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第一章
カインの不安 58
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ユーリはその後、エマの側によくいるようになり、フィリアもイベントを起こしては好感度を上げていったが、エマもそこで好感度を一緒に上げているように感じた。
そのおかげで、ついに春の期間が無事終了を告げた。
ユーリは涙目で喜んだ。
「エマ、僕頑張ったよ!良かった!僕はエマが大好きだ!」
「ユーリ様!私もユーリ様が大好きです!」
「おめでとうございます!やりましたね!私も嬉しいです!後3人、頑張ります!」
ユーリ、エマ、フィリアはにこやかに喜んでいる中、カインはげんなりとした様子であった。
「あー。最悪だ。今度は俺か。」
「カイン様!ファイトです。」
クロエラはカインを応援しているが、かなり心配そうである。
そして、実は内心カイン自身も不安であった。けしてクロエラが嫌いなわけではなく、好ましいとは思っている。だがしかし、ユーリに対するフィリアの演技力は凄まじく、不安がつのる。
「フィリア、、、手加減してくれないか。」
思わず弱気な発言をするカインに、フィリアはにやりと笑った。
「あら、カイン様。それは無理ですね。」
その言葉にがっくりとしたカインは大きくため息をついた。
だが、フィリアにのまれてはいけない。
しかし、残念なことにカインは次の日のフィリアに、かなり翻弄された。
太陽の日差しの中、フィリアは髪をポニーテールにくくり、元気一杯にカインの背中を叩いた。
「カイン様!おっはよーございます。」
歯を見せてにっこりと笑ったフィリアは眩しく見えて、カインは息を呑んだ。
なんでこんなにも雰囲気ががらりと変わるのかが分からない。
「そうだ。カイン様。今日の体育は男女合同でするようですよ。勝負ですね!負けませんよ。」
「あ?あー。了解。」
出来るだけ、興味ないように返事を返すと、フィリアはカインの服を掴み、上目遣いで見上げてきた。
「もー。ちゃんと聞いてます?」
「あ、、、あぁ。」
すると、表情をぱっと明るくして太陽のように笑った。
「勝負、私が勝ったら今日はお昼一緒に食べましょう。それじゃ、また後で。」
颯爽と走っていくフィリアの背を見送りながなんとなくぼーっとしてしまい、その後やっとへんな勝負をするはめになった事に気づくのであった。
フィリアは廊下を歩きながら、少し息をついた。
実はグリードが春からずっと行方がわからない。書き置きも何もなく、どこに行ったのかが分からず、フィリアは毎日悶々と過ごしていた。
つい、ぼーっとしたまま歩いてしまい、曲がり角で歩いてきていたハロルドとぶつかり驚いた。
「あ、、すみません。」
フィリアが転ばないように腰を支えたハロルドは、フィリアの顔色が悪いことに気が付いた。
「フィリア嬢。どうした?」
「ハロルド殿下。なんでもありません。ありがとうございます。」
そう言って離れようとしたのだが、ハロルドはフィリアを支える手に力を入れ、フィリアを離そうとしない。
「あ、、あの。」
次の瞬間、フィリアの一つに括った髪の毛をハロルドは解いてしまった。
「っ?何を、、」
「カインの為の髪型なんて、、キミにはしてほしくないな。」
フィリアは、首を傾げた。
「ユーリの時もだったがキミはその人の好みに合わせるのが上手いのだな。」
「え、、えぇ。精霊達に本気でと言われたので、、本気で頑張っていますから。」
「なら、私の好みにも出来るのか?」
「いえ、する意味がないので。」
「意味か、、、私が見たい。4人だけ見るのはなんだかずるい。」
いや、ずるいと言われても困るのだが。
「とにかく離してくださいませ。」
「じゃあ、4人との勝負が終わったら私の相手もしてくれ。」
「意味が分かりません。」
「、、、駄目か?」
悲しげな表情をされ、なんだか罪悪感が湧いてくる。
「だめ、、では、、ないですが。」
「なら、約束だ。フィリアが頑張ったご褒美に、美味しい物をたくさん用意するからな。」
その言葉に少しだけ嬉しさを感じる。
「本当ですか?」
「あぁ。だから、頑張れ。だが、疲れたらいつでも言ってくれ。休憩は大事だからな。」
そう言うと、ハロルドはフィリアの頭を優しくなでた。
ひと目のない所で良かったとフィリアは思った。
ハロルドはその後はすぐに離してくれたものの、私の調子が悪いと思ったのか、こちらを頻繁に見つめていた。
そのおかげで、ついに春の期間が無事終了を告げた。
ユーリは涙目で喜んだ。
「エマ、僕頑張ったよ!良かった!僕はエマが大好きだ!」
「ユーリ様!私もユーリ様が大好きです!」
「おめでとうございます!やりましたね!私も嬉しいです!後3人、頑張ります!」
ユーリ、エマ、フィリアはにこやかに喜んでいる中、カインはげんなりとした様子であった。
「あー。最悪だ。今度は俺か。」
「カイン様!ファイトです。」
クロエラはカインを応援しているが、かなり心配そうである。
そして、実は内心カイン自身も不安であった。けしてクロエラが嫌いなわけではなく、好ましいとは思っている。だがしかし、ユーリに対するフィリアの演技力は凄まじく、不安がつのる。
「フィリア、、、手加減してくれないか。」
思わず弱気な発言をするカインに、フィリアはにやりと笑った。
「あら、カイン様。それは無理ですね。」
その言葉にがっくりとしたカインは大きくため息をついた。
だが、フィリアにのまれてはいけない。
しかし、残念なことにカインは次の日のフィリアに、かなり翻弄された。
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「そうだ。カイン様。今日の体育は男女合同でするようですよ。勝負ですね!負けませんよ。」
「あ?あー。了解。」
出来るだけ、興味ないように返事を返すと、フィリアはカインの服を掴み、上目遣いで見上げてきた。
「もー。ちゃんと聞いてます?」
「あ、、、あぁ。」
すると、表情をぱっと明るくして太陽のように笑った。
「勝負、私が勝ったら今日はお昼一緒に食べましょう。それじゃ、また後で。」
颯爽と走っていくフィリアの背を見送りながなんとなくぼーっとしてしまい、その後やっとへんな勝負をするはめになった事に気づくのであった。
フィリアは廊下を歩きながら、少し息をついた。
実はグリードが春からずっと行方がわからない。書き置きも何もなく、どこに行ったのかが分からず、フィリアは毎日悶々と過ごしていた。
つい、ぼーっとしたまま歩いてしまい、曲がり角で歩いてきていたハロルドとぶつかり驚いた。
「あ、、すみません。」
フィリアが転ばないように腰を支えたハロルドは、フィリアの顔色が悪いことに気が付いた。
「フィリア嬢。どうした?」
「ハロルド殿下。なんでもありません。ありがとうございます。」
そう言って離れようとしたのだが、ハロルドはフィリアを支える手に力を入れ、フィリアを離そうとしない。
「あ、、あの。」
次の瞬間、フィリアの一つに括った髪の毛をハロルドは解いてしまった。
「っ?何を、、」
「カインの為の髪型なんて、、キミにはしてほしくないな。」
フィリアは、首を傾げた。
「ユーリの時もだったがキミはその人の好みに合わせるのが上手いのだな。」
「え、、えぇ。精霊達に本気でと言われたので、、本気で頑張っていますから。」
「なら、私の好みにも出来るのか?」
「いえ、する意味がないので。」
「意味か、、、私が見たい。4人だけ見るのはなんだかずるい。」
いや、ずるいと言われても困るのだが。
「とにかく離してくださいませ。」
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「意味が分かりません。」
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「だめ、、では、、ないですが。」
「なら、約束だ。フィリアが頑張ったご褒美に、美味しい物をたくさん用意するからな。」
その言葉に少しだけ嬉しさを感じる。
「本当ですか?」
「あぁ。だから、頑張れ。だが、疲れたらいつでも言ってくれ。休憩は大事だからな。」
そう言うと、ハロルドはフィリアの頭を優しくなでた。
ひと目のない所で良かったとフィリアは思った。
ハロルドはその後はすぐに離してくれたものの、私の調子が悪いと思ったのか、こちらを頻繁に見つめていた。
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