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第十三話

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 ジャックフォッドは部屋を出ると剣を構え、屋敷へと侵入してきた黒装束の仮面をつけた男達を次々に倒していく。

「そこを・・・通してもらおう。」

 低い男の声に、ジャックフォッドは苦笑を浮かべると言った。

「何だ。我が妻に何か用でもあるのか?」

 ジャックフォッドの言葉に男は堪えきれなかったように笑い声を上げると言った。

「ふっふははっは、あれが本当は何者かも知らない愚か者が、妻とは笑わせるな。」

 男の言葉にジャックフォッドは眉間にしわを寄せる。

「お前、何者だ?」

 男は仮面を脱ぎ捨てると、エマによく似た瞳で、楽しげにジャックフォッドを見つめた。

「私はね、あれの兄さ。・・・・妹を助けに来たんだよ。」

 その言葉にジャックフォッドは怒りを露わにすると、エゼビアに切りかかった。

 エゼビアはそれを剣で受け止めると言った。

「へぇ・・・疑問に思わないか・・・・ということは、我が妹はお前に全てを話したのかな?」

「夫婦だからな。だが、お前を兄と呼ぶことは一生ない。何故このタイミングでここに現れた!?」

 ジャックフォッドの言葉に、エゼビアは余裕の笑みを絶やさずに行った。

「そりゃぁ、我が国に、正統なる王をすえる為さ。・・・どこに隠れているかと思っていたら、まさか魔物の国にいるとはな・・・我が妹ながら、なんと悍ましい事か。だが、この国に嫁いできてくれたおかげで、こうやって迎えに来ることが出来た。」

「お前はどうするつもりなのだ!」

「ん?・・・もちろん、あれを王に据えて私が操る。それがいい案だろう?・・・昔からそうしておかえばあんなことにはならなかったのだ。はぁ・・私も若輩者だったという事だ。」

 ジャックフォッドはエゼビアの剣を押し返すと、他の黒装束の男達からの攻撃をいなしながらエゼビアに切りかかる。

 それをエゼビアは近くにいた黒装束を盾にして避けると、にやりと笑った。

「何をそんなに怒る?」

「彼女はお前の道具じゃない。」

「?・・・あれは私の道具さ。」

「違う!彼女はエマだ!俺の妻だ。」

「はっはっ!お前頭がおかしいのではないか?あれは、化け物だ。」

「なっ!?」

 エゼビアがにやりと笑った時であった。

 部屋の中からエマの悲鳴が響き渡り、ジャックフォッドは慌てて部屋へと入った。

「エマ!」

 エマの立っている地面には怪しげな紋様が浮かび上がり、聖獣レフリーは地面に倒れ透明な糸のようなもので縛られている。

「ジャックフォッド様!」

「エマ!」

 ジャックフォッドがエマの手を掴もうとするが、それは空を切る。

 エマの姿が部屋から一瞬で消え、レフリーも消えた。

「貴様ぁぁぁっぁぁあ!」

 エゼビアにジャックフォッドは怒りの形相で切りかかるが、他の黒装束に邪魔されてたどり着けない。

 エゼビアは手をひらひらと振り、楽しげに笑みを浮かべると言った。

「ふふふ。化け物相手に、何の準備もしてこないわけがないだろう?・・・ではね?義弟くん?」

「まてぇぇぇぇっぇぇ!」

 エゼビアは姿を消し、ジャックフォッドが黒装束の男達を一掃するもエマもレフリーも奪われてしまった。

 ジャックフォッドは拳を握ると、剣を鞘へと戻し、王城へと向かった。

 その瞳は、怒りに燃えている。




 
 
 


 

 
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