我ヲ解キ放ツトハ、ナント愚カナ。我ガ眷属カラ貴様ニ礼ヲ下シテヤロウ」
うーん、確かに自分の怒りの発散の為にこんな危険な奴の封印を解くのは、賢いとは言えないな……
ま、その責任はちゃんと取ったる。そこは任せといてくれ。
「出デヨ、陽炎ノイフリートドモ」
マリードの周りに青い炎が立ち昇ったかと思うと、それらは人型のモンスターの姿へと変わる。
「イヌイよ、この下郎どもを頼む。我輩はマリードを」
「おうよ、任せとけ」
さあ来い、ハゲマッチョども。俺の魔剣の切れ味を教えたる。
飛んできた炎の弾を魔剣で打ち落とし、俺はイフリートの一体に狙いを定める。
こういう時に打つべき手はーー
【イヌイは 単身突破 を放った!】
複数の敵から複数の攻撃が五月雨式にやってくるなら、攻撃をいなして突進していくこのテクネが効果覿面だ。
ダメージ覚悟の特攻のようでいて、ただ立って防ぐよりも狙いが定まらない分、実は遥かに危険が少ない……はず。
「まず、は、お前!」
辿り着いた一体に魔剣を振り抜く。分かっちゃいるが避けられない、という狙いすました一閃を決められた。ふう。
斬って分かった。こいつら、相当な魔力を持ってる。油断は禁物でいかにゃならん。
ちなみに、それがなんで分かったかというと、俺の魔剣に魔力が流れ込んできたからだ。
実を言うと今やっと確信できたんだが、この魔剣は斬った相手の(多分)魔力を吸い取る力がある。その魔力は剣の中に溜められているようで、今のでズシンと増えたのが伝わってくる。これまで斬った相手なんて屁みたいなもんだった。
「次、お前!」
炎の槍を生み出して突進してきたイフリートを、カウンターで斬り伏せる。
「さあ、どんどん来いや!」
右に左に、前に後ろに、それから上に下に。縦横無尽とはまさにこのこと、ってな具合に動き回ってかき乱す。
さてさて、ズーニーの方はどうなってるかな?
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