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一話 私の結婚

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 政略結婚ということは、婚約した時から分かっていました。

 お互いに子爵家で、親戚同士で、年も近くて。

 貴方との結婚は、幼い時からすでに決まっていて。

 私の容姿は貴方とは違って目立った特徴もなくて、よくある茶色の髪に茶色の瞳。

 不細工ではないけれど、美人ではない私。

 それに比べて貴方は、金色の美しい髪に、エメラルドの宝石のような瞳。

 学園に通っている時から、皆に不釣り合いだと言われて、私は令嬢達からの嫌がらせも多く受けていました。

「何で貴方が、リック様の婚約者なのですか?」

「見た目が釣り合っていないわ。」

「貴方とは不釣り合いよ。」

 彼に恋する令嬢達からは毎日そんなことをいわれ、私はそれを貴方に相談したこともありました。

「リック様。本当に婚約者は私で良いのですか?」

 そう訪ねると、貴方は大きなため息をつきながら私を睨み付けて言いましたね。

「これは政略結婚だ。良いも悪いもない。」

「ですが、回りの方々に言われるのです。」

「それがなんだ?そのくらい耐えろ。」

「・・・はい。」

 今思えば、あの時貴方にはすでに愛する人がいたのでしょうね。

 それなのに、私が婚約者で、貴方には苦痛でしかなかったのだろうなと思います。

 少女の頃の私はそれなのに、貴方の横には自分が立つのだと、勘違いをして、それで、そのまま婚約者に居座ってしまった。

 貴方にいずれは愛されるのだと、そう思ってしまった。

 そんなわけはなかったのに。

 私は自分の友人の言葉にもっと耳を傾けるべきだったのよ。

「ねぇ、この婚約は・・やめた方がいいんじゃないかい?」

「あら、なんで?」

 最近では使えるものの少なくなってきた魔法を意図も容易く扱う幼馴染のユージーンが、私の事を心配して声をかけてくれたの。

「僕は、ラナが幸せになれないのは嫌だよ。」

「大丈夫よ。きっと彼だって結婚すれば私の事を愛してくれるわ。」

「君はそんなにリックが好きなのかい?」

「え?・・そうねぇ、政略結婚だけれど、きっと結婚したら愛を育んで幸せになれるわ。」

「そう・・かな。でも、もしも辛くなったらすぐに手紙を頂戴。僕がラナを絶対に助けるから。」

「まぁ。ふふふ。ありがとう。でも、魔法は私的に使うのは禁止されているよ。だから、それは守ってね?」

 ユージーンの心配そうな顔を見て、そんなの杞憂に終わるって思っていたわ。

 私は本当に、馬鹿な女だったのよ。
 

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