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記録十六:裏町鍛冶屋にて
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キノクニが宿に無事到着した頃、ゼド邸の門前では、ゼドとギルド長が話し合っていました。
「とにかく、お客様はもういらっしゃいません。お引き取りくださいませ。ギルド長以下皆々様方。」
「旅人はどの宿へ向かったんだ?ゼド。教えてはくれないか。」
「いかにギルド長様といえど、それはできぬ相談でございます。彼は…私の本当のお客様ですから。」
「…そうか……一目、会いたかったが…」
ギルド長はしょんぼりしてしまいました。
「ガハハハハ!!しょうがねえさ!それに奴はしばらくこの都に居るんだろ?!」
「……まぁ、恐らくは…」
「な?!エドガー!縁が合えば巡り会えるさ!今日の所は俺達の負けだよ!!大人しく引き下がろうぜ!」
「……そうだな。仕事を放って来たしな…」
「……もう一度お会いしたかったですわ…キノクニ様…」
こうして、ギルド長達も、ゼド邸門前から引き上げて行きました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「グガー…グガー…んがっ……なんや。何事や?!」
時刻は夜22時。キノクニは剣とポーチをしっかり装備し、裏町に来ていました。もちろんグリモアはホルダーに吊っています。
「どこやねんここ…暗っ。今何時やねん…」
「裏町だ。そろそろ案内をしろ。鍛冶屋に行く。」
「ふああっ…はいはい…」
裏町はまさしく表通りとは反対側にあり、薄暗くて、狭く、入り組んだ道に建物を無理やり詰め込んだような場所です。
もちろんゴロツキやチンピラもたくさんいますが、キノクニは全て拳で黙らせていきました。
「…あ、そこ右な。」
「…」
「突き当たり右。」
「…」
「もいっちょ右。」
「おい。一周したぞ。ふざけているのか。」
「ちゃうて。必要やねん。ほれ。今度は左や。」
「ふん…」
その後も言い合いつつ、裏道を進んで行くと、やがて突き当たりに明かりを漏らす扉が見えて来ました。
「到着や。運賃はツケでええで。高級和紙をたらふくな!」
「黙れ。入るぞ。」
「ほいほい。」
ガチャッ…カランカラン…
「らっしゃい…座んなにいちゃん……チンピラ共をへこましたにいちゃん…ウヘヘッ…こんな寂れた店に、何の用だい…」
店内にはマスターしかおらず、席も机が2個、カウンターのみです。
しかし、壁には所狭しと酒が並べられています。
「こいつの知り合いの鍛治師を探している。」
キノクニはドワーフの生首をカウンターに置きました。もうグリモアも止めません。
「…!…こいつをどこで?」
「平原で殺した。胴もあるが?」
「いや、大丈夫だ…ウヘヘ…」
トントン。
マスターが床を軽く踏み鳴らすと、床板がガパリと開き、足音が聞こえて来ました。
「やー!髭面!なんか用?」
「鍛治師に客だよ…VIPだ…ウヘヘ…」
「やー!マジか!付いて来て!おいちゃん!!」
床の底から出て来たのは、薄汚れた格好の幼気な少女でした。背もかなり小さいです。
「…お前がアモンか…?」
「違うよー!アン爺ちゃんは下だよー!早くおいでおいでー!」
キノクニは首をしまい、少女について行きます。先にはまた扉があり、かなりの熱気を放っています。
「爺!VIPだよー!!」
「ああー?!あんだってえー!?」
中には老人が1人、カンカンと金属を打っていました。
「VIPだよー!」
「あんだー?!」
「VIPー!」
「あー?!」
「びっぷー!」
「しっぷー?!」
「…いや、もうええわ!!」
グリモアが痺れを切らして少女と老人に話しかけてしまいました。
「わっ…何今の…おじちゃんの声じゃないよね…」
「頭がギンギンするわい!!客なら客と言わんかいカナン!!」
老人…アモンと思われる鍛治師は、金属を水に浸けると、こちらに近寄って来ました。
「なんだい?!VIPだっつたか!?てことは俺の命の恩人ってことだが兄ちゃん…誰だ?!」
「旅の者だ。」
「ああん?!」
「旅の者だ。」
「あんだって?!」
「旅の者…」
「いや、だからもうええわ!!!」
「わっ!まただよー!面白い!!」
「がっがっがっ!!兄ちゃん声を使い分けるのか?!出来ればずっとその声で話してくれやがれ!」
キノクニは黙りこみ、代わりにグリモアを老人につきつけます。
「ああん?!なんだこりゃ!?くれんのか?」
「やらへんわ!オレはグリモア!!こいつはキノクニや!爺ちゃんがアモンか?!」
「かっ…!?」
「わはー!本が喋ったー!?」
グリモアはなぜか得意げです。
アモンはグリモアをまじまじと見ると、改めてキノクニを見ました。
「がっがっがっ!グリモアの所有者か!いよいよウチも魔の領域の仲間入りか!いかにも俺がアモンだ!で?!用件はなんだ!」
「見せたれキノクニ!」
キノクニは生首を取り出すと、アモンに見せます。
「んんっ…やー!!!こりゃおめぇあのクソドワーフの生首じゃねえかよー!!!がっがっがっがっ!!!あー!可笑しいぜ!!がっがっがっ!…どこで手に入れた!?」
「平原で殺したんや!!キノクニが!」
「がっがっがっがっがっ!!兄ちゃんが!?そりゃ傑作だ!!まさかそいつが死ぬとはなあ!!!あー!こりゃまさしく命の恩人だ!!ところでこいつの荷は?!たんまり持ってたろう?!」
キノクニはポーチから大きな布袋と胴体を出しました。
「こりゃすげぇ!マジックバックか!!いい品だな!どれどれ……あったぜ!魔入れの槌だ!!あー良かった!無事だったか!!」
「お前がこのドワーフの言うことなら何でも聞くと言う鍛治師か?」
「あー?!あんだって?!」
「爺ちゃんがこんドワーフの言うことなら何でも聞く鍛治師かて聞いてんねん!」
「がっがっがっがっがっ!たった今まではな!だが、今、こいつはもう喋れねえ!おいカナン!こいつを炉の炭にしちまいな!」
アモンはドワーフの生首を少女…カナンの方へ放ります。
「やー!シュートォ!!」
カナンは生首をそのまま蹴り飛ばし、炉に入れてしまいました。
もう原形は留めていません。
「がっがっがっ!!それで?恩人!なんか用か?!この魔鍛治師、アモン様によ!!」
「魔鍛治師…?」
「爺ちゃん!魔鍛治師てなんやねん!オレもこいつも聞いたことあらへんで!?」
「がっがっがっ!そりゃそうだろう!世界で1人、俺だけだからな!孫はまだまだ見習いだ!普通の鍛治師には強化出来ねえ禁呪具や魔具を強化出来る唯一の鍛治師よ!!がっがっがっ!どうなるかは保証しねえがな!」
「ガンという老人とは知り合いか。」
「ガン爺て知っとる?!」
「ガン爺…?!ああ!ガンマのことか!!あのジジイは俺と同門の癖に凡才だ!!俺のような才能は無かった!!まぁ奴より俺のが天才だったってだけだがなあ!がっがっがっがっがっ!」
「これを強化出来るか。」
キノクニが剣を差し出すと、アモンは急に黙り込んでしまいました。
「…こりゃ驚いた…おめえさんこれをどこで…いや、いい。言うな。余計な情報は腕を鈍らせる。」
「的を得ている。」
「オレなら気になるけどなぁ…」
アモンは剣をひとしきり触ると、キノクニに向き直ります。
「よし。わかった。恩人。これを俺に預けな。2日後にまた来い。必ず良いもんに仕上げてやる…その代わり、あのクソドワーフの荷は全部貰うぜ。」
「構わん…元々私には無用なものだ。」
「構わんて!」
「がっがっがっがっがっ!気前が良いな!それと恩人!その腰に下げてる鎖も寄越しな!」
「何…?」
「何でや?!」
「やー!何もとって食おうとか盗もうってんじゃねえよ!!そいつが俺に望んで来るんだよ!それぞれの自立を!新たなる形を!!呪物だろう!?悪いようにはしないぜ!」
「…ふん。必ず返せ。」
「絶対返しや!!爺ちゃん!」
「おおよ!コイツも2日後に取りに来い!!仕上げといてやらあ!」
「やらぁ!がっがっがっ!やー!」
アモンとカナンが揃ってガッツポーズをします。
キノクニは頷くと上に戻ろうとします。
「待ちな恩人!キノクニっつったな!!」
「…なんだ…」
「てめぇ…なんで顔が無ぇ?」
その瞬間、地下室を濃厚な殺意が埋め尽くしました。
続きは次回のお楽しみです。
「とにかく、お客様はもういらっしゃいません。お引き取りくださいませ。ギルド長以下皆々様方。」
「旅人はどの宿へ向かったんだ?ゼド。教えてはくれないか。」
「いかにギルド長様といえど、それはできぬ相談でございます。彼は…私の本当のお客様ですから。」
「…そうか……一目、会いたかったが…」
ギルド長はしょんぼりしてしまいました。
「ガハハハハ!!しょうがねえさ!それに奴はしばらくこの都に居るんだろ?!」
「……まぁ、恐らくは…」
「な?!エドガー!縁が合えば巡り会えるさ!今日の所は俺達の負けだよ!!大人しく引き下がろうぜ!」
「……そうだな。仕事を放って来たしな…」
「……もう一度お会いしたかったですわ…キノクニ様…」
こうして、ギルド長達も、ゼド邸門前から引き上げて行きました。
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「グガー…グガー…んがっ……なんや。何事や?!」
時刻は夜22時。キノクニは剣とポーチをしっかり装備し、裏町に来ていました。もちろんグリモアはホルダーに吊っています。
「どこやねんここ…暗っ。今何時やねん…」
「裏町だ。そろそろ案内をしろ。鍛冶屋に行く。」
「ふああっ…はいはい…」
裏町はまさしく表通りとは反対側にあり、薄暗くて、狭く、入り組んだ道に建物を無理やり詰め込んだような場所です。
もちろんゴロツキやチンピラもたくさんいますが、キノクニは全て拳で黙らせていきました。
「…あ、そこ右な。」
「…」
「突き当たり右。」
「…」
「もいっちょ右。」
「おい。一周したぞ。ふざけているのか。」
「ちゃうて。必要やねん。ほれ。今度は左や。」
「ふん…」
その後も言い合いつつ、裏道を進んで行くと、やがて突き当たりに明かりを漏らす扉が見えて来ました。
「到着や。運賃はツケでええで。高級和紙をたらふくな!」
「黙れ。入るぞ。」
「ほいほい。」
ガチャッ…カランカラン…
「らっしゃい…座んなにいちゃん……チンピラ共をへこましたにいちゃん…ウヘヘッ…こんな寂れた店に、何の用だい…」
店内にはマスターしかおらず、席も机が2個、カウンターのみです。
しかし、壁には所狭しと酒が並べられています。
「こいつの知り合いの鍛治師を探している。」
キノクニはドワーフの生首をカウンターに置きました。もうグリモアも止めません。
「…!…こいつをどこで?」
「平原で殺した。胴もあるが?」
「いや、大丈夫だ…ウヘヘ…」
トントン。
マスターが床を軽く踏み鳴らすと、床板がガパリと開き、足音が聞こえて来ました。
「やー!髭面!なんか用?」
「鍛治師に客だよ…VIPだ…ウヘヘ…」
「やー!マジか!付いて来て!おいちゃん!!」
床の底から出て来たのは、薄汚れた格好の幼気な少女でした。背もかなり小さいです。
「…お前がアモンか…?」
「違うよー!アン爺ちゃんは下だよー!早くおいでおいでー!」
キノクニは首をしまい、少女について行きます。先にはまた扉があり、かなりの熱気を放っています。
「爺!VIPだよー!!」
「ああー?!あんだってえー!?」
中には老人が1人、カンカンと金属を打っていました。
「VIPだよー!」
「あんだー?!」
「VIPー!」
「あー?!」
「びっぷー!」
「しっぷー?!」
「…いや、もうええわ!!」
グリモアが痺れを切らして少女と老人に話しかけてしまいました。
「わっ…何今の…おじちゃんの声じゃないよね…」
「頭がギンギンするわい!!客なら客と言わんかいカナン!!」
老人…アモンと思われる鍛治師は、金属を水に浸けると、こちらに近寄って来ました。
「なんだい?!VIPだっつたか!?てことは俺の命の恩人ってことだが兄ちゃん…誰だ?!」
「旅の者だ。」
「ああん?!」
「旅の者だ。」
「あんだって?!」
「旅の者…」
「いや、だからもうええわ!!!」
「わっ!まただよー!面白い!!」
「がっがっがっ!!兄ちゃん声を使い分けるのか?!出来ればずっとその声で話してくれやがれ!」
キノクニは黙りこみ、代わりにグリモアを老人につきつけます。
「ああん?!なんだこりゃ!?くれんのか?」
「やらへんわ!オレはグリモア!!こいつはキノクニや!爺ちゃんがアモンか?!」
「かっ…!?」
「わはー!本が喋ったー!?」
グリモアはなぜか得意げです。
アモンはグリモアをまじまじと見ると、改めてキノクニを見ました。
「がっがっがっ!グリモアの所有者か!いよいよウチも魔の領域の仲間入りか!いかにも俺がアモンだ!で?!用件はなんだ!」
「見せたれキノクニ!」
キノクニは生首を取り出すと、アモンに見せます。
「んんっ…やー!!!こりゃおめぇあのクソドワーフの生首じゃねえかよー!!!がっがっがっがっ!!!あー!可笑しいぜ!!がっがっがっ!…どこで手に入れた!?」
「平原で殺したんや!!キノクニが!」
「がっがっがっがっがっ!!兄ちゃんが!?そりゃ傑作だ!!まさかそいつが死ぬとはなあ!!!あー!こりゃまさしく命の恩人だ!!ところでこいつの荷は?!たんまり持ってたろう?!」
キノクニはポーチから大きな布袋と胴体を出しました。
「こりゃすげぇ!マジックバックか!!いい品だな!どれどれ……あったぜ!魔入れの槌だ!!あー良かった!無事だったか!!」
「お前がこのドワーフの言うことなら何でも聞くと言う鍛治師か?」
「あー?!あんだって?!」
「爺ちゃんがこんドワーフの言うことなら何でも聞く鍛治師かて聞いてんねん!」
「がっがっがっがっがっ!たった今まではな!だが、今、こいつはもう喋れねえ!おいカナン!こいつを炉の炭にしちまいな!」
アモンはドワーフの生首を少女…カナンの方へ放ります。
「やー!シュートォ!!」
カナンは生首をそのまま蹴り飛ばし、炉に入れてしまいました。
もう原形は留めていません。
「がっがっがっ!!それで?恩人!なんか用か?!この魔鍛治師、アモン様によ!!」
「魔鍛治師…?」
「爺ちゃん!魔鍛治師てなんやねん!オレもこいつも聞いたことあらへんで!?」
「がっがっがっ!そりゃそうだろう!世界で1人、俺だけだからな!孫はまだまだ見習いだ!普通の鍛治師には強化出来ねえ禁呪具や魔具を強化出来る唯一の鍛治師よ!!がっがっがっ!どうなるかは保証しねえがな!」
「ガンという老人とは知り合いか。」
「ガン爺て知っとる?!」
「ガン爺…?!ああ!ガンマのことか!!あのジジイは俺と同門の癖に凡才だ!!俺のような才能は無かった!!まぁ奴より俺のが天才だったってだけだがなあ!がっがっがっがっがっ!」
「これを強化出来るか。」
キノクニが剣を差し出すと、アモンは急に黙り込んでしまいました。
「…こりゃ驚いた…おめえさんこれをどこで…いや、いい。言うな。余計な情報は腕を鈍らせる。」
「的を得ている。」
「オレなら気になるけどなぁ…」
アモンは剣をひとしきり触ると、キノクニに向き直ります。
「よし。わかった。恩人。これを俺に預けな。2日後にまた来い。必ず良いもんに仕上げてやる…その代わり、あのクソドワーフの荷は全部貰うぜ。」
「構わん…元々私には無用なものだ。」
「構わんて!」
「がっがっがっがっがっ!気前が良いな!それと恩人!その腰に下げてる鎖も寄越しな!」
「何…?」
「何でや?!」
「やー!何もとって食おうとか盗もうってんじゃねえよ!!そいつが俺に望んで来るんだよ!それぞれの自立を!新たなる形を!!呪物だろう!?悪いようにはしないぜ!」
「…ふん。必ず返せ。」
「絶対返しや!!爺ちゃん!」
「おおよ!コイツも2日後に取りに来い!!仕上げといてやらあ!」
「やらぁ!がっがっがっ!やー!」
アモンとカナンが揃ってガッツポーズをします。
キノクニは頷くと上に戻ろうとします。
「待ちな恩人!キノクニっつったな!!」
「…なんだ…」
「てめぇ…なんで顔が無ぇ?」
その瞬間、地下室を濃厚な殺意が埋め尽くしました。
続きは次回のお楽しみです。
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