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第百七十九話
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アルルは一人、町を歩いていた。
いつもはレオとルビーと一緒なのだが、今日は初めて一人で買い物に来ている。
何故かと言えば、これには少しばかり理由があった。
ルビーとサリーは部屋の模様替えをするのだと張り切っており忙しく、そしてレオは今日は城へと呼び出しがありそちらへと行っている。アロンも同行しており、今日はアルルは家で留守番となっていた。
だが、レオのいない留守番の日は初めてで、アルルは暇を持て余した。
するとサリーがアルルにお小遣いを渡し、町でも見てきてはと提案したのだ。
そして、アルルは町を一人で歩いている。
通りには果物屋や食器屋、宝石屋など様々な店が並び、アルルは興味深げに外から見て回っていた。
だが、そうはいっても一人での買い物などしたことはない。
なので、アルルは町に来たは良いものの、未だに一軒の店にも入れずにいた。
「いろんな店があるのねぇ。」
きらりとお店のショーケースが光って見えて、アルルは足を止めるとショーケースに張り付くようにしてじっとそれを見つめた。
「綺麗。」
そこには、きれいなアクセサリーが並びキラキラと輝いて見えた。
カランコロンと扉が鳴り、アルルがそちらへと目を向けると、そこには一人の少年が立っており、アルルににっこりと笑みを浮かべると言った。
「中に入って見てはどうだ?」
青色の澄んだ瞳をした甘栗色をした髪を一つにまとめている少年は優しげにアルルに手招きをした。
少し年上に見える少年は身なりの良い恰好をしており、店員さんと言うわけではなさそうだがアルルは手招きをされるままに店の中に入った。
店の中には様々なアクセサリーが並んでおり、アルルはその一つ一つを見つめながらきれいだなぁと瞳を輝かせた。
「よく町には来るのか?」
「ん?うーん。たまに来るよ。でもたいていレオと一緒だけどね。」
「レオって?俺はキース。キミは?」
「レオは友達。私はアルル。キースは、この辺の子なの?」
「そう見えるか?」
アルルは首を傾げた。
「どうかな?分かんない。」
キースは苦笑を浮かべると、一瞬青い澄んだ瞳が鋭くきらめいた。
「この国には旅行できているだけだ。」
「そうなんだ。」
何故だかアルルは背筋が寒くなり無意識に腕をさすっていた。
「アルルはこの辺に住んでいるの?」
「ん?うん。そうだよ。」
「へぇ。そっか。ねぇ、今日暇なら俺と遊ばない?」
アルルはきょとんとすると、にっこりと笑った。
「いいよ。用事もないから、暗くなる前までだったら一緒に遊ぼう。」
キースはにっこりと笑うと、アルルが特に食い入るように見つめていた髪留めを手に取ると、店員さんに声をかけ、お金を払うとアルルに差し出した。
「これはお近づきのプレゼント。つけてあげるよ。」
キースはアルルの髪に優しく触れると、髪留めをつけ、そしてにっこりと笑った。
「可愛いよ。」
その言葉にアルルは固まり、そして一歩身を引くと髪留めを外してキースに返そうとした。
「もらえないよ。」
するとキースは肩をすくめて言った。
「俺の国では可愛い子がいたらすぐにプレゼントをしろって言われているんだ。」
「え?」
「アルル可愛いから。国への土産を選んでいたらさ、可愛いアルルが外からのぞいているのが見えたから、思わず声をかけたんだ。俺の国では可愛い子はすぐ口説けとも言われている。」
アルルは初めての体験にまた一歩後ろへと下がった。
何故だかは分からないけれど、なんとなく一緒にいない方がいい気がしてアルルは首をぶんぶんと横に振ると言った。
「ご、ごめんなさい。やっぱり用事があった。それじゃあまたね。」
「え?アルル!」
アルルはお店から走って出ると、通りを抜け、そして噴水のある公園まで行き着くと大きく深呼吸した。
これからどうしようかと思ったが、またキースに鉢合わせるのが気まずくなって、アルルはルルとハルの住む屋敷へと足を進めた。
いつもはレオとルビーと一緒なのだが、今日は初めて一人で買い物に来ている。
何故かと言えば、これには少しばかり理由があった。
ルビーとサリーは部屋の模様替えをするのだと張り切っており忙しく、そしてレオは今日は城へと呼び出しがありそちらへと行っている。アロンも同行しており、今日はアルルは家で留守番となっていた。
だが、レオのいない留守番の日は初めてで、アルルは暇を持て余した。
するとサリーがアルルにお小遣いを渡し、町でも見てきてはと提案したのだ。
そして、アルルは町を一人で歩いている。
通りには果物屋や食器屋、宝石屋など様々な店が並び、アルルは興味深げに外から見て回っていた。
だが、そうはいっても一人での買い物などしたことはない。
なので、アルルは町に来たは良いものの、未だに一軒の店にも入れずにいた。
「いろんな店があるのねぇ。」
きらりとお店のショーケースが光って見えて、アルルは足を止めるとショーケースに張り付くようにしてじっとそれを見つめた。
「綺麗。」
そこには、きれいなアクセサリーが並びキラキラと輝いて見えた。
カランコロンと扉が鳴り、アルルがそちらへと目を向けると、そこには一人の少年が立っており、アルルににっこりと笑みを浮かべると言った。
「中に入って見てはどうだ?」
青色の澄んだ瞳をした甘栗色をした髪を一つにまとめている少年は優しげにアルルに手招きをした。
少し年上に見える少年は身なりの良い恰好をしており、店員さんと言うわけではなさそうだがアルルは手招きをされるままに店の中に入った。
店の中には様々なアクセサリーが並んでおり、アルルはその一つ一つを見つめながらきれいだなぁと瞳を輝かせた。
「よく町には来るのか?」
「ん?うーん。たまに来るよ。でもたいていレオと一緒だけどね。」
「レオって?俺はキース。キミは?」
「レオは友達。私はアルル。キースは、この辺の子なの?」
「そう見えるか?」
アルルは首を傾げた。
「どうかな?分かんない。」
キースは苦笑を浮かべると、一瞬青い澄んだ瞳が鋭くきらめいた。
「この国には旅行できているだけだ。」
「そうなんだ。」
何故だかアルルは背筋が寒くなり無意識に腕をさすっていた。
「アルルはこの辺に住んでいるの?」
「ん?うん。そうだよ。」
「へぇ。そっか。ねぇ、今日暇なら俺と遊ばない?」
アルルはきょとんとすると、にっこりと笑った。
「いいよ。用事もないから、暗くなる前までだったら一緒に遊ぼう。」
キースはにっこりと笑うと、アルルが特に食い入るように見つめていた髪留めを手に取ると、店員さんに声をかけ、お金を払うとアルルに差し出した。
「これはお近づきのプレゼント。つけてあげるよ。」
キースはアルルの髪に優しく触れると、髪留めをつけ、そしてにっこりと笑った。
「可愛いよ。」
その言葉にアルルは固まり、そして一歩身を引くと髪留めを外してキースに返そうとした。
「もらえないよ。」
するとキースは肩をすくめて言った。
「俺の国では可愛い子がいたらすぐにプレゼントをしろって言われているんだ。」
「え?」
「アルル可愛いから。国への土産を選んでいたらさ、可愛いアルルが外からのぞいているのが見えたから、思わず声をかけたんだ。俺の国では可愛い子はすぐ口説けとも言われている。」
アルルは初めての体験にまた一歩後ろへと下がった。
何故だかは分からないけれど、なんとなく一緒にいない方がいい気がしてアルルは首をぶんぶんと横に振ると言った。
「ご、ごめんなさい。やっぱり用事があった。それじゃあまたね。」
「え?アルル!」
アルルはお店から走って出ると、通りを抜け、そして噴水のある公園まで行き着くと大きく深呼吸した。
これからどうしようかと思ったが、またキースに鉢合わせるのが気まずくなって、アルルはルルとハルの住む屋敷へと足を進めた。
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