【完結】皇女は当て馬令息に恋をする

かのん

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第七話

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 オフィリア帝国では、帝王オランドは苛立たしげにワインの入っていたグラスを地面に叩きつさて割った。

「また、失敗か?」

『はい。申し訳ございません。』

「いいかげんにしろ。何故、オーレリアは死なない?」

『何故かは、、、未だに不明です。』

「やはり魔女の子か。憎らしい。」

 オランドは大きくため息をつくと、新しいグラスにワインを執事に注がれ、それを煽る。

 早く死ねば良いものを、中々しぶとい。

「この手で殺せれば容易いものを、、、忌々しい。」

 オランドは大きく息を吐いた。

 その様子を見ていた息子のグレッグは口元をナプキンで拭いながら言った。

「父上。別段適当に理由をつけて戦争を始めても良いのでは?」

 すると、グレッグの横に腰掛けてた女性が可愛らしく笑った。

「私もそれでも良いのではないかと思いますわ。」

「リリアーナ嬢は好戦的だな。」

 オランドは、グレッグの横に座っていたレイズ王国第一王女の発言に笑みを浮かべた。

 敵国にやって来たというのに、この王女は臆することなくグレッグに取り入り、そして自分にも媚を売ってくる。そんな浅ましく自分の欲に貪欲な姿をオランドはとても好ましく思った。

「自分の国と戦争になってもいいのか?」

「ふふ。別に構いませんわ。だって、私を人質にするような国ですわよ?それに、帝国の方が住みやすく、グレッグ様もオランド帝王様もいらっしゃいますもの。」

 何とも操りやすい娘だろうか。オランドもこんな娘が欲しかったと溜め息を付き、そして微笑みを浮かべた。

「リリアーナ。そなたがわしの娘であれば良かったのになぁ。」

「あら?グレッグ様と結婚すれば娘ですわよ。」

 自分の欲求に素直で貪欲。

 本当に娘とするかは置いておき、今は使いやすいコマとしてオランドは笑を浮かべるのであった。



 オーレリアは、自室のバルコニーに1羽の鷲がとまっているのに気づき外に出た。

「ありがとう。長い道のりをごめんなさいね。」

 鷲の足にくくりつけられたアルバスからの手紙を取ると、オーレリアは手紙に口づけた。すると、手紙から文字が浮かび上がる。


【女神の元へと若者は祈りを捧げ、未だに足りぬ歓喜の歌を心で歌う。腐った果実は腐り続け、赤い果実は手おられる。身代わりの姫君は悪鬼なりて、魑魅魍魎の手を取った。民は悲痛にうめき、今か今かと女神を恋しく思う。死にたもうことなかれ。】

 言葉をゆっくりとなぞり、オーレリアはポタリと涙を流した。

 きっと、皆が苦しんでいる。その中でアルバスはきっと必死に動いてくれている。

 一人に重荷を背負わせてしまった事に申し訳なく思う。

『オーレリア?大丈夫?』

『手紙悲しかったの?』

 オーレリアは妖精達に笑みを返し首を横に振った。

「違うの。頑張っていてくれて、、、私も頑張らなきゃって。」

『そっかぁ。オーレリアはレスターと同じ頑張り屋さんだね。』

『お返事書くなら、届けてあげる。』

「え?この国の外よ?」

『ん?へっちゃらだよ?』

 その言葉にオーレリアは目を丸くして驚いた。妖精はこの国にしかいれないと思っていたが違うのだろうか。

「でも、私何もお礼出来ないわ。」

『オーレリア好きだから、お礼いらないよ?』

「でも、、、私だけ何かをお願いするのは、悪いわ。それでなくても、貴方達には助けられてばかりなのに。」

 その言葉に妖精達はにこにこと笑う。

『オーレリア可愛いなぁ。』

『あ、いいこと思いついた。』

 妖精達は円陣を組みこしょこしょと話をすると小さな妖精会議は終わったらしくオーレリアに言った。

『手紙を届けるから、お願いがあるの。』

「なぁに?」

『僕達とこれからも仲良くして?』

 オーレリアはその言葉に、小さく笑い声を漏らした。

「こちらからお願いしたいわ。でも、それでは私の気がすまないわ。そうねぇ、貴方達、好きな物はなぁに?」

 妖精達はまた円陣を組むとこしょこしょと話をして言った。

『お花は好きだよ!』

 オーレリアは、それを聞くと笑みを深めた。

「なら、学園内にお花畑を作ってもいいかお願いをしてみるわ。どうかしら?」

 妖精達はくるくると飛び回り、嬉しそうに声を上げた。

 オーレリアはその様子に温かな気持ちになりながらも祖国を思った。

 いつか、こんな妖精達が住まうような、素敵な国へと帝国を変えていきたい。

 そんな思いが、オーレリアの心に広がった。







 

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