【完結】一緒にいてくれますか?

かのん

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第六話

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 明日が休みなのをいいことに、二人でだらだらと酒を飲み続けた。

 朝が近くなる頃に、蓮が机に突っ伏して寝てしまい、一人になると急に寂しくなる。

 もう自分も寝るかなと、考えた時、不意に蓮をじっと見つめてしまった。

 蓮は、色素の薄い髪をしており、染めてもいないのに毛色は茶。学校では散々注意され、本人は言われるのに慣れっこであった。

 小さな頃はそれも天使のように可愛らしく見える要因で、姉から怒られるたびに逃げてくる姿が可愛らしくてしょうがなかった。

「ふふ。」

 笑いがこぼれ、昔を思い出しながらその髪の毛を指で空いた。

 ふと、その時思ってしまった。

 蓮は、自分の事を好きだといったが、あれは肉体関係もこみであろうか。

 いや、恋愛的な意味で好きだといっていたからそうなのだろうが、現実味が感じられず髪の毛に絡めて遊んでいた手を止めた。

 唇に思わず目がいき、思わず指で優しく撫でてみた。

 柔らかな感触に少し驚くが、とても気持ちがいい。男なのにこんなに気持ちいいのか、これはさぞキスをしたら気持ちいいだろうなと、自分が考えていたことに愕然とする。

 何を考えているんだ。

 こんなの変態みたいじゃないかと焦り、指を引っ込めた。

 蓮が気持ち良さそうに寝息を立てていることに安堵すると、自分の心を落ち着かせるように息を吐く。

 すると、パチリと蓮の瞳が開いた。

「もう触らないの?気持ちよかったのに。」

 にやにやと笑いながらそう言われ、豊はショックと言わんばかりに眼を丸くした。

「起きてたのか。」

「兄ちゃんの手が気持ちよくてさ。起きちゃったんだよ。」

「すまなかったな。」

 豊のその焦った様子に嬉しそうに蓮はめを細める。

「ん?謝らなくていいよ。兄ちゃんに触られるの昔から好きだもの。」

 その言葉に、顔が熱くなる。

「そ、、そっか。」

 蓮は思わず伸ばしかけた手を止めて、自分の頭を抱え込むと項垂れた。

「あっぶない。、、、もう。兄ちゃんは俺の理性を試してんの?あんまり可愛すぎるのは罪デス。」

「え?」

 ジト目で蓮に睨まれ、とりあえずへらりと笑って流そうとすると、蓮は一度目を丸くし、そして悶た。

「あー、、。兄ちゃんが俺の理性を揺さぶってくる。我慢だ。俺。がまん!」

 その様子を笑ってはいけないのに、堪えきれず吹き出すと、蓮も笑った。

「ははっ!禁欲は辛いけど、兄ちゃんと一緒はすごく幸せだな。」

 その言葉に嬉しく思う自分いる。

「ありがとう。俺も幸せだ。」

「うん。今は家族愛でいいから。そのうち、違う愛にしてみせる。」

 にやりと色っぽく言われると、腰のあたりがぞくりとした気がした。

 なんだろうなと思いながら、またちびちびと酒を口にした。
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