4 / 39
本編
4.初めての街
しおりを挟む
村の近くを探索したりしながら、三日間のんびり過ごした後。俺は、とりあえず一番近くの街に向けて出発することにした。
「もうお別れなのね。ずっといてくれていいのに……」
「すまん、ミサト。また戻ってくるからさ」
滞在中にだいぶ打ち解けた宿の女将にお別れを言い、道具屋の親娘にも見送られながら、俺は西に向かった。
ちなみに、娘さんから餞別としてちょうどいい剣の鞘をもらっている。これは地味に助かるね。
道中、モンスターが襲ってくることはそんなになかった。というのも、村にいた間に魔剣にもいい感じに慣れてきて、なんだか変な技みたいなものをいくつか使えるようになったからである。
今で言えば、殺気を振りまくことで敵を近寄らせないようにできる。この技はそのまま「殺気」と呼ぶことにした。
【イヌイは 殺気 を身に付けた!】
そんな中で襲ってきたのは、これまでよりはるかに強いモンスターだった。
見た目的には人に近く、しかし頭には角が生えて筋肉隆々の巨体を誇るという、よく鬼とかオーガとか呼ばれるようなアブないやつらだ。
言葉を話せるほどではないが結構頭もよく、棍棒とかの道具も使えるので、ウサギとかクマとかの獣を相手にするのとは違う戦い方をしなきゃいけなかった。
【イヌイは 剣の理(対人) を身に付けた!】
ま、そもそも剣術というのはそんな人型の相手にこそ生きるものなので、特に問題はない。それどころか、この経験で俺の方が結構メキメキ腕が上がった気がする。
ちなみに、こいつらを倒して手に入ったのは角だったり心臓だったりと、魔石以外はまちまちだった。心臓の方になることはかなり少なかったので、レア素材ってやつかな。
そうして旅を続けていくと、夜になる前にどうにか街まで辿り着けた。門の前に出来ている列に並んで、順番を待つ。
「次! 身分証は?」
「ないんですけど、お金でいいですか?」
俺はそう言って金貨を差し出す。
村にいる間に、身分証の代わりにお金を収めればいいってことを聞いてあったのだ。
「では通れ! 次!」
金貨一枚というのは結構な額のようだが、つまり身分の証明にはかなりの価値があるということだな。
よし、この街では身分証を手に入れることにしよう!
街の通りをぶらついていくと、色々な店があった。道具屋、武具屋、鍛冶屋、屋台や食事処、もちろん宿屋もいくつか……
面白いところだと、道場的な建物がいくつもあって目立っていた。あとで覗いてみよっと。
「こんにちは、泊まれます?」
よさげな宿を見つけてカウンターで聞いてみると、これまでいた村よりかなり高めで、一泊素泊まり銅貨二十枚(!)。
宿自体は気に入ったので、飯はいろんなものを食いたいからなしにして、三日分部屋を取ってもらう。
ここでは金貨でも支払いができたので、支払い関係も解決だ。
さてさて、腰を落ち着けるところができたところで、まずは飯! 村での飯もよかったが、いかんせん地味でパターンもそんなにはなかったのは否めない。しかし、この街ならば!
先ほど見かけた屋台で肉串やポテトフライみたいなのを買い、飲み物は果物ジュースに決めた。
みんなその辺の木の下とかに座って食べているので、真似して早速がっついてみる。
「うま! 異世界グルメ、やるじゃん!」
味付けは意外と濃いめで、異世界風というか知らない味だけど、醤油と中濃ソースの中間みたいな……なんだろ、なんとなく馴染みがあってイケる!
果物ジュースも、いくつかの種類の酸味と甘みと香りが一体になっていて、ぶっちゃけミックスジュースそのまんまな味だ。でも目の前で絞ってくれていたから、抜群に新鮮。これ以上のものはないって感じ。
屋台でこんなレベル高いなら、ちゃんとした飯屋なら相当期待できるんでは?
まだまだ制覇していないので明日の朝は屋台で食べて、夜こそガッツリお店に行ってみようと決めるのだった。
***
翌日。ぐっすり眠れて旅の疲れもすっかり取れ、朝食は予定通り屋台でベトナムフォーみたいな麺入りスープ食べる。これもやっぱりうまい!
それから、昨日気になっていた道場みたいな所に行ってみることにした。
いくつもあったんだが、どうも槍とか剣とか、それぞれの武器の使い方を教えているみたいだ。
俺が持ってるのは剣だから、まずは剣を教えてもらおうかな。
「たのもー、は違うか。すみませーん」
入っていいのか分からないので、門の所から呼びかけてみる。すると、やたら人相の悪い獣人の男が奥から出てきた。
何の動物かはよく分からん。鼠のような猫のような……この世界独自のやつかな?
「入門希望の者か。剣はあるようだが、経験者か?」
ジロッとこっちの全身を見てくるそいつの目が、なんだか値踏みしているようで嫌な感じだ。つうか、多分そうなんだろう。
「はい、素人なもんで、剣の使い方を教えてもらえたらって。ここはそういう所なんですかね?」
そう言うと、男は一気に不機嫌そうな態度を隠さなくなった。
「当たり前だろう。この名高き赤剛石流を知らんで来たのか? 無礼な奴め……いいだろう、一手つけてやる。来い!」
お、なんか道場破りみたいな感じになってない? まあ、お手並み拝見てことで、お邪魔しますかね。
「もうお別れなのね。ずっといてくれていいのに……」
「すまん、ミサト。また戻ってくるからさ」
滞在中にだいぶ打ち解けた宿の女将にお別れを言い、道具屋の親娘にも見送られながら、俺は西に向かった。
ちなみに、娘さんから餞別としてちょうどいい剣の鞘をもらっている。これは地味に助かるね。
道中、モンスターが襲ってくることはそんなになかった。というのも、村にいた間に魔剣にもいい感じに慣れてきて、なんだか変な技みたいなものをいくつか使えるようになったからである。
今で言えば、殺気を振りまくことで敵を近寄らせないようにできる。この技はそのまま「殺気」と呼ぶことにした。
【イヌイは 殺気 を身に付けた!】
そんな中で襲ってきたのは、これまでよりはるかに強いモンスターだった。
見た目的には人に近く、しかし頭には角が生えて筋肉隆々の巨体を誇るという、よく鬼とかオーガとか呼ばれるようなアブないやつらだ。
言葉を話せるほどではないが結構頭もよく、棍棒とかの道具も使えるので、ウサギとかクマとかの獣を相手にするのとは違う戦い方をしなきゃいけなかった。
【イヌイは 剣の理(対人) を身に付けた!】
ま、そもそも剣術というのはそんな人型の相手にこそ生きるものなので、特に問題はない。それどころか、この経験で俺の方が結構メキメキ腕が上がった気がする。
ちなみに、こいつらを倒して手に入ったのは角だったり心臓だったりと、魔石以外はまちまちだった。心臓の方になることはかなり少なかったので、レア素材ってやつかな。
そうして旅を続けていくと、夜になる前にどうにか街まで辿り着けた。門の前に出来ている列に並んで、順番を待つ。
「次! 身分証は?」
「ないんですけど、お金でいいですか?」
俺はそう言って金貨を差し出す。
村にいる間に、身分証の代わりにお金を収めればいいってことを聞いてあったのだ。
「では通れ! 次!」
金貨一枚というのは結構な額のようだが、つまり身分の証明にはかなりの価値があるということだな。
よし、この街では身分証を手に入れることにしよう!
街の通りをぶらついていくと、色々な店があった。道具屋、武具屋、鍛冶屋、屋台や食事処、もちろん宿屋もいくつか……
面白いところだと、道場的な建物がいくつもあって目立っていた。あとで覗いてみよっと。
「こんにちは、泊まれます?」
よさげな宿を見つけてカウンターで聞いてみると、これまでいた村よりかなり高めで、一泊素泊まり銅貨二十枚(!)。
宿自体は気に入ったので、飯はいろんなものを食いたいからなしにして、三日分部屋を取ってもらう。
ここでは金貨でも支払いができたので、支払い関係も解決だ。
さてさて、腰を落ち着けるところができたところで、まずは飯! 村での飯もよかったが、いかんせん地味でパターンもそんなにはなかったのは否めない。しかし、この街ならば!
先ほど見かけた屋台で肉串やポテトフライみたいなのを買い、飲み物は果物ジュースに決めた。
みんなその辺の木の下とかに座って食べているので、真似して早速がっついてみる。
「うま! 異世界グルメ、やるじゃん!」
味付けは意外と濃いめで、異世界風というか知らない味だけど、醤油と中濃ソースの中間みたいな……なんだろ、なんとなく馴染みがあってイケる!
果物ジュースも、いくつかの種類の酸味と甘みと香りが一体になっていて、ぶっちゃけミックスジュースそのまんまな味だ。でも目の前で絞ってくれていたから、抜群に新鮮。これ以上のものはないって感じ。
屋台でこんなレベル高いなら、ちゃんとした飯屋なら相当期待できるんでは?
まだまだ制覇していないので明日の朝は屋台で食べて、夜こそガッツリお店に行ってみようと決めるのだった。
***
翌日。ぐっすり眠れて旅の疲れもすっかり取れ、朝食は予定通り屋台でベトナムフォーみたいな麺入りスープ食べる。これもやっぱりうまい!
それから、昨日気になっていた道場みたいな所に行ってみることにした。
いくつもあったんだが、どうも槍とか剣とか、それぞれの武器の使い方を教えているみたいだ。
俺が持ってるのは剣だから、まずは剣を教えてもらおうかな。
「たのもー、は違うか。すみませーん」
入っていいのか分からないので、門の所から呼びかけてみる。すると、やたら人相の悪い獣人の男が奥から出てきた。
何の動物かはよく分からん。鼠のような猫のような……この世界独自のやつかな?
「入門希望の者か。剣はあるようだが、経験者か?」
ジロッとこっちの全身を見てくるそいつの目が、なんだか値踏みしているようで嫌な感じだ。つうか、多分そうなんだろう。
「はい、素人なもんで、剣の使い方を教えてもらえたらって。ここはそういう所なんですかね?」
そう言うと、男は一気に不機嫌そうな態度を隠さなくなった。
「当たり前だろう。この名高き赤剛石流を知らんで来たのか? 無礼な奴め……いいだろう、一手つけてやる。来い!」
お、なんか道場破りみたいな感じになってない? まあ、お手並み拝見てことで、お邪魔しますかね。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる