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第十四章 思いもかけない変身
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この世界に来て初めてお目にかかる高級ホテル並みの豪華個室トイレだ。便器に腰を下ろそうとスカートをたくし上げ、ショーツを下ろしたところで愕然とした。
ショーツのクロッチの部分が鮮血で真っ赤に染まっていた。びっくりして用意してあったティッシュで股間を拭うと、手術で作っただけのはずだったあの部分から出血していた。どこかに傷がついたとか、腫物ができたとかの出血でもなかった。もちろん痔でもない。どう見ても膣の奥から血が出てきている。要するに生理だった。
何でだ。私は元々男で、この世界に来て性転換手術をして女の体にはなったが、それは外見を女と同じように作り替えただけで、子宮や卵巣を移植するなど体内から女になる手術をしたわけでもないし、そのような移植技術は聞いたこともない。それに初潮がおきるということは遺伝子レベルで性転換しているわけで、このようなことは世界中探してもありえないはずだ。この世界が、私の妄想の世界だからだろうか。私が女になりたいという妄想が、現実的な性転換手術ではなく遺伝子レベルで女性に変換したのだろうか。自分ではどうにもわからなかった。
少なくとも、彼女は私と近くで接して、体臭などで生理が来ていると分かったらしい。それで「仕事は無理」と言ったのだ。トイレを見渡すと、生理ナプキンもいくつかのサイズがそろっている。替えのショーツもある。放尿後血まみれのショーツは汚物入れに捨て、新しいショーツに生理ナプキンを装着した。
あの地下街のトイレ掃除のとき、経血まみれの女の股間を見たときの粘液放出対策として着けたとき以来だ。でも今回は新品のきれいなナプキンだった。
「女性になったのですね。おめでとうございます。」
セーラー服の美少女に言われて、何と答えたらいいのかわからなかった。曖昧にうなづきかえした。
「今日はお帰りになって、ゆっくりお休みなったほうがいいと思います。」
彼女に促されて、家に戻ることにした。
「その日はゆっくり」という程度ではなかった。
翌日もその次の日も一日中家にいた。下腹部に鈍痛が続き吐き気もする。初めての生理痛の経験だ。外に出て活動しようとする気力が全くわかない。生理休暇の必要性をひしひしと感じた。生理中でも平然と仕事をしていた女性もいたが、彼女たちの体調は大丈夫なのだろうか。
とにかくわかったことは、この世界は私の妄想がベースにあるということ。その妄想は「女になりたい」という妄想から出発したこと。しかし、私は性同一性障害だったわけでもないし、同性愛者でもない。性嗜好は女性に向いていた。その結果、女だらけの世界に没入し自分も女になってしまったということなのだ。
それも、自分の体は実在のものである。それが女性化するための手段として一方的な性転換手術、そして男性との関係、この二つで現実の肉体が女性になってしまったということなのだろう。そして、初潮まで来て、ということは妊娠もあり得るということだ。
おまけに、この世界には男がいないというややこしい状況にあるものだから、一時の性交渉のために元の世界(だろうと思う)に移動し、それも深い森を通過するのと同じような状況を再現しなくては移動もできないのだ。全体を整理すると、辻褄が合うというばそのとおりだが、自分の今後を考えると頭が混乱するばかりだった。
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