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二話 舞台にすら上がれない
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※ありがたいことにリクエストがありましたので、頑張って更新します!よろしくお願いします。
作者 かのん ←名前覚えてもらえたら、かなり嬉しいです。
★★★★
チャンスをつかむためにはどうするか。一番重要な事は何かご存じだろうか。
それは、ずばり、下準備である。
ここではっきりと言っておこう。戦場に向かう時、一番重要な事は下準備である。それを疎かにしてしまえば勝てる戦も勝てない。
ココレットは前世にてそれをよく学んでいた。
いくら聖女としての力があろうが、しっかりと鍛練を行い修行を重ねておかなければいざという時にその力を十分に発揮することは出来ない。
そうなればどうなるか、屈辱を味わう事になるのだ。
だからこそ、朝一番から湯あみをし、誕生日プレゼントにもらったここ一番と言う時にだけしか使わない香油を大切に大切に使って自分を磨き上げていく。
髪の毛も優しくタオルドライをして、丁寧に乾かして、櫛でとかして美しく結ってもらう。
ここまではいい。自分で出来る範囲である。ただし、ドレスに関しては難しすぎる。
侍女と相談して、どうにかこうにかドレスのリメイクを試みてはみたものの、やはり全体的に可愛らしい仕上がありとなっており、それだけは覆せない。
鏡の前には十分に美少女と呼べるレベルに仕上がっているココレットがいる。ただし、やはり、誰がどう見てもそこに映るのは美少女。
つまり、美女ではない。
「うん。可愛らしいぞココレット。・・頑張るんだぞ。」
「まぁ、ココレット。本当にとっても可愛らしいわ!これならきっと・・・えぇ。きっとどこかの誰かを射止められる・・いいえ。必ず射止めていらっしゃい。」
両親からの圧力を感じながら、ココレットは馬車へと乗り込み、王城へと向かう。
貧乏男爵家の馬車は外装はまだ美しさを保っているが、内装はすでにボロボロであり、人に見せられるようなものではない。
ココレットはドレスをひっかけないように座り、尻に直接的に響く振動を感じながら王城を目指す。こんなにもすぐに王宮の舞踏会に参加することになるとは思ってもみなかった。
婚約破棄された挙句、結局一曲すらも踊れずに終わった舞踏会。
前回の事を想いだし、苦虫を噛んだような表情をココレットは浮かべるが、すぐに頬を自分でこねくりまわして可愛らしい笑顔に戻すと、闘志を燃やす。
王子は、無理だろう。さすがに一国の王子があの会場でココレット運命を感じるとは思えない。もし一瞬でココレットを運命と感じ恋に落ちたというならば、ココレットは王子の性癖を疑う。
ココレットは恋愛がしたい。色恋についてあはは、うふふ、と他の友人と話してみたい。
だからと言って、小さな女の子が好きとかいう性癖の持ち主でいいかと言われたら、違うのだ。そういう人でないとココレットの事を好きになってくれないかもしれないが、ココレットだって乙女として夢が見たい。
狙いどころは婚約者のいない、独身の側近、もしくは騎士である。
「よし。頑張るわ。」
王宮についたココレットは、馬車から降りると会場までの道のりを歩いていく。他の令嬢達も今回はエスコート役はおらず、一人で歩いていっている。
一歩進んだところで、ココレットは令嬢達の装いに、絶望を感じていた。
下準備ですでに負けている。
どの令嬢も気合を入れているのが一目瞭然である。前回の舞踏会よりも恐らく金がかかっているだろう。
それに比べてココレットはどうか。金が掛けられない分、時間をかけたがやはりプロとアマでは大きな差が出てしまうものだ。
始まる前から負けた。そう、ココレットは絶望した様子でとぼとぼと舞踏会場へと向かい、そして建物の中へと入ると、会場の扉の前でため息をついてしまう。
ココレットはそれでも両親の姿を頭の中に思いだし、気合を入れて闘志にもう一度火をつける。
-やるしかないのよココレット!私は出来る子!気合で負けてたら、誰にも勝てないわ!
最終的に根性論に打って出たココレットである。両親からお前は心臓に毛が生えていると言われた事もある。
その時であった。
「あら、まぁ。可愛らしい子がいるわ。ねぇ貴方。今日はどうしたの?」
後ろから声を掛けられ、ココレットが振り返ると、そこには美しく艶めかしい装いの美女がいた。少し厚めの化粧も美女だからこそより一層に美しく似合っている。
胸元が大きく開いたドレスも、甘く香る香水も、見た目子どもなココレットには絶対に似合わない。
ココレットはあまりに美しいその人を見て硬直してしまう。その人が誰かなど一目瞭然であり、男爵令嬢であるココレットが容易く話のできる相手ではない。
「ちょっと、大丈夫?うふふ。でも本当に可愛らしいわね。一緒においでなさいな。ここは貴方には場違いな場所でしてよ。」
「え?あ・・でも」
「ほらほら。おいで。」
「え?あ、はい。」
誘われるままに手を引かれ、ココレットは美女に連れられて、舞踏会場から遠ざかっていく。
美女の色香に充てられて本来の目的から逸脱している事にココレットは気づいていない。
その頃、舞踏会場では第二王子であるローワンが姿を現し、令嬢達に挨拶を述べると、美しい令嬢達と会話をしたりダンスをしたり。
煌びやかな令嬢達は華がある。ただそんな華達の相手をローワン一人ではしきれないので、その場には王宮勤めの男性や、騎士達も参加し、ローワン本来の目的の為に笑顔の裏で取り調べが行っていく。
会話の中で、婚約者が以前いなかったか、婚約破棄されていないか、前回の舞踏会で庭へと出たかなど様々な事が楽しい会話の中で調べられていく。
少しばかり集団お見合いの雰囲気が醸し出され、何人かは本気で頬を染めあう姿も見られるが、ローワンにとってはそれらはどうでもいい事であった。
「どうだ。絞り込めたか?」
ローワンの言葉に、側近らは首を横に振った。
「殿下。この中には該当する者はいないようです。」
その言葉に、ローワンは一度黙り込むと、自分が聞き間違え可能性も視野に入れて側近へと口を開いた。
「やむを得ない。国王陛下から許可はもらっている。神官らを会場へと入れ、聖女がいないか調べろ。令嬢らには神官だとばれないようにな。」
「はい。」
数名の神官らが通常の神官服ではなく、執事服で会場を側近らとともにまわっていく。しばらくの間ローワンは横目でそれを見つめながら令嬢らと会話をし、そして神官らが帰って来ると一度席を外し、別室へと移動する。
聖女が居れば神官が気づかないわけがない。
しかし、本来神殿からほとんど出てこない神官らを外に連れ出して調べてもらったと言うのに、結果は思わしくなかった。
「本当に、いなかったのか?」
ローワンの言葉に、神官は頷く。
「はい。見せていただいた聖水は、まぎれもなく聖女が作ったもの。ですが、令嬢達の中に、あの聖水が作れるほどの力を持った者などいません。」
その言葉にローワンは大きくため息をつき、額を手で押さえた。
「では、私が見たのは幻だとでも?」
神官は首を横に振り、希望に満ちた瞳で言った。
「いいえ。実際に聖水が証拠として残っております。あれほどの力、神殿には必要な人材です。」
そんな事はローワンにも分かっている。だからこそ、今回の舞踏会を開いたのである。
「はぁ。とにかく分かった。下がっていいぞ。」
神官らは頭を下げ、その場から下がる。ローワンの側近であるシンは頭を抱えるローワンに、更に頭を抱えたくなることを伝える。
「殿下。王妃様より、婚約者選びについて報告に来るようにと、言付かってきました。」
「・・・まだ舞踏会は終わっていないと言うのに・・何故・・今。」
今回の舞踏会は聖女を見つける為だと王妃も知っているはずだが、王妃は第二王子に婚約者が未だ決まっていない事を良しとはしていなかった。その為、婚約者候補を見つけるようにと王子には伝えられていたのだ。
そんな場合ではないと何度も伝えても、聞く耳を持たない王妃である。
「はぁ・・会場に来た令嬢らに挨拶をしたら向かうと、伝えてくれ。」
ローワンは、大きくため息をつくと、自分を奮い立たせ立ち上がり、令嬢らに失礼にあたらないようにしっかり挨拶をし、側近らや王城勤めの者達のお見合いの場として後は花を咲かせてくれと締めくくった。王子を得られなかった令嬢らはがっかりとはしたものの、代わりに与えられたチャンスに、瞳を煌めかせたのであった。
「ほーら、お食べなさい。あーん。」
その頃ココレットは、美女から直々に”あーん”としてもらい、美味しくお菓子を咀嚼していた。
何か忘れている気がするが、美女の膝の上に乗せられてココレットはどうしたらいいのだろうかと困惑している。何故こうなった?そう、ココレットは思いながらも美女の色香には勝てなかった。そして何より、美女からの”あーん”は想像以上に至福の時だった。
作者 かのん ←名前覚えてもらえたら、かなり嬉しいです。
★★★★
チャンスをつかむためにはどうするか。一番重要な事は何かご存じだろうか。
それは、ずばり、下準備である。
ここではっきりと言っておこう。戦場に向かう時、一番重要な事は下準備である。それを疎かにしてしまえば勝てる戦も勝てない。
ココレットは前世にてそれをよく学んでいた。
いくら聖女としての力があろうが、しっかりと鍛練を行い修行を重ねておかなければいざという時にその力を十分に発揮することは出来ない。
そうなればどうなるか、屈辱を味わう事になるのだ。
だからこそ、朝一番から湯あみをし、誕生日プレゼントにもらったここ一番と言う時にだけしか使わない香油を大切に大切に使って自分を磨き上げていく。
髪の毛も優しくタオルドライをして、丁寧に乾かして、櫛でとかして美しく結ってもらう。
ここまではいい。自分で出来る範囲である。ただし、ドレスに関しては難しすぎる。
侍女と相談して、どうにかこうにかドレスのリメイクを試みてはみたものの、やはり全体的に可愛らしい仕上がありとなっており、それだけは覆せない。
鏡の前には十分に美少女と呼べるレベルに仕上がっているココレットがいる。ただし、やはり、誰がどう見てもそこに映るのは美少女。
つまり、美女ではない。
「うん。可愛らしいぞココレット。・・頑張るんだぞ。」
「まぁ、ココレット。本当にとっても可愛らしいわ!これならきっと・・・えぇ。きっとどこかの誰かを射止められる・・いいえ。必ず射止めていらっしゃい。」
両親からの圧力を感じながら、ココレットは馬車へと乗り込み、王城へと向かう。
貧乏男爵家の馬車は外装はまだ美しさを保っているが、内装はすでにボロボロであり、人に見せられるようなものではない。
ココレットはドレスをひっかけないように座り、尻に直接的に響く振動を感じながら王城を目指す。こんなにもすぐに王宮の舞踏会に参加することになるとは思ってもみなかった。
婚約破棄された挙句、結局一曲すらも踊れずに終わった舞踏会。
前回の事を想いだし、苦虫を噛んだような表情をココレットは浮かべるが、すぐに頬を自分でこねくりまわして可愛らしい笑顔に戻すと、闘志を燃やす。
王子は、無理だろう。さすがに一国の王子があの会場でココレット運命を感じるとは思えない。もし一瞬でココレットを運命と感じ恋に落ちたというならば、ココレットは王子の性癖を疑う。
ココレットは恋愛がしたい。色恋についてあはは、うふふ、と他の友人と話してみたい。
だからと言って、小さな女の子が好きとかいう性癖の持ち主でいいかと言われたら、違うのだ。そういう人でないとココレットの事を好きになってくれないかもしれないが、ココレットだって乙女として夢が見たい。
狙いどころは婚約者のいない、独身の側近、もしくは騎士である。
「よし。頑張るわ。」
王宮についたココレットは、馬車から降りると会場までの道のりを歩いていく。他の令嬢達も今回はエスコート役はおらず、一人で歩いていっている。
一歩進んだところで、ココレットは令嬢達の装いに、絶望を感じていた。
下準備ですでに負けている。
どの令嬢も気合を入れているのが一目瞭然である。前回の舞踏会よりも恐らく金がかかっているだろう。
それに比べてココレットはどうか。金が掛けられない分、時間をかけたがやはりプロとアマでは大きな差が出てしまうものだ。
始まる前から負けた。そう、ココレットは絶望した様子でとぼとぼと舞踏会場へと向かい、そして建物の中へと入ると、会場の扉の前でため息をついてしまう。
ココレットはそれでも両親の姿を頭の中に思いだし、気合を入れて闘志にもう一度火をつける。
-やるしかないのよココレット!私は出来る子!気合で負けてたら、誰にも勝てないわ!
最終的に根性論に打って出たココレットである。両親からお前は心臓に毛が生えていると言われた事もある。
その時であった。
「あら、まぁ。可愛らしい子がいるわ。ねぇ貴方。今日はどうしたの?」
後ろから声を掛けられ、ココレットが振り返ると、そこには美しく艶めかしい装いの美女がいた。少し厚めの化粧も美女だからこそより一層に美しく似合っている。
胸元が大きく開いたドレスも、甘く香る香水も、見た目子どもなココレットには絶対に似合わない。
ココレットはあまりに美しいその人を見て硬直してしまう。その人が誰かなど一目瞭然であり、男爵令嬢であるココレットが容易く話のできる相手ではない。
「ちょっと、大丈夫?うふふ。でも本当に可愛らしいわね。一緒においでなさいな。ここは貴方には場違いな場所でしてよ。」
「え?あ・・でも」
「ほらほら。おいで。」
「え?あ、はい。」
誘われるままに手を引かれ、ココレットは美女に連れられて、舞踏会場から遠ざかっていく。
美女の色香に充てられて本来の目的から逸脱している事にココレットは気づいていない。
その頃、舞踏会場では第二王子であるローワンが姿を現し、令嬢達に挨拶を述べると、美しい令嬢達と会話をしたりダンスをしたり。
煌びやかな令嬢達は華がある。ただそんな華達の相手をローワン一人ではしきれないので、その場には王宮勤めの男性や、騎士達も参加し、ローワン本来の目的の為に笑顔の裏で取り調べが行っていく。
会話の中で、婚約者が以前いなかったか、婚約破棄されていないか、前回の舞踏会で庭へと出たかなど様々な事が楽しい会話の中で調べられていく。
少しばかり集団お見合いの雰囲気が醸し出され、何人かは本気で頬を染めあう姿も見られるが、ローワンにとってはそれらはどうでもいい事であった。
「どうだ。絞り込めたか?」
ローワンの言葉に、側近らは首を横に振った。
「殿下。この中には該当する者はいないようです。」
その言葉に、ローワンは一度黙り込むと、自分が聞き間違え可能性も視野に入れて側近へと口を開いた。
「やむを得ない。国王陛下から許可はもらっている。神官らを会場へと入れ、聖女がいないか調べろ。令嬢らには神官だとばれないようにな。」
「はい。」
数名の神官らが通常の神官服ではなく、執事服で会場を側近らとともにまわっていく。しばらくの間ローワンは横目でそれを見つめながら令嬢らと会話をし、そして神官らが帰って来ると一度席を外し、別室へと移動する。
聖女が居れば神官が気づかないわけがない。
しかし、本来神殿からほとんど出てこない神官らを外に連れ出して調べてもらったと言うのに、結果は思わしくなかった。
「本当に、いなかったのか?」
ローワンの言葉に、神官は頷く。
「はい。見せていただいた聖水は、まぎれもなく聖女が作ったもの。ですが、令嬢達の中に、あの聖水が作れるほどの力を持った者などいません。」
その言葉にローワンは大きくため息をつき、額を手で押さえた。
「では、私が見たのは幻だとでも?」
神官は首を横に振り、希望に満ちた瞳で言った。
「いいえ。実際に聖水が証拠として残っております。あれほどの力、神殿には必要な人材です。」
そんな事はローワンにも分かっている。だからこそ、今回の舞踏会を開いたのである。
「はぁ。とにかく分かった。下がっていいぞ。」
神官らは頭を下げ、その場から下がる。ローワンの側近であるシンは頭を抱えるローワンに、更に頭を抱えたくなることを伝える。
「殿下。王妃様より、婚約者選びについて報告に来るようにと、言付かってきました。」
「・・・まだ舞踏会は終わっていないと言うのに・・何故・・今。」
今回の舞踏会は聖女を見つける為だと王妃も知っているはずだが、王妃は第二王子に婚約者が未だ決まっていない事を良しとはしていなかった。その為、婚約者候補を見つけるようにと王子には伝えられていたのだ。
そんな場合ではないと何度も伝えても、聞く耳を持たない王妃である。
「はぁ・・会場に来た令嬢らに挨拶をしたら向かうと、伝えてくれ。」
ローワンは、大きくため息をつくと、自分を奮い立たせ立ち上がり、令嬢らに失礼にあたらないようにしっかり挨拶をし、側近らや王城勤めの者達のお見合いの場として後は花を咲かせてくれと締めくくった。王子を得られなかった令嬢らはがっかりとはしたものの、代わりに与えられたチャンスに、瞳を煌めかせたのであった。
「ほーら、お食べなさい。あーん。」
その頃ココレットは、美女から直々に”あーん”としてもらい、美味しくお菓子を咀嚼していた。
何か忘れている気がするが、美女の膝の上に乗せられてココレットはどうしたらいいのだろうかと困惑している。何故こうなった?そう、ココレットは思いながらも美女の色香には勝てなかった。そして何より、美女からの”あーん”は想像以上に至福の時だった。
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