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記録三十四:海賊の島にて〜試練ニ
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『『『すげええええええ!!』』』
『大怪獣だ!イカタコだ!
1人で獲って来やがった!!』
『イカの部分はイカ焼きよん!』
『タコはたこ焼きばい!』
転送され、オオボケイカタコとともに現れたキノクニを、クルー達は大歓声で迎えました。
お祭り騒ぎで、今にもかぶりつきそうな勢いです。
『野郎どもおおおお!
静まりやがれぇ!』
リーダーが号令をかけ、クルー達を黙らせます。
『ただいまより、試練一の合否を発表する…』
キノクニは、どうでもいいという風に、佇んでいます。
グリモアは、必死に笑いをこらえています。
『……試練の結果は……合格っ!』
『『『ウィーーーーーー!!!』』』
クルー達は大喜びで、キノクニに抱きついたり、カタカタと肩を叩いて祝福してきます。
『絶対合格だと思ったわん!
大海獣をたった1人で仕留めたんですものん!
チューしちゃう!チュー!』
キノクニは、クラーケンを欲しがったクルーの頭蓋骨を抑え、チューを拒絶します。
『おいどんもここまでの海獣は中々見たことがなかばい!
大したもんでごわすな!』
『『『俺たちも!大海獣なら納得だーーー!!!』』』
タコ入道を求めたクルーも、他のクルー達も、とても満足気です。
『ケタケタケタケタ!!ギャハハハハハハ!!』
船上は、舞えや歌えやの大騒ぎ。
骸骨達がガッシャガッシャと踊ります。
『野郎どもぉ!島が見えたぞお!!』
と、リーダーが号令を上げると、すぐさまクルー達が着船準備に取り掛かります。
キノクニもリーダーが指す方を見ると、いかにもドクロ然とした山がそびえ立つ、霧に包まれた島が見えました。
『帆を降ろせーー!!錨を下げろーーー!!』
『『『ウィーーーーーー!!!』』』
キノクニは頭痛がして、頭を押さえて黙り込んでいます。
『おい、オッサンよ!お前はすげえ玉だな!
あれだけの獲物を狩ってきながら、少しも誇らず次の試練に思いを巡らせるとは!
ケタケタケタケタ!お前は将来、俺のようなリーダーになれるやもしれねぇな!!』
リーダーは、ケタケタと笑い、カタカタとキノクニの背を叩きまくり、続けます。
『そら!もうすぐ島に着く!
見た所それ以上荷物はなさそうだが、島に上陸する準備をしておけ!』
そう言うと、リーダーは他のクルーの様子を見に行ってしまいました。
「…」
「…な…キノクニ…」
「なんだ…」
「笑っても…ええ?…」
「………………………好きにしろ。」
「わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!!
もう負のスパイラルやん!なんで?!
なんでこうなるの!?全っぜん抜け出せへんやん!!
ほんまについてへんわ!
わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!!」
「ぬぅ…」
「はー、はー、ふぅ…
…んで、どうすんの?このままやと、島に上陸してまうやん。」
「…上陸し、隙をみて船を奪う。
…何故かは分からんが、コイツらとまともに戦っても、無駄しか生まぬ気がする。」
「分かるわ!
連中、無駄なんか一個も無いん体なんやけどな!
無駄どころかカッサカサの肉なし脳なしや!
わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!」
「むぅ…」
そして、何事もなく、無事に島に到着した海賊達とキノクニでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
島は綺麗に整備され、海賊達が通る道には、脇に花まで植えられていました。
『あちきのアイデアよん。
可愛いでしょん?』
女口調のクルーの仕業らしいです。
海賊達はイカタコを運べるサイズに切り分けると、次々とアジトの洞窟に運んで行きます。
キノクニは、リーダーに連れられ、アジトの前まで来ていました。
『ここが俺たちのアジトだ。
中はとても涼しく、食料や薬草は全てこの中に蓄えられる。
このアジトに入る前に、試練ニだ。』
リーダーは手指骨を2本立て、キノクニにフラフラと見せます。
『試練ニはこの島にいる、ある虫共の駆除だ。
奴らは俺達が食料を運びこむと、それを見計らったようにアジトに忍び込み、食料を貪り食って行く。
そこで、オッサンにはこの入り口で虫が入らないように番をしてもらいたい。』
「虫など小さ過ぎて見えんだろう。」
『いいや。奴らはオッサンの手の平ぐらいデカイ。すぐ分かるぜ。
真っ黒でテカテカしてやがる。
奴ら骨も食うからな。
うちの連中には、奴らが苦手なのが多い。
俺は大丈夫だがな。
やり方は自由だ。とにかく奴らを駆除してくれ。期待してるぜ!オッサン!』
「…」
キノクニの返事も待たずに、リーダーはどこかへ行ってしまいました。
「で?虫、片すんか?」
「期を伺い、小舟を拝借して脱出する。」
キノクニは壁を背に腰を下ろすと、周囲の気配に感覚を研ぎ澄ませます。
気配察知などという、やわなスキルでは無く、様々な修羅場を乗り越えてきた、キノクニの天然物の気配察知です。
「あ~…しかしあれやなぁ…ここの奴ら、見た目おっかないけど、オモロイ奴ばっかりやから、こんまま別れるのは名残り惜しいな~。」
「…ではお前が試練を突破しろ。私は魔族領で別のグリモアを探す。」
「……あかん。起こり得る未来やから…そらあかん。それにオレ、動けへんし…よしゃ。名残りは今消えたわ!」
「ふん。現金な奴め。」
「そう言わんといて~な~。
お前が一番やさかい、な?
堪忍やで~。」
「気色の悪い。」
そうこうしているうちに、運び込みの列が途切れました。
ピカッ!
キノクニは見切りをつけ、光魔法を発動させ、木に反射して茂みに隠れます。
「…よし。
気にしている者はいないな。」
「さらば!骸骨の楽園~!」
キノクニは一目散に、ジャングルの中を駆けて船を目指します。
もうすぐ船に着く…
しかし、皆さんは薄々勘付いているのでは無いのでしょうか。
これはある意味、お決まりのパターンだったのです。
「キノクニ!囲まれとる!丁度お前の手の平大の、素早く動く黒い奴!」
「ぬうぅっ…」
「鑑定や!ほれ!」
__________________
名前:黒群蜚蠊
種別:昆虫 Lv.1
数値:攻 18
:守 5
:魔 5
:運 5
特性:群にして個
:統一意識
:衝撃分裂
:迅速
:立体起動
:超五感
説明
いわゆるゴキブリ。1匹1匹は非常に弱
いが、群でたかられるとヒグマですら
10秒で跡形もなく消え去る。特定の狩
場を持つ習性があり、その鋭い五感で
どの狩場に新鮮な餌があるかを感知
し、全てを喰らい尽くす。
__________________
ビイイイイイイイン
「きゃあああああ!!ごごごごごゴキブリやああああ!!!いやあああああああああああ!!!」
キノクニを見つけたゴキブリ達は、キノクニを食べるために群がって来ます。
「…」
キノクニは棒立ちになり、ピクリともしません。
まさか、キノクニもグリモアと同じように、ゴキブリが苦手なのでしょうか?
「…」
キノクニは周囲の気配を念入りに探り、ゴキブリが全て自分にまとわりついて来たことを確認しました。
「…ふぅうううう…
…ぬあああああっ!!!!」
ドンッッッッッ!!!!
キノクニは、力を増幅させるあの輝きを体の中心…体幹に溜め、一気に放出しました。
これにはゴキブリ達もひとたまりもありません。
全てのゴキブリが一瞬にして消し飛んでしまいました。
編笠は少しかじられ、穴が空いていますが、アモンの作った外套やフード、鎧は傷1つ入っていません。
まだ鑑定していないので、詳しい数値は分かりませんが、あれだけのゴキブリの一斉攻撃を無傷で防ぎ切ったのです。
かなり頑丈な装備であると実証されました。
「あああああ…いやや…サブイボが…心のサブイボが止まらへん…」
「ふうううううぅぅ…実験的に試した技だが、中々に使えそうだ。」
「お前…あんな場面で実験すなや……
いや…もうええわ……」
グリモアの心は満身創痍です。
すると、茂みがガサガサと揺れ、ひょこりと青い物が見えました。
『おー!あの光はやっぱオッサンだったか!
あの虫共は…おお!凄え!一発で全て片付けたみてぇだな!』
「…なぜ分かる。」
『オレ達は場の残留思念を読むのが得意なんだ!
糞虫どもの無念がこの場に渦巻いて、最期を教えてくれんだよ!
ケタケタケタ!!
さあ!試練ニも無事合格だ!アジトを案内してやろう!
ついてこい!オッサン!』
キノクニは知らんぷりをして船の方へ向かおうとしましたが、やめました。
何故ならすぐそこに見えるはずの船が、見当たらなかったからです。
「…なぜ船が消えたのだ…」
『お!?いい質問だなぁ!
上を見ろ!』
キノクニが上を見上げると、なんと先程まで桟橋に停泊していたはずの海賊船が、空を飛んでいるではありませんか。
帆はたたまれ、巨大なプロペラが船の両脇から突き出て、舵の両側にはジェットエンジンが火を吹いています。
キノクニは二の句が継げず、ただただ見上げることしかできません。
『ケタケタ!ギャハハハハ!!
すげぇだろぅ!?うちの科学者のお手製、空飛ぶ海賊船だ!
プロペラもジェットエンジンも、全て一から研究して作り上げたんだぜ!
あいつは海賊にしとくにゃ勿体無え奴だよ!!
ケタケタケタケタ!!』
「オレ、ここまで滅茶苦茶やとは思わへんかったわ…」
「私もだ…」
『んあ!?なんか言ったかぁ!?
ケタケタケタケタ!!
おっと、もうすぐアジトに着く!
いい加減前を見て歩かねぇと、すっ転がっておっ死ぬぜ!!』
こうして、キノクニとグリモアは、半ば呆れつつ、アジトに入って行きました。
続きは次回のお楽しみです。
『大怪獣だ!イカタコだ!
1人で獲って来やがった!!』
『イカの部分はイカ焼きよん!』
『タコはたこ焼きばい!』
転送され、オオボケイカタコとともに現れたキノクニを、クルー達は大歓声で迎えました。
お祭り騒ぎで、今にもかぶりつきそうな勢いです。
『野郎どもおおおお!
静まりやがれぇ!』
リーダーが号令をかけ、クルー達を黙らせます。
『ただいまより、試練一の合否を発表する…』
キノクニは、どうでもいいという風に、佇んでいます。
グリモアは、必死に笑いをこらえています。
『……試練の結果は……合格っ!』
『『『ウィーーーーーー!!!』』』
クルー達は大喜びで、キノクニに抱きついたり、カタカタと肩を叩いて祝福してきます。
『絶対合格だと思ったわん!
大海獣をたった1人で仕留めたんですものん!
チューしちゃう!チュー!』
キノクニは、クラーケンを欲しがったクルーの頭蓋骨を抑え、チューを拒絶します。
『おいどんもここまでの海獣は中々見たことがなかばい!
大したもんでごわすな!』
『『『俺たちも!大海獣なら納得だーーー!!!』』』
タコ入道を求めたクルーも、他のクルー達も、とても満足気です。
『ケタケタケタケタ!!ギャハハハハハハ!!』
船上は、舞えや歌えやの大騒ぎ。
骸骨達がガッシャガッシャと踊ります。
『野郎どもぉ!島が見えたぞお!!』
と、リーダーが号令を上げると、すぐさまクルー達が着船準備に取り掛かります。
キノクニもリーダーが指す方を見ると、いかにもドクロ然とした山がそびえ立つ、霧に包まれた島が見えました。
『帆を降ろせーー!!錨を下げろーーー!!』
『『『ウィーーーーーー!!!』』』
キノクニは頭痛がして、頭を押さえて黙り込んでいます。
『おい、オッサンよ!お前はすげえ玉だな!
あれだけの獲物を狩ってきながら、少しも誇らず次の試練に思いを巡らせるとは!
ケタケタケタケタ!お前は将来、俺のようなリーダーになれるやもしれねぇな!!』
リーダーは、ケタケタと笑い、カタカタとキノクニの背を叩きまくり、続けます。
『そら!もうすぐ島に着く!
見た所それ以上荷物はなさそうだが、島に上陸する準備をしておけ!』
そう言うと、リーダーは他のクルーの様子を見に行ってしまいました。
「…」
「…な…キノクニ…」
「なんだ…」
「笑っても…ええ?…」
「………………………好きにしろ。」
「わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!!
もう負のスパイラルやん!なんで?!
なんでこうなるの!?全っぜん抜け出せへんやん!!
ほんまについてへんわ!
わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!!」
「ぬぅ…」
「はー、はー、ふぅ…
…んで、どうすんの?このままやと、島に上陸してまうやん。」
「…上陸し、隙をみて船を奪う。
…何故かは分からんが、コイツらとまともに戦っても、無駄しか生まぬ気がする。」
「分かるわ!
連中、無駄なんか一個も無いん体なんやけどな!
無駄どころかカッサカサの肉なし脳なしや!
わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!」
「むぅ…」
そして、何事もなく、無事に島に到着した海賊達とキノクニでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
島は綺麗に整備され、海賊達が通る道には、脇に花まで植えられていました。
『あちきのアイデアよん。
可愛いでしょん?』
女口調のクルーの仕業らしいです。
海賊達はイカタコを運べるサイズに切り分けると、次々とアジトの洞窟に運んで行きます。
キノクニは、リーダーに連れられ、アジトの前まで来ていました。
『ここが俺たちのアジトだ。
中はとても涼しく、食料や薬草は全てこの中に蓄えられる。
このアジトに入る前に、試練ニだ。』
リーダーは手指骨を2本立て、キノクニにフラフラと見せます。
『試練ニはこの島にいる、ある虫共の駆除だ。
奴らは俺達が食料を運びこむと、それを見計らったようにアジトに忍び込み、食料を貪り食って行く。
そこで、オッサンにはこの入り口で虫が入らないように番をしてもらいたい。』
「虫など小さ過ぎて見えんだろう。」
『いいや。奴らはオッサンの手の平ぐらいデカイ。すぐ分かるぜ。
真っ黒でテカテカしてやがる。
奴ら骨も食うからな。
うちの連中には、奴らが苦手なのが多い。
俺は大丈夫だがな。
やり方は自由だ。とにかく奴らを駆除してくれ。期待してるぜ!オッサン!』
「…」
キノクニの返事も待たずに、リーダーはどこかへ行ってしまいました。
「で?虫、片すんか?」
「期を伺い、小舟を拝借して脱出する。」
キノクニは壁を背に腰を下ろすと、周囲の気配に感覚を研ぎ澄ませます。
気配察知などという、やわなスキルでは無く、様々な修羅場を乗り越えてきた、キノクニの天然物の気配察知です。
「あ~…しかしあれやなぁ…ここの奴ら、見た目おっかないけど、オモロイ奴ばっかりやから、こんまま別れるのは名残り惜しいな~。」
「…ではお前が試練を突破しろ。私は魔族領で別のグリモアを探す。」
「……あかん。起こり得る未来やから…そらあかん。それにオレ、動けへんし…よしゃ。名残りは今消えたわ!」
「ふん。現金な奴め。」
「そう言わんといて~な~。
お前が一番やさかい、な?
堪忍やで~。」
「気色の悪い。」
そうこうしているうちに、運び込みの列が途切れました。
ピカッ!
キノクニは見切りをつけ、光魔法を発動させ、木に反射して茂みに隠れます。
「…よし。
気にしている者はいないな。」
「さらば!骸骨の楽園~!」
キノクニは一目散に、ジャングルの中を駆けて船を目指します。
もうすぐ船に着く…
しかし、皆さんは薄々勘付いているのでは無いのでしょうか。
これはある意味、お決まりのパターンだったのです。
「キノクニ!囲まれとる!丁度お前の手の平大の、素早く動く黒い奴!」
「ぬうぅっ…」
「鑑定や!ほれ!」
__________________
名前:黒群蜚蠊
種別:昆虫 Lv.1
数値:攻 18
:守 5
:魔 5
:運 5
特性:群にして個
:統一意識
:衝撃分裂
:迅速
:立体起動
:超五感
説明
いわゆるゴキブリ。1匹1匹は非常に弱
いが、群でたかられるとヒグマですら
10秒で跡形もなく消え去る。特定の狩
場を持つ習性があり、その鋭い五感で
どの狩場に新鮮な餌があるかを感知
し、全てを喰らい尽くす。
__________________
ビイイイイイイイン
「きゃあああああ!!ごごごごごゴキブリやああああ!!!いやあああああああああああ!!!」
キノクニを見つけたゴキブリ達は、キノクニを食べるために群がって来ます。
「…」
キノクニは棒立ちになり、ピクリともしません。
まさか、キノクニもグリモアと同じように、ゴキブリが苦手なのでしょうか?
「…」
キノクニは周囲の気配を念入りに探り、ゴキブリが全て自分にまとわりついて来たことを確認しました。
「…ふぅうううう…
…ぬあああああっ!!!!」
ドンッッッッッ!!!!
キノクニは、力を増幅させるあの輝きを体の中心…体幹に溜め、一気に放出しました。
これにはゴキブリ達もひとたまりもありません。
全てのゴキブリが一瞬にして消し飛んでしまいました。
編笠は少しかじられ、穴が空いていますが、アモンの作った外套やフード、鎧は傷1つ入っていません。
まだ鑑定していないので、詳しい数値は分かりませんが、あれだけのゴキブリの一斉攻撃を無傷で防ぎ切ったのです。
かなり頑丈な装備であると実証されました。
「あああああ…いやや…サブイボが…心のサブイボが止まらへん…」
「ふうううううぅぅ…実験的に試した技だが、中々に使えそうだ。」
「お前…あんな場面で実験すなや……
いや…もうええわ……」
グリモアの心は満身創痍です。
すると、茂みがガサガサと揺れ、ひょこりと青い物が見えました。
『おー!あの光はやっぱオッサンだったか!
あの虫共は…おお!凄え!一発で全て片付けたみてぇだな!』
「…なぜ分かる。」
『オレ達は場の残留思念を読むのが得意なんだ!
糞虫どもの無念がこの場に渦巻いて、最期を教えてくれんだよ!
ケタケタケタ!!
さあ!試練ニも無事合格だ!アジトを案内してやろう!
ついてこい!オッサン!』
キノクニは知らんぷりをして船の方へ向かおうとしましたが、やめました。
何故ならすぐそこに見えるはずの船が、見当たらなかったからです。
「…なぜ船が消えたのだ…」
『お!?いい質問だなぁ!
上を見ろ!』
キノクニが上を見上げると、なんと先程まで桟橋に停泊していたはずの海賊船が、空を飛んでいるではありませんか。
帆はたたまれ、巨大なプロペラが船の両脇から突き出て、舵の両側にはジェットエンジンが火を吹いています。
キノクニは二の句が継げず、ただただ見上げることしかできません。
『ケタケタ!ギャハハハハ!!
すげぇだろぅ!?うちの科学者のお手製、空飛ぶ海賊船だ!
プロペラもジェットエンジンも、全て一から研究して作り上げたんだぜ!
あいつは海賊にしとくにゃ勿体無え奴だよ!!
ケタケタケタケタ!!』
「オレ、ここまで滅茶苦茶やとは思わへんかったわ…」
「私もだ…」
『んあ!?なんか言ったかぁ!?
ケタケタケタケタ!!
おっと、もうすぐアジトに着く!
いい加減前を見て歩かねぇと、すっ転がっておっ死ぬぜ!!』
こうして、キノクニとグリモアは、半ば呆れつつ、アジトに入って行きました。
続きは次回のお楽しみです。
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