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リナリーの秘密の時間13
しおりを挟むリナリーとカールが毎日のように一緒に鍛錬をするようになってからしばらく経ったある日、リナリーがいつものように鍛錬場所に向かっていると、門の付近から、言い争うような声が聞こえてきた。
こんな朝早くに、どうしたのだとリナリーは疑問に思い伺うように物陰に隠れるとそちらを見つめた。
「、、、カール?」
目を凝らすとカールが言い合いをしながら、馬車に押し込められようとしていた。
「お前達!こんなことをしてただですむと思っているのか?!」
「思ってはおりません。ただ、こうすることが魔王様の為なのです。貴方様は邪魔なのです。」
「邪魔、、、、。」
「貴方様の事はこのわたくしがお世話いたします。ただ住まいが変わるだけにございます。」
「本当か?本当に僕は邪魔なのか?」
「はい。魔王様は婚礼の儀を控えております。この婚礼は平和の為には必要不可欠。しかし、貴方様がいては、この婚礼は上手く行かぬかもしれませぬぞ。」
「そうか、、、。わかった、、兄上は、この事をご存知なのか?」
「はい。了解は得ております。」
「、、、そうか。」
頷くと、カールは俯き、馬車の中へと静かに入っていった。
男達は辺りを見回し、誰にも見られていない事を確かめると馬車に乗り込んだ。
馬車は城門を潜り、走っていく。
リナリーはどうすべきか悩んだ。
だが、明らかに色々な事がおかしい。
予め探っていたようなこの早朝の時間、いつもはいるはずの門番がいないという事実。何よりカールの不安げな表情。
リナリーは馬小屋へと走ると、一頭のメス馬に触れた。
「朝早くにごめんなさい。力を貸してくれる?」
馬は伺うようにリナリーの瞳を見つめると了解したように嘶いた。
「ありがとう!」
リナリーは馬に軽やかに跨がると、駆け出した。
早く追わねば見失ってしまう。
自分の早とちりという事もある。とりあえすはどこにつれていかれるのか、見定めよう。
「スピードをあげるわ。よろしくね?」
馬はリナリーに答えるように道をかけていく。
雨が空から振り始めた。
冷たい雨は、馬車の足跡を消してしまうだろう。
急がなくてはならない。
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