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第七話 夫婦喧嘩は犬も食わない
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あー!もう!頭に来た!
「あのねぇ、休日だからって、私が全部やって当然だと思わないでよ!」
「えー?」
「なんで貴方は休日で、私は家事しないといけないのよ!私だって休日が欲しい!」
「えー。でも、俺働いているしさぁ。」
「皿洗いくらいしなさいよ!」
「あー。分かった。じゃあ後でやるから。」
「後でっていつよ!」
「後でだよー。」
そう言ってテレビの方へと体を向け、携帯をいじったりゲームをしたりする旦那さんを見て私のいらだちはピークを迎える。
「あぁ!もう!」
たまにちょっとしたことで本当にいらっとする日がある。こういう時には距離を少し開けることが大切なのだと最近分かってきた。
なので、財布と携帯とエコバックをもって私は立ち上がる。
「買い物行ってくるから、皿洗いしていてね。」
「はいはい。」
何がはいはいだっての!今してよって本当に思う。
玄関の扉を開けて、どんどんと進んでいくとそこが異世界なのをいいことに私はわめく。
「あー!やって当たり前だと思うなよ!皿洗い、料理、洗濯、洗濯取り込んでたたむのも!掃除だって!いっこくらいやってくれたっていいじゃない!休日くらい、手伝ってくれたっていいじゃない!もう!」
そう言って近くに生えていた黒いキノコを勢いよく蹴りつけると、黒いキノコが「ひゃんっ!」と鳴いて逃げて行った。
「え?」
様子を見ていると、もうひとり赤いキノコが居たようで、その赤いキノコには手足があり、こちらを振り返ると涙目で言った。
「助かりました。悪いキノコに襲われていたんです。貴方は命の恩人です。」
「え?え?いや、偶然です。」
「でも、助けていただいたのには変わりません。お礼をさせて下さい。」
「いえいえ、私もむしゃくしゃしていただけなので。」
「あぁ、先ほど叫んでいらっしゃったことですか?」
「え?」
「ふふ。聞こえましたよ。でもどこも同じですね。うちの旦那も何もしないんです。」
「ほう。貴方の家もですか?」
「ええ。立ち話もなんですから、座って話でもしません?」
「いいですよ。」
「お礼もしたいですし、森のカフェがあるんですよ。こっちです。」
キノコに手招きをされて進んでいくと、そこにはこじんまりとしたカフェがあり、テラス席に座ると、キノコが水を持ってきてくれた。
「あの、私この世界のお金持ってないんですけど。」
「悪いキノコに襲われている所を助けていただいたんです。もちろん私がご馳走しますよ。」
「いいんですか?」
「もちろんです。」
キノコのお言葉に甘えてごちそうになる事にすると、キノコのお勧めで森のカフェおすすめのケーキセットが運ばれてきた。
「わぁ、可愛い。」
「でしょう?私もね、旦那への不満がたまるとこうしてリフレッシュするんですよ。」
「大事ですよねぇ。リフレッシュ。」
「ええ。大事ですよ。だってねぇ、お前は働いてないだろうなんて言われたりすますけど、じゃあ家事は全部誰がやってんだって話ですよ。」
「そうそう!こっちだって、頑張ってるんだぞって言いたくなりますよねぇ。」
「ええ。私子どもが三人いるんですけど、普通の家事に子どもの世話が入ると、もうどうしようもないくらい忙しいし、自分の時間は持てないし、ちょっとくらい休日が欲しいですよ。」
「ああ。お子さんがいるとまた忙しいですよねぇ。うちはまだ居ないんですけどねぇ、それでも家事は案外大変だし、毎日夕食には頭を悩まされます。」
「どこも同じよねぇ。」
そんな事をしゃべりながら、ケーキやジュースを飲み、楽しく時間を過ごす。
「あ、この森ね、果物は豊富なのよ?」
「え?良いですね。だからこのフルーツタルトも美味しかったんだあ。旦那にも食べさせてあげたいです。」
「ふふ。おいしいでしょう。うちの旦那さんも好物なの。」
「へぇ、そうなんですか。」
「ええ。そうなのよ。」
会話は取り留めもないし、重要な話をしているわけではないけれど、話をしていると心が晴れ渡るから不思議だ。
「ふふ。じゃあお礼にお土産のケーキも持って帰って下さいな。旦那さんにもよろしくね。」
「ええ。ありがとうございます。」
お土産のケーキまで持たせてもらって、ルンルン気分で家の玄関を開けて帰ると、水道で洗い物をする音がした。
「ケーキもらっちゃったぁ。」
「やったぁ。ちゃんと洗い物もしたからねぇ。」
「ありがとう!」
他愛ない喧嘩もするし、愚痴も言うし、ぶつかることもあるけれど、こうして二人で過ごすのは幸せなこと。
一緒に異世界デザートも楽しみましょうね、旦那さん。
「あのねぇ、休日だからって、私が全部やって当然だと思わないでよ!」
「えー?」
「なんで貴方は休日で、私は家事しないといけないのよ!私だって休日が欲しい!」
「えー。でも、俺働いているしさぁ。」
「皿洗いくらいしなさいよ!」
「あー。分かった。じゃあ後でやるから。」
「後でっていつよ!」
「後でだよー。」
そう言ってテレビの方へと体を向け、携帯をいじったりゲームをしたりする旦那さんを見て私のいらだちはピークを迎える。
「あぁ!もう!」
たまにちょっとしたことで本当にいらっとする日がある。こういう時には距離を少し開けることが大切なのだと最近分かってきた。
なので、財布と携帯とエコバックをもって私は立ち上がる。
「買い物行ってくるから、皿洗いしていてね。」
「はいはい。」
何がはいはいだっての!今してよって本当に思う。
玄関の扉を開けて、どんどんと進んでいくとそこが異世界なのをいいことに私はわめく。
「あー!やって当たり前だと思うなよ!皿洗い、料理、洗濯、洗濯取り込んでたたむのも!掃除だって!いっこくらいやってくれたっていいじゃない!休日くらい、手伝ってくれたっていいじゃない!もう!」
そう言って近くに生えていた黒いキノコを勢いよく蹴りつけると、黒いキノコが「ひゃんっ!」と鳴いて逃げて行った。
「え?」
様子を見ていると、もうひとり赤いキノコが居たようで、その赤いキノコには手足があり、こちらを振り返ると涙目で言った。
「助かりました。悪いキノコに襲われていたんです。貴方は命の恩人です。」
「え?え?いや、偶然です。」
「でも、助けていただいたのには変わりません。お礼をさせて下さい。」
「いえいえ、私もむしゃくしゃしていただけなので。」
「あぁ、先ほど叫んでいらっしゃったことですか?」
「え?」
「ふふ。聞こえましたよ。でもどこも同じですね。うちの旦那も何もしないんです。」
「ほう。貴方の家もですか?」
「ええ。立ち話もなんですから、座って話でもしません?」
「いいですよ。」
「お礼もしたいですし、森のカフェがあるんですよ。こっちです。」
キノコに手招きをされて進んでいくと、そこにはこじんまりとしたカフェがあり、テラス席に座ると、キノコが水を持ってきてくれた。
「あの、私この世界のお金持ってないんですけど。」
「悪いキノコに襲われている所を助けていただいたんです。もちろん私がご馳走しますよ。」
「いいんですか?」
「もちろんです。」
キノコのお言葉に甘えてごちそうになる事にすると、キノコのお勧めで森のカフェおすすめのケーキセットが運ばれてきた。
「わぁ、可愛い。」
「でしょう?私もね、旦那への不満がたまるとこうしてリフレッシュするんですよ。」
「大事ですよねぇ。リフレッシュ。」
「ええ。大事ですよ。だってねぇ、お前は働いてないだろうなんて言われたりすますけど、じゃあ家事は全部誰がやってんだって話ですよ。」
「そうそう!こっちだって、頑張ってるんだぞって言いたくなりますよねぇ。」
「ええ。私子どもが三人いるんですけど、普通の家事に子どもの世話が入ると、もうどうしようもないくらい忙しいし、自分の時間は持てないし、ちょっとくらい休日が欲しいですよ。」
「ああ。お子さんがいるとまた忙しいですよねぇ。うちはまだ居ないんですけどねぇ、それでも家事は案外大変だし、毎日夕食には頭を悩まされます。」
「どこも同じよねぇ。」
そんな事をしゃべりながら、ケーキやジュースを飲み、楽しく時間を過ごす。
「あ、この森ね、果物は豊富なのよ?」
「え?良いですね。だからこのフルーツタルトも美味しかったんだあ。旦那にも食べさせてあげたいです。」
「ふふ。おいしいでしょう。うちの旦那さんも好物なの。」
「へぇ、そうなんですか。」
「ええ。そうなのよ。」
会話は取り留めもないし、重要な話をしているわけではないけれど、話をしていると心が晴れ渡るから不思議だ。
「ふふ。じゃあお礼にお土産のケーキも持って帰って下さいな。旦那さんにもよろしくね。」
「ええ。ありがとうございます。」
お土産のケーキまで持たせてもらって、ルンルン気分で家の玄関を開けて帰ると、水道で洗い物をする音がした。
「ケーキもらっちゃったぁ。」
「やったぁ。ちゃんと洗い物もしたからねぇ。」
「ありがとう!」
他愛ない喧嘩もするし、愚痴も言うし、ぶつかることもあるけれど、こうして二人で過ごすのは幸せなこと。
一緒に異世界デザートも楽しみましょうね、旦那さん。
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