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四話 暴力の日々
しおりを挟む貴方が初めて暴力を振るった日から、貴方は私に容赦がなくなりました。
嫌な事が会った時には、私に苛立ちをぶつけにやってくるようになりましたね。私は貴方がいつやってくるのかとびくびくと生活をするようになりました。
貴方は昼でも、夜でも、苛立った時には私の所にやってきました。
私は眠れなくなり、体がどんどんとやせ細っていくのを感じました。もうすぐ自分は死ぬのではないかと思いながら日々を暮らしていました。
「お願いします・・・もう・・やめて下さい・・・・」
「お前はそんな事を言える立場か?お前には何もない。家族も、愛も、家庭も!俺が居なければ、お前などとっくの昔に死んでいたのだぞ!」
「ごめんなさい。ごめんなさい。許して。お願い。許して・・・・」
何度も何度も、繰り返して言われる言葉が頭の中でぐるぐるとめぐるようになりました。
私には、家族がいた。
愛してくれていた。
貴方と結婚してから連絡が取れなくなっただけ。
毎日そう自分に言い聞かせていた。
「お前が手紙を出したところで、助けてくれるとでも?ははは!お前の両親は、お前からの連絡がなくて清々している事さ!」
「許して・・・お願いします・・・」
「お前がいなくなって、お前の父も母も喜んでいたぞ!俺はお前のようなやっかいものを押し付けられたんだ!」
繰り返しそう言われることで、私は、私を愛してくれていた両親が、私の事を憎んでいたのだと思うようになりました。
私はいらなかったのだ。
荷物だったのだ。
悲しくて、苦しくて、毎日死を願うようになりました。
「もう・・もう殺して下さい・・・お願いします。殺して・・・」
何度も貴方になぐられて、貴方におられた指は上手く曲げられなくなりました。昔は貴方に綺麗に刺繍をしてあげようと、練習を何度もして上達したのに、もう詩集を刺す事も出来ません。
「死にたければ自分で死ね!」
最低限の食事と、最低限の睡眠。
ぎりぎりの状態がどのくらい続いたのかは分かりません。
覚えていません。
ただ、ただ、時間だけが恐ろしいほどに早く過ぎていきました。
太陽が昇って、日の日差しを浴びても、何も感じなくなりました。
食べ物を食べても、味がしなくなりました。
綺麗な花の香りさえ、もうどういったものか分からなくなりました。
私が求めるものは、安らかな死だけになりました。
早く、早くと思うのに、貴方は私を殺す気がないのか、私が死にそうになると食事を与え、休息を与え、安らかな死さえ与えてくれません。
そんな時でしたね。貴方の子どもが、ミリアーナ様との間に産まれたのは。
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