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本編
1.異世界は突然に
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「どこ、ここ……」
俺の部屋、こんなに広くない……ていうか外だし。家ですらねえし。
昨日は仕事から帰ってすぐ部屋で寝たはずなのに、目を覚ました俺が今いるのは、だだっ広い草原の真っ只中だった。
何が起きたか分からないが、とりあえず色々よく見てみると、まず着てる物からして自分のじゃない。
どこのファンタジーだよと思うようなデザインのシャツとズボン、あとマント。靴も革製の渋いヤツだ。
「えー……どうなってんの……?」
それから周りに目を向けてみれば、すぐ近くに変な石板と、あと変な棒が地面に埋まっている。
石板の何が変かというと、まず素材は普通に石っぽいのに、なんか神々しい感じがする。それと、そこに書かれている文字は日本語じゃないどころか見たことがないもの……なのに、ちゃんと読めることだ。
「なになに……『突然ごめん、君は転生しました』……転生! 転生て!」
いきなり面食らうワードで始まったそのメッセージは、全体としてはこんな感じだった。
『イヌイ・ショウヤ君へ
突然ごめん、君は転生しました。完全にこっちの都合なのでビックリしたと思うけど、よくあることだし、大丈夫だよね? オッケー、大丈夫? じゃあそういう前提で続けます。
ここは地球とは別の次元にある、カンテーラという世界です。いわゆる剣と魔法の世界です。ファンタジー好きでしょ? 知ってる。だから、今回のことはむしろラッキーと思ってください。
……ダメ? 大丈夫、そう言うと思って、お詫びの特典も用意してあります。
まずは健康第一ということで、頑丈な体。続いて、言葉とかこの世界の知識。それと、抜群の魔力と魔術適正。なにはなくとも役に立つでしょう。
まだ足りない? はい、想定の範囲内です。
定番の、なんでも無尽蔵に入れられる魔法の収納術「アイテムボックス」と、いくつか激レアアイテムもつけちゃいましょう。
これでもまだ足りない? そんな欲張りなあなたに、最後のオマケです。本当に最後だよ?
この石板の右を見てください』
長ったらしい上に、やたらこっちの考えを先読みしてるのが腹が立つ。が、とりあえず書いてある通り、右を見てみるとーー
地面に刺さった変な棒がある……さっき見たよ! 順番おかしいや!
『それは、君への贈り物です。それを持ってるだけでほとんど無敵だと思うけど、まあ世の中は広いので、スリルを味わうことも結構あるかもしれません。よければ、それを持って旅してみてはどうでしょう。
そうそう、この世界で、君は自由です。特にお願いしたいこともないので、好きに生きてください。
そうして、この世界に何か変化が起きれば、それで十分です。ではでは、よい旅を!
三位のうち最も主たる女神より』
え……⁉︎ こんだけ? 神様かなんか知らんが、人を勝手にこんな目にあわせといて特に用はないとか、わけわからん。
とりあえず、贈り物だとかいう棒を握って、地面から引っ張り出してみる。
触った瞬間、ズズズッ、と何かを吸われるような変な感触があったけど、それ以外は特に問題なく簡単に抜くことができた。なんだったんだ、今の?
【イヌイは 魔剣・????? を手に入れた】
それは、なんとも古臭い剣だった。刺さってた部分は結構長いので、よくあんなに楽に抜けたなと思う。
不思議なことに土とかサビとかは全然なくて、刃の部分が鈍く輝いている。刀身をよく見ると、何か怪しげな文字がいっぱい刻まれていて、正直かっこいい。こういうの、憧れるでしょやっぱ。
「これって……普通の剣じゃないよな? いわゆる魔剣てやつか」
最初に触った時に変な感じがしたのも、そのせいなんでは?
「ここにいてもしゃーない。とりあえず、人を探してみるか」
そんな適当な感じで、俺の旅は始まったのだった。
俺の部屋、こんなに広くない……ていうか外だし。家ですらねえし。
昨日は仕事から帰ってすぐ部屋で寝たはずなのに、目を覚ました俺が今いるのは、だだっ広い草原の真っ只中だった。
何が起きたか分からないが、とりあえず色々よく見てみると、まず着てる物からして自分のじゃない。
どこのファンタジーだよと思うようなデザインのシャツとズボン、あとマント。靴も革製の渋いヤツだ。
「えー……どうなってんの……?」
それから周りに目を向けてみれば、すぐ近くに変な石板と、あと変な棒が地面に埋まっている。
石板の何が変かというと、まず素材は普通に石っぽいのに、なんか神々しい感じがする。それと、そこに書かれている文字は日本語じゃないどころか見たことがないもの……なのに、ちゃんと読めることだ。
「なになに……『突然ごめん、君は転生しました』……転生! 転生て!」
いきなり面食らうワードで始まったそのメッセージは、全体としてはこんな感じだった。
『イヌイ・ショウヤ君へ
突然ごめん、君は転生しました。完全にこっちの都合なのでビックリしたと思うけど、よくあることだし、大丈夫だよね? オッケー、大丈夫? じゃあそういう前提で続けます。
ここは地球とは別の次元にある、カンテーラという世界です。いわゆる剣と魔法の世界です。ファンタジー好きでしょ? 知ってる。だから、今回のことはむしろラッキーと思ってください。
……ダメ? 大丈夫、そう言うと思って、お詫びの特典も用意してあります。
まずは健康第一ということで、頑丈な体。続いて、言葉とかこの世界の知識。それと、抜群の魔力と魔術適正。なにはなくとも役に立つでしょう。
まだ足りない? はい、想定の範囲内です。
定番の、なんでも無尽蔵に入れられる魔法の収納術「アイテムボックス」と、いくつか激レアアイテムもつけちゃいましょう。
これでもまだ足りない? そんな欲張りなあなたに、最後のオマケです。本当に最後だよ?
この石板の右を見てください』
長ったらしい上に、やたらこっちの考えを先読みしてるのが腹が立つ。が、とりあえず書いてある通り、右を見てみるとーー
地面に刺さった変な棒がある……さっき見たよ! 順番おかしいや!
『それは、君への贈り物です。それを持ってるだけでほとんど無敵だと思うけど、まあ世の中は広いので、スリルを味わうことも結構あるかもしれません。よければ、それを持って旅してみてはどうでしょう。
そうそう、この世界で、君は自由です。特にお願いしたいこともないので、好きに生きてください。
そうして、この世界に何か変化が起きれば、それで十分です。ではでは、よい旅を!
三位のうち最も主たる女神より』
え……⁉︎ こんだけ? 神様かなんか知らんが、人を勝手にこんな目にあわせといて特に用はないとか、わけわからん。
とりあえず、贈り物だとかいう棒を握って、地面から引っ張り出してみる。
触った瞬間、ズズズッ、と何かを吸われるような変な感触があったけど、それ以外は特に問題なく簡単に抜くことができた。なんだったんだ、今の?
【イヌイは 魔剣・????? を手に入れた】
それは、なんとも古臭い剣だった。刺さってた部分は結構長いので、よくあんなに楽に抜けたなと思う。
不思議なことに土とかサビとかは全然なくて、刃の部分が鈍く輝いている。刀身をよく見ると、何か怪しげな文字がいっぱい刻まれていて、正直かっこいい。こういうの、憧れるでしょやっぱ。
「これって……普通の剣じゃないよな? いわゆる魔剣てやつか」
最初に触った時に変な感じがしたのも、そのせいなんでは?
「ここにいてもしゃーない。とりあえず、人を探してみるか」
そんな適当な感じで、俺の旅は始まったのだった。
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