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第六章 新たな生活 いじめに耐える
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翌日は朝から出社した。白のブラウスに黒の膝丈のフレアスカート、バッグに制服を詰め込み出勤した。「女子更衣室」というものは、トイレですら仕切りのないこの世界には存在しなかった。事務室の片隅のロッカーの前が着替えの場所のようで、既に何人かの女性が着替えをしていた。
「おはようございます。」
「ちょっとこのブラウスださいんじゃないの?」
「白いブラウスの下にピンクの下着つけてるわけ? センスないのねえ。」
いきなりキツイ言葉が飛んできた。無言で制服を取り出し着替えを始めた。
「制服をそんなバッグに詰め込んだら皺だらけじゃない、あんた馬鹿じゃないの?」
始業前からぼろくそだった。
朝のお茶出しは昨日と同じように罵声の連続だったが、何とか半分の時間で終わらせた。
事務室の一番入口に近い末席が私の席だった。机の上には案の定飲み終えたコーヒーの空き缶やゴミが散らかり、吐き出したガムまでがこびり付いていた。無言で机の片づけをしていると声がかかった。
「ちょっとあんた、これ清書しておいてちょうだい。」
鉛筆の殴り書きで埋め尽くされた十枚ほどのレポート用紙だ。こういったことは、向こうの世界でもやらされていていた。とびっきりの悪筆の先輩の字を解読できたのは私だけだった。しかし、メモは悪筆というレベルではなかった。本文と関係のない余計な落書があったり、コーヒーの染みで滲んでいるところもあった。
「どうしたの、まだできないの? やっぱりあんた頭悪いんじゃないの?」
「でも、仕事の内容がまだわかってないのでちょっと・・・」
「口答えするんじゃない。新入りが!」
清書の途中でトイレに立ち戻ってみると渡されたメモがなくなっていた。
青くなって机の周囲探した。ゴミ箱の中あった。
「何でこんな所に・・・」
「あら、それ大事なものだったの? 机の上整理してたんだけど、あなたの机もしてあげたのよ。誰が見てもゴミみたいなものを机に置いとくほうが悪いのよ。」
隣りの女性だった。
仕上がって持っていくと、
「何、このへたくそな字。それも間違いだらけで。」
半日の努力の成果は丸められたうえ投げつけられた。
一日中この調子だった。
次の日もそのまた次の日も毎日上司や先輩にいびられた。
一週間たったところで、もう辞めようと思った。別の職場を探そうと思ったが、どのように探したらいいのか分らなかった。トイレ掃除のほうがまだましだと思って地下街の管理事務所に行ったが、管理人はもう後釜が決まってるからの一言、すげなく追い払われた。
収入なんかなくていい、行ってたまるかとふて寝を決め込んだ。そういった日に限ってリーダーが朝から私の部屋に来た。
「いつまで寝てるんだ。」
ベッドから引きずり出されて殴られた。
「お前は、自分で職場を選べるような自由はないんだ。仕事をサボるなんてもってのほかだ。」
何度も殴られ、いやいや服に着替えて化粧して出勤した。オフィスに入るまでリーダーは私の後をつけてきた。
「サボろうと思っても、分かるんだからな。覚えておけ。」
リーダーは久々に恐ろしい姿に豹変していた。
「おはようございます。」
「ちょっとこのブラウスださいんじゃないの?」
「白いブラウスの下にピンクの下着つけてるわけ? センスないのねえ。」
いきなりキツイ言葉が飛んできた。無言で制服を取り出し着替えを始めた。
「制服をそんなバッグに詰め込んだら皺だらけじゃない、あんた馬鹿じゃないの?」
始業前からぼろくそだった。
朝のお茶出しは昨日と同じように罵声の連続だったが、何とか半分の時間で終わらせた。
事務室の一番入口に近い末席が私の席だった。机の上には案の定飲み終えたコーヒーの空き缶やゴミが散らかり、吐き出したガムまでがこびり付いていた。無言で机の片づけをしていると声がかかった。
「ちょっとあんた、これ清書しておいてちょうだい。」
鉛筆の殴り書きで埋め尽くされた十枚ほどのレポート用紙だ。こういったことは、向こうの世界でもやらされていていた。とびっきりの悪筆の先輩の字を解読できたのは私だけだった。しかし、メモは悪筆というレベルではなかった。本文と関係のない余計な落書があったり、コーヒーの染みで滲んでいるところもあった。
「どうしたの、まだできないの? やっぱりあんた頭悪いんじゃないの?」
「でも、仕事の内容がまだわかってないのでちょっと・・・」
「口答えするんじゃない。新入りが!」
清書の途中でトイレに立ち戻ってみると渡されたメモがなくなっていた。
青くなって机の周囲探した。ゴミ箱の中あった。
「何でこんな所に・・・」
「あら、それ大事なものだったの? 机の上整理してたんだけど、あなたの机もしてあげたのよ。誰が見てもゴミみたいなものを机に置いとくほうが悪いのよ。」
隣りの女性だった。
仕上がって持っていくと、
「何、このへたくそな字。それも間違いだらけで。」
半日の努力の成果は丸められたうえ投げつけられた。
一日中この調子だった。
次の日もそのまた次の日も毎日上司や先輩にいびられた。
一週間たったところで、もう辞めようと思った。別の職場を探そうと思ったが、どのように探したらいいのか分らなかった。トイレ掃除のほうがまだましだと思って地下街の管理事務所に行ったが、管理人はもう後釜が決まってるからの一言、すげなく追い払われた。
収入なんかなくていい、行ってたまるかとふて寝を決め込んだ。そういった日に限ってリーダーが朝から私の部屋に来た。
「いつまで寝てるんだ。」
ベッドから引きずり出されて殴られた。
「お前は、自分で職場を選べるような自由はないんだ。仕事をサボるなんてもってのほかだ。」
何度も殴られ、いやいや服に着替えて化粧して出勤した。オフィスに入るまでリーダーは私の後をつけてきた。
「サボろうと思っても、分かるんだからな。覚えておけ。」
リーダーは久々に恐ろしい姿に豹変していた。
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