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新十話
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おもちゃの国は、他の町とは違う。その入国審査は難しく、誰しもがはいれるわけではない。その理由は明確には去れていないが、フリュンゲル国の王の血がこのおもちゃの国から始まった為であるとされている。
「どうやってはいるの?」
門番の立つ鉄の門を前にして、物影からフェイナとトイはそれを見つめていた。
「どうやってはいろうかなぁ・・・」
その言葉にフェイナは少し驚いていた。
「え?・・・もしかして・・・わたくしがいたらはいれないの?」
トイは首を横に振った。
「違うよ。僕、おもちゃの国には正面から入れないんだ。」
「は?」
フェイナは言っている意味がわからなかった。
「僕、この国の中心人物に嫌われているから。」
「それって・・・」
「キミの会いたがっている人。」
フェイナは呆然としていた。
もしかしたら自分は、連れて行ってと願う相手を間違えたのであろうか。
「どういう・・・こと?私てっきり貴方はおもちゃの国出身だと思ったのだけれど・・・」
トイはフェイナのほうを向くと、小さな声で言った。
「これだけ堂々とおもちゃを売っておいておもちゃの国の人間じゃないわけないだろう。」
「なら・・どうして?」
「追放されたの。」
「どうして!」
思わず声が大きくなったフェイナの口をトイは慌てて手で押さえて塞いだ。
「しー!静かに。」
手で押さえられながら、フェイナは驚きと困惑と、そして微妙に唇がトイの手に当たるのが恥ずかしくて顔を赤らめた。
それにトイは気付かず、溜息をつきながら言った。
「キミには関係のない事なんだ。でもちゃんとキミを送り届けるから心配しないで。それに、中に入っちゃえば、キミは身分を明かせば話を聞いてもらえるだろうし・・大丈夫だとは思うんだよね。」
トイはそういうと、フェイナから手を放し、そしてまた門番のほうへと視線を向けた。
フェイナはその姿を見つめながら、胸がドキドキと鳴るのを感じていた。
そんなこととはつゆしらず、トイはどうやっておもちゃの国へと潜入するか考えていた。はいる手はいくらでもあるのだが、出来るだけ安全な方法ではいりたい。
トイは、一番安全で面倒くさい方法を取ることに決めると、フェイナの手を引き、門番に見つからないようにおもちゃの国の横に位置する惑わしの森へと足を進めていった。
惑わしの森はその名の通り、誰しもが道を見失う。その原因の一つとして、惑わしの森に生息する木々から幻覚効果のある花粉が出ていることが上げられる。それ以外にも色々と要因はあるのだが、第一要因はこれである。
トイはマントの中からマスクを取り出すと、それをフェイナに手渡し、つけるように声をかけると、自らもマスクをつけた。そして、森に入り三十分ほどいったところで足を止めると、おもちゃの国の境界として高々とあるレンガの壁に手をついた。
「これは?」
「これはね、防衛の為のレンガの壁。その厚さなんと一メートル以上。さあ、ここを通り抜けなきゃいけないんだけど、そのためにはっと・・・これ!」
そういってトイが取り出したのは、小さなピンクの液体の入った小瓶であった。
「ねぇ・・・それはなんなの?」
「見ていてね。」
トイは笑顔でそういうと、その小瓶の蓋をあけた。すると小瓶からもくもくとピンクの雲が出てきたのである。綿飴のようで、おいしそうではあるが、これをどう使うのであろうか。
「ピンクの雲には触らないでね。特別な調合をしてある薬品だから。」
「ええ。わかったわ。ねぇ・・けどこれ・・もしかして貴方がつくったの?」
「もちろん。」
「そう。」
一緒に過ごしてきた中で、フェイナには分かったことがあった。
トイはおかしな発明をよくする。ということである。
フェイナには何故それを作る必要があったのかわからないものを、トイはよく発明しているようだった。もしかしたらそれが原因でトイはおもちゃの国を追放になったのではないであろうか。
そんなことをフェイナが考えている間に、トイは手袋をつけるとその雲を壁に塗りこみ始めた。その様子はまるでペンキ塗りである。
「ちょっと楽しそうね。」
「いや、これが中々難しいんだよ。」
「わたくしにもさせてよ。」
「だめ。」
フェイナは唇を尖らせると、大人しくその場に座り込み、トイが塗り終わるのを待っていた。
しばらくすると、トイは大きく息をつき、そしてフェイナの隣に座り込んだ。
「終わったの?」
「うん。あとは少し待つだけ。そしたら道が出来るよ。」
「ふーん。」
フェイナは壁をジッと見つめていた。
ピンクの雲で塗られた壁は、赤茶色からこげ茶色に変わっている。
二人は、何をするでもなくただ待っていた。鳥のさえずりや、風で木の葉がすれる音は聞きなれた音なので、関心を寄せる気さえ起こらない。
ただ、二人は二人ともこの何もしない時間が何故か気に入っていた。
特に長い時間でなくていいのだ。二人で静かにしているというだけの、穏やかな時間。そんな時間が何故かとても居心地が良かった。
「あ・・そろそろいいかも。」
トイはそういうと立ち上がり、フェイナもそれを追い立ち上がった。
先ほどと別段変ったところはないように見えるが、トイが壁に触れた瞬間その異変が見えた。
「と・・・トイ。それ・・」
トイはにっこりと微笑んだ。
トイの腕は壁の中へと消えていた。
「これはね、この壁用に以前つくったもので、見た目は壁なんだけどピンクの雲を塗りこむことによって壁が霧へと変化するんだ。効果は十分程度しかないから、フェイナ行くよ。」
そういってトイは壁の中へと消えてしまった。
フェイナも最初はどうしようかと戸惑ったが、急がなければトイとはぐれてしまうと思い、勢いよく霧の中へと飛び込んだ。
「どうやってはいるの?」
門番の立つ鉄の門を前にして、物影からフェイナとトイはそれを見つめていた。
「どうやってはいろうかなぁ・・・」
その言葉にフェイナは少し驚いていた。
「え?・・・もしかして・・・わたくしがいたらはいれないの?」
トイは首を横に振った。
「違うよ。僕、おもちゃの国には正面から入れないんだ。」
「は?」
フェイナは言っている意味がわからなかった。
「僕、この国の中心人物に嫌われているから。」
「それって・・・」
「キミの会いたがっている人。」
フェイナは呆然としていた。
もしかしたら自分は、連れて行ってと願う相手を間違えたのであろうか。
「どういう・・・こと?私てっきり貴方はおもちゃの国出身だと思ったのだけれど・・・」
トイはフェイナのほうを向くと、小さな声で言った。
「これだけ堂々とおもちゃを売っておいておもちゃの国の人間じゃないわけないだろう。」
「なら・・どうして?」
「追放されたの。」
「どうして!」
思わず声が大きくなったフェイナの口をトイは慌てて手で押さえて塞いだ。
「しー!静かに。」
手で押さえられながら、フェイナは驚きと困惑と、そして微妙に唇がトイの手に当たるのが恥ずかしくて顔を赤らめた。
それにトイは気付かず、溜息をつきながら言った。
「キミには関係のない事なんだ。でもちゃんとキミを送り届けるから心配しないで。それに、中に入っちゃえば、キミは身分を明かせば話を聞いてもらえるだろうし・・大丈夫だとは思うんだよね。」
トイはそういうと、フェイナから手を放し、そしてまた門番のほうへと視線を向けた。
フェイナはその姿を見つめながら、胸がドキドキと鳴るのを感じていた。
そんなこととはつゆしらず、トイはどうやっておもちゃの国へと潜入するか考えていた。はいる手はいくらでもあるのだが、出来るだけ安全な方法ではいりたい。
トイは、一番安全で面倒くさい方法を取ることに決めると、フェイナの手を引き、門番に見つからないようにおもちゃの国の横に位置する惑わしの森へと足を進めていった。
惑わしの森はその名の通り、誰しもが道を見失う。その原因の一つとして、惑わしの森に生息する木々から幻覚効果のある花粉が出ていることが上げられる。それ以外にも色々と要因はあるのだが、第一要因はこれである。
トイはマントの中からマスクを取り出すと、それをフェイナに手渡し、つけるように声をかけると、自らもマスクをつけた。そして、森に入り三十分ほどいったところで足を止めると、おもちゃの国の境界として高々とあるレンガの壁に手をついた。
「これは?」
「これはね、防衛の為のレンガの壁。その厚さなんと一メートル以上。さあ、ここを通り抜けなきゃいけないんだけど、そのためにはっと・・・これ!」
そういってトイが取り出したのは、小さなピンクの液体の入った小瓶であった。
「ねぇ・・・それはなんなの?」
「見ていてね。」
トイは笑顔でそういうと、その小瓶の蓋をあけた。すると小瓶からもくもくとピンクの雲が出てきたのである。綿飴のようで、おいしそうではあるが、これをどう使うのであろうか。
「ピンクの雲には触らないでね。特別な調合をしてある薬品だから。」
「ええ。わかったわ。ねぇ・・けどこれ・・もしかして貴方がつくったの?」
「もちろん。」
「そう。」
一緒に過ごしてきた中で、フェイナには分かったことがあった。
トイはおかしな発明をよくする。ということである。
フェイナには何故それを作る必要があったのかわからないものを、トイはよく発明しているようだった。もしかしたらそれが原因でトイはおもちゃの国を追放になったのではないであろうか。
そんなことをフェイナが考えている間に、トイは手袋をつけるとその雲を壁に塗りこみ始めた。その様子はまるでペンキ塗りである。
「ちょっと楽しそうね。」
「いや、これが中々難しいんだよ。」
「わたくしにもさせてよ。」
「だめ。」
フェイナは唇を尖らせると、大人しくその場に座り込み、トイが塗り終わるのを待っていた。
しばらくすると、トイは大きく息をつき、そしてフェイナの隣に座り込んだ。
「終わったの?」
「うん。あとは少し待つだけ。そしたら道が出来るよ。」
「ふーん。」
フェイナは壁をジッと見つめていた。
ピンクの雲で塗られた壁は、赤茶色からこげ茶色に変わっている。
二人は、何をするでもなくただ待っていた。鳥のさえずりや、風で木の葉がすれる音は聞きなれた音なので、関心を寄せる気さえ起こらない。
ただ、二人は二人ともこの何もしない時間が何故か気に入っていた。
特に長い時間でなくていいのだ。二人で静かにしているというだけの、穏やかな時間。そんな時間が何故かとても居心地が良かった。
「あ・・そろそろいいかも。」
トイはそういうと立ち上がり、フェイナもそれを追い立ち上がった。
先ほどと別段変ったところはないように見えるが、トイが壁に触れた瞬間その異変が見えた。
「と・・・トイ。それ・・」
トイはにっこりと微笑んだ。
トイの腕は壁の中へと消えていた。
「これはね、この壁用に以前つくったもので、見た目は壁なんだけどピンクの雲を塗りこむことによって壁が霧へと変化するんだ。効果は十分程度しかないから、フェイナ行くよ。」
そういってトイは壁の中へと消えてしまった。
フェイナも最初はどうしようかと戸惑ったが、急がなければトイとはぐれてしまうと思い、勢いよく霧の中へと飛び込んだ。
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