7 / 22
六話 男爵家
しおりを挟む
遠縁の子爵家からトーランド男爵家に縁談が突然舞い込んだ時、男爵家の皆が何かしらがあったのだろうということを悟った。
そしてそれはトーランドの長男であるヴィクターへと告げられる。
「どうやら、姉の夫と、不貞を働いたようでな、それで子爵は早急にライカ嬢を嫁がせることにしたようだ。そこで白羽の矢がたったのが我が家というわけだ」
父であるダン・トーランドの言葉に、ヴィクターは頭を押さえた。
「それは、またすごいな」
「しかも誘ったのがライカ嬢であったようでな、姉のロザリー嬢は妊娠中だというし……はぁ。断ることもできるが、今後事業を広げていくうえで、あまり格上相手に強くも言えない状況だ」
トーランド家は男爵家とはいえ、この北の辺境の山を開拓し、現在かなりの鉱山を有している。その上、業績は上々でありその辺の上位貴族より裕福な状況にあった。
そんな彼らに必要なものはやはり上とのつながりであるから、子爵家との婚姻は悪い条件ではない。
ただ、嫁が淫乱な女性であるというのは、あまり良いとは言えない。
息子に苦労をさせたいわけがなく、ダンは渋い顔を浮かべる。
けれど、そんなダンの心配をヴィクターは笑い飛ばした。
「まぁ、実際にご令嬢に会ってみたいと分からないけど、妻とするならば自分を想ってもらえるように努力するよ。それに浮気しようとしても、ここには鉱山で働く者たちばかりで、ご令嬢のお眼鏡にかなうような男はいないしなぁ」
その言葉にダンは苦笑を浮かべた。
「まぁ、そうかもなぁ。では、この婚姻進めてもいいか? 一応、相手にはこちらに花嫁修業に来てもらう形として、結婚式は来年とするかな」
「了解。それでかまわないよ」
頼もしい笑顔でそううなずかれ、ダンは婚姻の了承の旨を手紙ですぐに送った。
それからしばらくして、ライカが馬車に揺られてこの地へとやってくるのだが、ヴィクターはライカに出会った瞬間雷に打たれることとなる。
家同士のつながりだからと、結婚にも期待していなかったヴィクターだ。
しかも鉱山の女たちは逞しく、筋肉質な女性が多い。
ヴィクターの母もまた、とても肉体的にも精神的にも逞しい人であったから、女性とはそういうものであるとヴィクターも思っていた。
「子爵家より参りました。ライカ・ウィズリーと申します。よろしくお願いいたします」
金糸のようにきらめく美しい髪と、淡い夕焼け色の瞳。その体の線は細いのに、体つきは女性らしく、ヴィクターは顔に一気に熱が集まるのを感じた。
全身を何かが駆け抜けていく。
そんな息子の姿を見たトーランド夫妻は、息子にも春が来たかと内心笑いをかみ殺した。
そしてそれはトーランドの長男であるヴィクターへと告げられる。
「どうやら、姉の夫と、不貞を働いたようでな、それで子爵は早急にライカ嬢を嫁がせることにしたようだ。そこで白羽の矢がたったのが我が家というわけだ」
父であるダン・トーランドの言葉に、ヴィクターは頭を押さえた。
「それは、またすごいな」
「しかも誘ったのがライカ嬢であったようでな、姉のロザリー嬢は妊娠中だというし……はぁ。断ることもできるが、今後事業を広げていくうえで、あまり格上相手に強くも言えない状況だ」
トーランド家は男爵家とはいえ、この北の辺境の山を開拓し、現在かなりの鉱山を有している。その上、業績は上々でありその辺の上位貴族より裕福な状況にあった。
そんな彼らに必要なものはやはり上とのつながりであるから、子爵家との婚姻は悪い条件ではない。
ただ、嫁が淫乱な女性であるというのは、あまり良いとは言えない。
息子に苦労をさせたいわけがなく、ダンは渋い顔を浮かべる。
けれど、そんなダンの心配をヴィクターは笑い飛ばした。
「まぁ、実際にご令嬢に会ってみたいと分からないけど、妻とするならば自分を想ってもらえるように努力するよ。それに浮気しようとしても、ここには鉱山で働く者たちばかりで、ご令嬢のお眼鏡にかなうような男はいないしなぁ」
その言葉にダンは苦笑を浮かべた。
「まぁ、そうかもなぁ。では、この婚姻進めてもいいか? 一応、相手にはこちらに花嫁修業に来てもらう形として、結婚式は来年とするかな」
「了解。それでかまわないよ」
頼もしい笑顔でそううなずかれ、ダンは婚姻の了承の旨を手紙ですぐに送った。
それからしばらくして、ライカが馬車に揺られてこの地へとやってくるのだが、ヴィクターはライカに出会った瞬間雷に打たれることとなる。
家同士のつながりだからと、結婚にも期待していなかったヴィクターだ。
しかも鉱山の女たちは逞しく、筋肉質な女性が多い。
ヴィクターの母もまた、とても肉体的にも精神的にも逞しい人であったから、女性とはそういうものであるとヴィクターも思っていた。
「子爵家より参りました。ライカ・ウィズリーと申します。よろしくお願いいたします」
金糸のようにきらめく美しい髪と、淡い夕焼け色の瞳。その体の線は細いのに、体つきは女性らしく、ヴィクターは顔に一気に熱が集まるのを感じた。
全身を何かが駆け抜けていく。
そんな息子の姿を見たトーランド夫妻は、息子にも春が来たかと内心笑いをかみ殺した。
42
あなたにおすすめの小説
妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。
夢草 蝶
恋愛
シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。
どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。
すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──
本編とおまけの二話構成の予定です。
溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。
妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。
しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。
父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。
レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。
その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。
だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。
「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。
石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。
ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。
ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。
母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
(完結)可愛いだけの妹がすべてを奪っていく時、最期の雨が降る(全5話)
青空一夏
恋愛
可愛いだけの妹が、全てを奪っていく時、私はその全てを余すところなく奪わせた。
妹よ・・・貴女は知らない・・・最期の雨が貴女に降ることを・・・
暗い、シリアスなお話です。ざまぁありですが、ヒロインがするわけではありません。残酷と感じるかどうかは人によるので、わかりませんが、残酷描写シーンはありません。最期はハッピーエンドで、ほのぼのと終わります。
全5話
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
私の婚約者とキスする妹を見た時、婚約破棄されるのだと分かっていました
あねもね
恋愛
妹は私と違って美貌の持ち主で、親の愛情をふんだんに受けて育った結果、傲慢になりました。
自分には手に入らないものは何もないくせに、私のものを欲しがり、果てには私の婚約者まで奪いました。
その時分かりました。婚約破棄されるのだと……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる