【完結】もう貴方とは離縁させていただきます!

かのん

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十七話 幸福な日々

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 ラナがリックの事で悪夢にうなされることはなくなった。

 ユージーンはリックの末路について、ラナを怖がらせたくないと言わなかったが、どうなったのかは想像に難くないだろう。

 ミリアーナは実家へと戻されたのちに、修道院にはいる事を選んだ。男性があれ以来恐ろしくなり、女性だけの世界で生きていくことを選んだ。

 ミリアーナからは、短い手紙で感謝と謝罪の綴られた手紙が届けられ、ラナはそれに返事を出すことはしなかったが、それでも、彼女がこれから悪夢にうなされないといいなと、思った。

 ラナは、青い空を見上げて大きく息を吐いた。

 その身は、純白の衣装で身に包まれており手には可愛らしいブーケが握られている。

「ラナ様ぁ。とってもお綺麗です。」

 元気になったミミーは、以前にも増して過保護になり、ラナの幸せを心から願っていた。リックの引き起こした事件で一番の重傷であったミミーだったが、謝るラナにミミーが言ったのは一言だけだった。

『ラナ様が幸せになる手助けが出来たなら、怪我はただの勲章です。』

 侍女の鏡である。

 ラナは一生ミミーを手放さないと、心に決めた。

「そろそろ時間です。ラナ様!いってらっしゃいませ。」

 扉が開き、ラナはゆっくりと先導する侍女の後ろをついていく。

 心臓がドキドキと高鳴るのを感じる。

 教会の扉の前には、優しげな父の姿があり、その腕を取り、扉が開かれると、オルガンの音色が響く。人々が祝福するように拍手し、そして顔を上げてみれば、先にはユージーンが白いタキシードを身に纏い、ラナの事を愛おしげに見つめていた。

 二度目の結婚。

 だが、一度目では味わえなかった幸福な結婚式である。

 皆に祝福され、父の腕から離れ、ユージーンの腕を取る。

 優しい瞳が見え、頬が熱くなる。

 小さな声でユージーンが呟いた。

「綺麗すぎて、夢みたいだ。」

「まぁ。大げさね。」

 幸せな時間だった。神父の声が心へと響いた。

 今度の結婚は絶対に幸せになれる。だって、私の隣にいる人は、世界で一番私を愛してくれる人だもの。

「誓います。」

 彼の声が、私の心を満たしていく。

 愛し、愛される家庭。

 貴方とならば、築いていける。

「誓います。」

 瞳が合うと、愛おしげに私を見つめるユージーンが見えた。

 誓いのキス。

 唇が重なり、何て幸せなのだろうかと思った。ただね、思ったの。

 キス、長すぎないかしら?

 触れるだけのキスなのに、長すぎないかしら?

 周りから、クスクスと笑い声が聞こえてきた気がするのだけれど、気のせいかしら?

 
 その日、私は世界で一番幸せな花嫁になった。


★★★★
 最後までお付き合いありがとうございました。
 これでこの物語は完結となります。
 読んで下さった皆様に感謝を。

 作者 かのん

 

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感想 54

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みんなの感想(54件)

ひゅふぁ
2024.08.25 ひゅふぁ

DVを受け死すら望んでいた所から、自分で逃げ出し、自分を取り戻して行く姿に感動しました。
夫は顔だけの最低暴力男でしたが、義理の両親の下世話さがリアルでいい意味で気持ち悪かったです。
実際、お嫁さんにあんなふうに言っちゃってる親御さんいそう。

差し出がましいとは思ったのですが、誤字と思われる箇所を見つけましたので、お手隙の際にご確認いただければ幸いです。

二話  「あの、ウエディングドレスーー(略)一緒にお願いでしませんか?」

    「悪いが俺は彼女を愛している。ー(略)ー女主人として振る舞っていいのか君じゃない。」

三話   屋敷に初めて訪問してから、毎週のようにお義母様から子どもの最速の手紙ーー(以下略)

解除
けろよん
2020.08.16 けろよん

13話 だが、後妻のところへ向かった当日……

後妻ではなく、夫だと思います。

解除
みこと
2020.08.12 みこと

後日談はないのですか?

解除

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