深い森の彼方に

とも茶

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第四章 放逐刑

4-5

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いつの間にか見覚えの無い町になっていた。街路表示やときおりある看板も聞いたことのない地名の羅列だった。不思議なことに、とっくに夜が明けて明るくなっていいはずなのに、日の出直前のぼんやりとした明るさがずっと続いていた。曇っているのだろうか。
人影も少なかったが、さすがに時折すれ違う人もいた。市街地を歩いていたときには、通行人は侮蔑の目を向けてきたが、次第にそのようなことはなくなってきた。すれ違いざま「おはようございます」と笑顔で声をかけてくる人もいた。自分の姿を道路脇の家のガラス戸に写し確認したが、相変わらず薄汚れたプラウスとプリーツスカート、顔は男丸出しだ。それでも馬鹿にするような目つきをする人がいなくなった。
いつの間にか家並みも疎らになり、すれ違う人も更に減った。そのすれ違う人たちはいつの間にか男性がいなくなり女性だけになった。庭で草取りをしている人も、洗濯を干している人も見かけた。畑で作業している人もいた。みんな女性だけになっていた。
更に歩き続けると、人家も女性の姿もなくなっていた。荒涼とした風景が広がりいつの間にか未舗装となった狭い道がひたすら前に続いていた。そのうち、徐々に周りの木々が増し、道は狭まり、深い森の中に入っていった。既に2度通ったあの森だった。足元には同じように下草に覆われた獣道が続き、疲労は増してきたが無意識のうちに足を前に進めていった。そのうち方向感覚も時間の感覚も分らなくなった。どちらの方向が男たちに交じって私が働いていた世界なのか、このままいけばまたあの城郭に戻ってしまうのか、それとも別の方角に向かって歩いているのか全くわからなくなった。足を止めて下草に腰をおろし休みたかったが、「休むな、歩き続けろ」と頭の中に無言の命令が響き渡っていた。歩き続けるしかなかった。
疲労と空腹は限界を超え、意識にも障害がでてきた。それでも足はまるでぜんまいじかけのおもちゃのように、前へ前へと進んでいた。しかし、徐々に足の動きは遅くなり、ついに止まった。止まると同時に身体はうつ伏せに倒れた。意識は遠のいていった。
ふと明るくなったような気がして、目が覚めた。顔を上げて周囲を見回すと、前方数百メートル先で鬱蒼とした深い森は途絶えていた。
最後の力を振り絞って起き上がった。ゆっくりと深い森の外に向かって歩き始めた。森を抜けると、前方には古色蒼然とした城郭が聳えていた。城壁は果てしなく続き、空は抜けるような青空だった。乾いた砂地に倒れ込んだが、必死に力を振り絞って這っていった。城門の前に到達したところで力尽きた。

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