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第125章:やまたの…?変な名前デス
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ガアアアアアン!!
まただ。爆発のような音が響く。発信源は目の前の多頭竜だ。
もしこれが意味や意思の込められた言葉だったならば、おそらく我輩にも影響を及ぼすであろうこの音はしかし、森を揺らし地を震わすに留まっている。
「何故ヒュドラがこの世界に…」
頭が1つ…2つ3つ4つ…………8つ…?
8つしかない?
「なんだこいつは…我輩の知るヒュドラでは無いのか…?」
『…神病ヤマタノオロチ。』
「なに?」
我輩のとなりで俯き、押し黙っていた竜王が、いつの間にか元の巨竜の姿に戻り、その口を震わせながらも確かにそう呟いた。
「やまた…の…なんだ?そのふざけた名前は?」
『このラゴラム建国のキッカケにして負の遺産だ。そいつは元々…某の息子よ。』
「こいつがか…?」
改めてヒュドラもどきに目を向ける。
鱗はどす黒く、腹は血のように赤く、その8つ首は地中から長く伸びている。
対して竜王の元の姿は余りにもかけ離れている。
鱗は純白で腹と同色。首は適度な長さでのび、背に翼をたたんでいる。
「似ても似つかぬわ。馬鹿にしているのか?」
『言っただろう、神病と。こいつも元々は某と同じ白だった。しかし、ヤマタノオロチに罹ったせいで…息子は…』
「説明しろ。ヤマタノオロチとはなんだ。なんなのだこの国は。」
『………』
竜王は答えなかった。ただ我輩のとなりで口を閉ざし、ヒュドラもどきを見続けていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後、竜王は部下の蜥蜴どもの元へ戻り、誘拐事件は自分の狂言であったこと、竜王主体となりがちな今の王国実力者達の体制を変えたかったことを説明し、詫びた。
王としてはあまりに短絡的で直情的であり、思慮に欠ける方法だ。
しかし、部下の誰もが竜王を責めることなく、頭を下げて自分達の不甲斐なさを詫びさえした。
なんだこいつらは…馬鹿を通り越して不気味だ…
普通上官がしくじれば弱みを握るなり意見を言うなりするはずだ。それが全く無い。
確かにこれは多少強引にでも変化させたくなるかもしれんな…
我輩は城に招かれた。竜王の客人としてだ。少々荒くなったが、偶々飛ばされた先で早くも拠点を得られたのは僥倖だったな。
この城をこの世界の仮の"死の宮"としようか…
そんなことを考えつつ、通された部屋で瞑想をしていたら、何かの気配が近寄ってきた。
…天井裏か?酷く朧げだが…
「痴れ者が。」
グサッ!!
影から隠れ兜の外套を伸ばし、天井に突き刺す。
『あやーーーーーー!?』
どたばたどたん!!バキッ!!
天井は割れ、そこから子竜が落ちて来た。我輩の外套はそいつの尻に刺さっている。
グシャッ!
『いぎゃん!!』
我輩は体を半身傾けて、子竜を避ける。子竜はザクロを亡者に叩きつけたような音を立てて床にめり込んだ。
さて、何者だこいつは。事と次第によっては子竜だろうと八つ裂きだが。
まただ。爆発のような音が響く。発信源は目の前の多頭竜だ。
もしこれが意味や意思の込められた言葉だったならば、おそらく我輩にも影響を及ぼすであろうこの音はしかし、森を揺らし地を震わすに留まっている。
「何故ヒュドラがこの世界に…」
頭が1つ…2つ3つ4つ…………8つ…?
8つしかない?
「なんだこいつは…我輩の知るヒュドラでは無いのか…?」
『…神病ヤマタノオロチ。』
「なに?」
我輩のとなりで俯き、押し黙っていた竜王が、いつの間にか元の巨竜の姿に戻り、その口を震わせながらも確かにそう呟いた。
「やまた…の…なんだ?そのふざけた名前は?」
『このラゴラム建国のキッカケにして負の遺産だ。そいつは元々…某の息子よ。』
「こいつがか…?」
改めてヒュドラもどきに目を向ける。
鱗はどす黒く、腹は血のように赤く、その8つ首は地中から長く伸びている。
対して竜王の元の姿は余りにもかけ離れている。
鱗は純白で腹と同色。首は適度な長さでのび、背に翼をたたんでいる。
「似ても似つかぬわ。馬鹿にしているのか?」
『言っただろう、神病と。こいつも元々は某と同じ白だった。しかし、ヤマタノオロチに罹ったせいで…息子は…』
「説明しろ。ヤマタノオロチとはなんだ。なんなのだこの国は。」
『………』
竜王は答えなかった。ただ我輩のとなりで口を閉ざし、ヒュドラもどきを見続けていた。
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その後、竜王は部下の蜥蜴どもの元へ戻り、誘拐事件は自分の狂言であったこと、竜王主体となりがちな今の王国実力者達の体制を変えたかったことを説明し、詫びた。
王としてはあまりに短絡的で直情的であり、思慮に欠ける方法だ。
しかし、部下の誰もが竜王を責めることなく、頭を下げて自分達の不甲斐なさを詫びさえした。
なんだこいつらは…馬鹿を通り越して不気味だ…
普通上官がしくじれば弱みを握るなり意見を言うなりするはずだ。それが全く無い。
確かにこれは多少強引にでも変化させたくなるかもしれんな…
我輩は城に招かれた。竜王の客人としてだ。少々荒くなったが、偶々飛ばされた先で早くも拠点を得られたのは僥倖だったな。
この城をこの世界の仮の"死の宮"としようか…
そんなことを考えつつ、通された部屋で瞑想をしていたら、何かの気配が近寄ってきた。
…天井裏か?酷く朧げだが…
「痴れ者が。」
グサッ!!
影から隠れ兜の外套を伸ばし、天井に突き刺す。
『あやーーーーーー!?』
どたばたどたん!!バキッ!!
天井は割れ、そこから子竜が落ちて来た。我輩の外套はそいつの尻に刺さっている。
グシャッ!
『いぎゃん!!』
我輩は体を半身傾けて、子竜を避ける。子竜はザクロを亡者に叩きつけたような音を立てて床にめり込んだ。
さて、何者だこいつは。事と次第によっては子竜だろうと八つ裂きだが。
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