魔法使いアルル

かのん

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3話

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 その後、氷の王国へ私とレオ、お父さんの三人は向かうことになり、サリーとルビーは屋敷で待つことになった。

 荷物はお父さんが魔法で小さくしてくれた。

 氷の王国まではどうやっていくのだろうかと思っていると、特別な道を使わないといけないということで、私たちは、マダムレディのお店へ向かう。

 マダムレディは、一つ目の艶やかな紫色の唇をもつ不思議なお店の店主だ。

 マダムレディが歌を歌うと地面からツルが伸びてきて、行きたい場所への扉が開く。一度、ショッピングモールへ お父さんに連れて行ってもらって以来、マダムレディのところには来ていなかったので久しぶりである。

 お店へと入ると、すぐにマダムレディがこちらに気付いて笑みを浮かべた。

「あらあら、お久しぶりじゃない」

 お父さんはうなずくと、マダムレディに向かって言った。

「仕事でな。景気はどうだい?」

「ふふふ。まぁ、悪くはないわ。それで、今日はどこへ行きたいの?」

「氷の王国じゃ。行けるか?」

「もちろん。じゃあ、行くわよ」

 私は慌てて耳をふさぐと、レオも私の真似をして両耳をふさいだ。次の瞬間、耳を劈くような歌声が響き渡り、地
面からツルが伸び、氷の扉が現れた。

「行ってらっしゃい」

 マダムレディがひらひらと手を振り、私たちは氷の扉を通ったのであった。

 次の瞬間、肌に痛みが走るほどのの冷たさに包まれる。

「ふわぁぁぁ! 寒い寒い!」

「凍えちゃう! お父さん! 寒いよ!」

「ほっほっほ。寒いのぉ!」

 お父さんが杖を振ると、私たちの洋服は一瞬で冬服に変わった。多分服に魔法がかけられているのだろう。

 とても暖かい。

「ふわぁぁ。良かった。レオ大丈夫だった?」

「大丈夫。でも、指がまだ冷たいよ」

「うん! 鼻が痛い」

 私たちが凍えないように手をすり合わせていると、お父さんが指を指した。

「ほら、あそこが氷の王国の入り口だ。いくぞ」

「「はい!」」

 私たちはお父さんの後ろからついていくけれど、雪が降り積もっており、歩くのも大変である。

「うぅ。雪に埋もれるよ。アルル、手を繋いでいこう」

「うん。というか、お父さん! ほうき使っちゃだめなの?」

 すると、お父さんは白い息を吐きながら髭を撫でて言った。

「ここの雪は特殊だ。ほうきで飛べば肌が凍り付いてしまう。まぁ、魔法で防ぐことも出来なくはないが、歩いて行った方が魔力の温存にもなるわい」

 その言葉に私たちは歩くしかないかとため息をつきつつ、手を繋いで歩き始めた。

 寒い。

 服は温かだけれど、それでもやはり寒い。

「ここが氷の王国かぁ」

 見上げると、そこには氷の城門が見える。その先には大きな城と、その塔が見えた。

「きれい……光を反射して、いろいろな色に輝いて見えるのね」

「そうだろう。世界で最も美しい城とも呼ばれているのじゃ。夜になると空にオーロラも見えるぞ」

「オーロラ!」

「楽しみだね!」

 少しばかり気持ちが明るくなる。

 不思議なことに、城門前へとつくと、地面にあった雪は消えた。地面には氷の文様が描かれたタイルがはられている。

「この文様が結界のような役割を果たしている。故に、氷の王国内には雪は降り積もらないようになっている。ただ
し、寒いのは寒い!」

 お父さんの言葉に、なるほどなと思う。

 たしかに鼻と耳は居たいし、寒くて手がかじかむ。

 お父さんが城門前にいる門番と話をすると、すぐに中へと案内してもらえた。

 その後、私たちは門番の案内で王城の方に向かって歩いていく。

 門の中に入って私はびっくりした。

 すごく寒いのに、門の中で暮らしている人々は皆、薄着なのである。そして肌の色も白く、銀色の髪がとてもきれいだ。

「うわぁ。皆、薄着だ」

「本当だね。アルル、ちゃんと氷の王国について調べておいてよかったね」

「うん」

 図書館で調べたところによると、氷の王国の人々は、寒さに強く暑さに弱いらしい。

 普通の人とは体質的に違うようだ。

「それにきれいな人が多いねぇ」

「身長もすらっとしているね」

「うん。そうだね……」

 私はそれを見つめながら、何かが頭をよぎる。

 どこかで氷の王国の人に会ったような気がする。そこでハッと気づいた。

「氷結の……レレナ」

 小さな声でそう呟いた時、周囲にいた人々が動きを止めて、こちらを見てきた。

 その瞳はとても冷たくて、私は驚き足を止めると、お父さんが咳払いした。

「アルル、行こう」

「う……うん」

 私はお父さんの横に並ぶと歩き始める。

 視線が私を追いかけてきているようで、なんだか怖い。

 心臓がバクバクとしていると、そんな私の手をレオがぎゅっと握った。

「大丈夫だよ。止まらずに行こう」

「うん」

 どこかぴりぴりとした空気を感じる。

 私たちは案内され、一つの部屋へと通される。その部屋の天井を見上げると、氷の氷柱がびっしりと並んでいた。

「少々お待ちください」

 案内をしてくれた男の人はそう言うと、部屋から出て言った。

 お父さんが小さく息をつくと、私の方へと体を向ける。

「さっきの名は、黒い魔法使いの六人衆の一人じゃな」

「うん……雰囲気が似ているなって思って思わず呟いちゃったの」

「あぁ。……周囲の反応が異様じゃったな。うーむ。これは、何かありそうだな。氷の王国は閉鎖的な国。滅多にこちらに情報も来ないのだ。……氷結のレレナか。氷の王国出身なのかもしれんな」

 私がうなずいた時、部屋がノックされて、扉が開かれる。

 するとそこには、見たことがないほどの美しい女性が立っていた。

 白い肌、銀色の瞳と髪。頭の上には、氷の結晶のような美しいきらめく王冠が輝いている。

「魔法使いアロン殿とそのお弟子様方。来て下さり感謝する。氷の国の女王を務めている、カルトという」

 女性はそう言い、私たちの目の前のソファへと腰掛けたのだった。
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