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六話 決意
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ひんやりとした、月のない夜だったわ。
暗闇には星の明るさが映えて、空を見上げれば美しいその星々に、久しぶりに心が震えたの。
恐怖以外の感情なんてものを久しぶりに思い出して、私、自分がまだ生きているのだってことを実感したの。
私は何も持っていなかったわ。だって、全て貴方に取られたのだもの。
お母様からもらった髪飾りも、お父様に誕生日にプレゼントしていただいたネックレスも、嫁入り道具も全て。
私は何一つ持っていなかった。
けれど、別にかまわなかった。
だって貴方が私に言ったでしょう?お前の両親はお前の事をお荷物だと思っていたって。私今思えば洗脳されていたのね。
だから、何も持って居なくても、それが当たり前だって思たわ。
もし、悪い人に捕まって殺されても構わなかった。
運良く逃げられても、どこか、森の中で死を選ぼうと思っていたから。
だって、私に逃げる場所なんてないでしょう?
でもね、その時になってやっと思い出したの。
私にはまだ、友人のユージーンが居たって。
貴方、彼と私が友人関係だなんて知らないから、彼の事は何も言わなかったじゃない?だから、私はあの時自ら死を選ばないで済んだんだわ。
ユージーンの言葉が外に逃げ出した途端に思い出されたの。
だから迷うことなく、彼の所へ逃げようって思えたの。
でも、彼は公爵家の人だから私が彼の所へ行っても会える可能性はかなり低かったわ。だって、私は身なりはボロボロだし、何も身分を証明する物を持っていなかった。
だから、もしも彼に会えなかったら、どこか森の中でひっそりと死のうと思っていたの。
だから驚いたわ。門番の人に声をかけて、ユージーンに友人のラナが訪ねてきたと伝えてほしいと言った途端に客室へと案内されるなんて。
ぼろぼろの私をすぐに屋敷に招き入れるなんて普通に考えておかしいでしょう?しかも夜中よ?
客室で温かな飲み物をもらって、涙が溢れたわ。美味しくて、久しぶりに味というものを感じて、涙が止まらなかった。
「ラナ!!!」
ユージーンは客室へと慌てた様子で駆け込んできて、私を見た途端に抱き締めてくれたわ。
彼に抱き締められたことなどなかったから最初は驚いたけれど、人の温もりと、もうここは地獄ではないのだと安堵したわ。
「ユージーン様・・・」
「こんなに痩せて・・すまない。こんなことなら無理やりにでも君に会えるようにするべきだった。」
なんでも、私の両親もユージーン様も貴方に私に会わせるように何度も連絡をいれていたそうですね。でも貴方は私は鬱で人に会える状況ではないと言ったそうね。
私が会うのを拒否していると。
「それに、この・・怪我は?」
顔や腕にも痣があり、それを見た途端にユージーン様は目を見開き、痛わしげに指で撫でました。
「・・ユージーン様、私は・・もう、耐えられません。昔貴方が言ってくれた言葉に甘えて、突然訪問して・・迷惑をかけてごめんなさい。」
零れ落ちる涙が止められず、嗚咽を漏らす私の背中をユージーン様は落ち着くように撫でてくれました。
「来てくれてありがとう。もしも君が逃げてきてくれたらと願っていた。だから、もし君の名前で訪ねてくるものがあればすぐに客間へと通すように門番にも話をしていたんだ。本当に、本当に良かった。何があったのか、詳しく教えて。」
私は、これまでのことを少しずつ話しました。
覚えている限り。
ユージーン様は固く手を握って、私の話を言葉を挟まずに聞いてくれました。
私の話はきっと時系列もばらばらで、聞いていて気持ちのよいものではないはずなのに、ユージーン様は真剣に聞いてくれたした。
そして話をして疲れた私に温かな食事と安心出来る部屋を準備してくれました。
温かな食事をし、お風呂にゆっくりとつかり、お医者様に見てもらい、私は穏やかな眠りを得ました。
暗闇には星の明るさが映えて、空を見上げれば美しいその星々に、久しぶりに心が震えたの。
恐怖以外の感情なんてものを久しぶりに思い出して、私、自分がまだ生きているのだってことを実感したの。
私は何も持っていなかったわ。だって、全て貴方に取られたのだもの。
お母様からもらった髪飾りも、お父様に誕生日にプレゼントしていただいたネックレスも、嫁入り道具も全て。
私は何一つ持っていなかった。
けれど、別にかまわなかった。
だって貴方が私に言ったでしょう?お前の両親はお前の事をお荷物だと思っていたって。私今思えば洗脳されていたのね。
だから、何も持って居なくても、それが当たり前だって思たわ。
もし、悪い人に捕まって殺されても構わなかった。
運良く逃げられても、どこか、森の中で死を選ぼうと思っていたから。
だって、私に逃げる場所なんてないでしょう?
でもね、その時になってやっと思い出したの。
私にはまだ、友人のユージーンが居たって。
貴方、彼と私が友人関係だなんて知らないから、彼の事は何も言わなかったじゃない?だから、私はあの時自ら死を選ばないで済んだんだわ。
ユージーンの言葉が外に逃げ出した途端に思い出されたの。
だから迷うことなく、彼の所へ逃げようって思えたの。
でも、彼は公爵家の人だから私が彼の所へ行っても会える可能性はかなり低かったわ。だって、私は身なりはボロボロだし、何も身分を証明する物を持っていなかった。
だから、もしも彼に会えなかったら、どこか森の中でひっそりと死のうと思っていたの。
だから驚いたわ。門番の人に声をかけて、ユージーンに友人のラナが訪ねてきたと伝えてほしいと言った途端に客室へと案内されるなんて。
ぼろぼろの私をすぐに屋敷に招き入れるなんて普通に考えておかしいでしょう?しかも夜中よ?
客室で温かな飲み物をもらって、涙が溢れたわ。美味しくて、久しぶりに味というものを感じて、涙が止まらなかった。
「ラナ!!!」
ユージーンは客室へと慌てた様子で駆け込んできて、私を見た途端に抱き締めてくれたわ。
彼に抱き締められたことなどなかったから最初は驚いたけれど、人の温もりと、もうここは地獄ではないのだと安堵したわ。
「ユージーン様・・・」
「こんなに痩せて・・すまない。こんなことなら無理やりにでも君に会えるようにするべきだった。」
なんでも、私の両親もユージーン様も貴方に私に会わせるように何度も連絡をいれていたそうですね。でも貴方は私は鬱で人に会える状況ではないと言ったそうね。
私が会うのを拒否していると。
「それに、この・・怪我は?」
顔や腕にも痣があり、それを見た途端にユージーン様は目を見開き、痛わしげに指で撫でました。
「・・ユージーン様、私は・・もう、耐えられません。昔貴方が言ってくれた言葉に甘えて、突然訪問して・・迷惑をかけてごめんなさい。」
零れ落ちる涙が止められず、嗚咽を漏らす私の背中をユージーン様は落ち着くように撫でてくれました。
「来てくれてありがとう。もしも君が逃げてきてくれたらと願っていた。だから、もし君の名前で訪ねてくるものがあればすぐに客間へと通すように門番にも話をしていたんだ。本当に、本当に良かった。何があったのか、詳しく教えて。」
私は、これまでのことを少しずつ話しました。
覚えている限り。
ユージーン様は固く手を握って、私の話を言葉を挟まずに聞いてくれました。
私の話はきっと時系列もばらばらで、聞いていて気持ちのよいものではないはずなのに、ユージーン様は真剣に聞いてくれたした。
そして話をして疲れた私に温かな食事と安心出来る部屋を準備してくれました。
温かな食事をし、お風呂にゆっくりとつかり、お医者様に見てもらい、私は穏やかな眠りを得ました。
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