魔法が使えない魔女は、侯爵令嬢に拾われてメイドになりました ~結婚を嫌がるお嬢様を攫って旅に出ます!~

響城藍

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【ep.18】私は騎士、私の騎士

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 みんなは無言で私の前に立っている。ドラゴンがいつ攻撃してくるのか見定めながら。
 私は何を言えばいいのか判らなくて、長剣を構えたまま動けなかった。
 そうしている間にドラゴンは近付いてきて、地響きの様な鳴き声を出して、私たちに襲い掛かる。

「シャルル、エマをよろしくお願いしますね」
「うん」
「え……っ、シャルル!?」
「エマくん、シャルロットが、まもる」

 シャルルは私の背中に乗って来て落ちない様にしっかりと私の服を掴んでいた。
 前にソフィアと連携して防御壁を作っていた事を私にしている。
 でもそれじゃあ、ソフィアに盾が無くなってしまう。私は慌ててソフィアを見ると、勢いよくドラゴンに向かってしまっていた。
 私が追いかけるより先にレアがソフィアの後ろを走って行って、ソフィアの拳とレアの双剣がドラゴンに当たって弾かれる。その直後にノアの弓がドラゴンを襲って、ドラゴンの動きが鈍くなっている間に、ソフィアとレアはドラゴンとの距離を開ける。

「マリア?」
「あなたばかり騎士ナイトでいないでくださいなっ」

 私の前で守る様にマリアが槍を構えている。そこは私のいるべき場所だ。だけど、マリアは私の相棒パートナーなんだ。だからお互いに守って守られる存在であるべきなんだと、マリアの背中から伝わって来た。

「あなたのことは何があっても守りますわ! だってエマは、神様になる方ですものっ」

 私の前に飛んでくるものを槍で弾き飛ばすマリアの背中は温かくて、守られている事の安心感を実感できた。同時に目の前にいるマリアの事が心配になる。

(マリアはずっとこんな気持ちを抱いていたんだね)
 
 大切だからこそ力になりたいと思っていたマリアの気持を理解しながら、私はみんなに守られていた。
 
 みんなの攻撃でドラゴンは段々と動きが鈍くなっていて、私は様子を伺っていた。
 ドラゴンの隙が出るチャンスを確実に狙うために。
 みんな傷だらけになって必死に戦っていて、みんなの攻撃が集中的にドラゴンを攻める。ドラゴンの動きが一瞬止まったのを捉えて、私は走り出す。

「私もみんなを守るんだッ!」

 マリアを飛び越えてドラゴンの真上にジャンプした私は、そのまま剣を振りかざす。
 とどめの一撃でドラゴンは倒れた。

 私は地面に着地すると、ドラゴンの前に立つ。
 ドラゴンがゆっくりと起き上がって私と視線を合わせてくれて、正気に戻ったのだと感じ取れた。

「私はエマ。きみと契約しに来たの」
『ああエマ様っ! あなたの力は素晴らしい。それに皆様との連携もとても素晴らしいものでした。どうぞ我の力をお受取りください』
「……その前にわたしから一つ質問があります」

 みんなが私の後ろに寄って来ていて、ソフィアが緊張した様子でドラゴンに問いかけた。質問を待っている様な素振りを見せたドラゴンにソフィアは不安そうな顔をしながら口を開く。

「エマが神様になるという事がどういう事なのか教えて頂けますか? たとえばこの世界に存在できるのか……など」
『皆様はエマ様の事をご心配されているのですね。エマ様が神様になられたら、天界へ移住する事になります。つまり人間としては存在できません』

 ドラゴンは神様になる事がどういう事なのか丁寧に説明してくれた。
 元々私は天界に生まれたんだけど、神様の子供は生まれてすぐに両親が人間界へ旅をさせて、神様になるために人間としての経験を積む。そしてドラゴンの力と惹かれ合う日が来たら、こうやって契約をしていって神様になるのだそう。
 神様になったら天界の住民へと戻って天界の王座に座り続ける。その期限は特になくて神様の地位を譲る事も出来る。それは自分の子供にしかできない事で、私の両親は神様の地位を私に託した。そして今、私が神様になろうとしているのだそう。

『ご不安であれば契約を途中で破棄することも可能です。今まで契約した力は失われ、人間としての生活に戻りますが』
「それは……」
『どちらも強制ではありません。エマ様のお好きな道を進んでくださいませ』
 
 ドラゴンは優しい瞳で見つめてくれていて、私は真っ直ぐに見つめ返す。私が行く道はもう決めてあると返事をする様に。

『揺らがないお気持ち、確かに受け取りました。我の力も存分にお使いください』

 そう言ってドラゴンは指先で私の頭を軽く叩く。熱く燃える様な思いが私を包む様にして、私に火属性の力が宿った。
 私は手を上に向けるとそこから炎を放射する。噴火する様に天井を突き抜けて炎が飛んでいく。

『どうかお気をつけて』
「わぁっ! ありがとう!」

 ドラゴンは大きなカゴを持ってきてくれて、私はみんなに笑いかけるとシャルルがカゴに乗った。みんなも理解してゆっくりとカゴに全員乗ったのを確認すると、取っ手を掴むために私は羽を出して空を飛ぶ。

「みんなに素敵な景色を見せるね!」

 取っ手を掴んで私は空いた天井から空へ飛び出した。高く飛んで、驚いたみんなの声が心地よくて、私は楽しくなって空高く飛んで行った。
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