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二十三話 彼女なりの復讐
殺したのだ。
罪などない少女を。
悶絶し、苦しみ悶える三人の姿にシャルロッテは微笑みを浮かべていた。
「今の時間軸で私を大切に思ってくれてありがとう。そのおかげで、今、復讐が叶っているのだから」
何とも思っていない人間が死ぬよりも、大切に思っている人が死ぬ方が辛いだろう。
だからこそ、シャルロッテは今回の時間軸で我慢をしたのだ。
自分を殺した人間と同じ空間で話をしたり食事をしたり、そうしたことをしたいと思う人間がいるだろうか。
少なくともシャルロッテにとっては苦痛であった。
けれどリラトからたのまれ、この世界を守るために仕方なく我慢をしたのだ。
吐き気を我慢し、涙をこらえ、笑顔を貼り付けてこれまで我慢をしてきた。
シャルロッテは、憎しみのこもった瞳で、ルークに向かって言った。
「これでも、私と婚約者でいられますか?」
「それは・・・」
涙で真っ赤になった瞳でルークはシャルロッテを見つめる。
「私に愛をささやいたその口と同じ口で、貴方は私を死へと追いやった。結婚し、いずれお互いに愛をはぐくんでいくのだとそう信じていた私はバカでしょう? 」
シャルロッテはオリバーへと視線を移す。
「オリバー様。貴方は騎士でしたのに、私を罪人と決めつけ、牢で殴りつけた。しかも卑怯にも誰にも知られない場で。ふふふ。私、本当はあなたを見るたびにその痛みがよみがえり、怖くてしかたありませんでしたの」
視線はグレイへと移る。
「家族に裏切られる気持ち、わかりますか? 肉親ですら信じてくれない。私はあんな浅はかな女よりも下なのだと、血よりもお兄様は、自らの愛を選ぶのだと……」
シャルロッテは唇をかむと、涙をぽたぽたと流しながら声をあげる。
「それでも……最後まで皆さまを信じて、首を落とされた、私の気持ちが、わかりますか!?」
恐怖と絶望が、苦しみと葛藤が、混沌とした感情が。
シャルロッテの心を蝕んだ。
涙は止まらない。
ずっと、ずっと堪えていた感情である。
リラトは拳をぎゅっと握り、唇をかむ。
シャルロッテは責めないけれど、自分も同罪であるとリラトは知っている。
結局自分も世界のために彼女を一度殺したのだ。
そう、リラトは思っていた。
けれど、シャルロッテはリラトの手をぎゅっと握ると、静かに言った。
「ふぅ……ずっと言いたかったことを言えて、少しすっきりしました」
三人は押し黙っており、シャルロッテは呼吸を整えると、リラトの手をぎゅっと握りながらもう一度口を開く。
「私の復讐は、皆さまに私を大切に思ってもらい、その大切な存在は皆さまを憎み嫌っているという思いを味合わせることですわ。なかなかに性格が悪いでしょう?」
シャルロッテはそういうと、涙を止めて微笑みを浮かべた。
三人は赤くなった瞳でシャルロッテを見つめる。
「さぁ、もうさようならですわ。お兄様、お父様とお母様にはよろしくお伝えください。リラト様、行きましょう? 私を、連れて行ってくださいませ」
リラトは口を開く。
「いいんだね?」
「えぇ。私は早く、この人たちから離れたいの。もう二度と顔も見たくないのですわ」
その言葉に傷ついたように三人は顔をゆがめる。
「シャルロッテ……」
「シャルロッテ様……」
「シャルロッテ!」
三人はそれぞれに彼女の名前を呼ぶ。
引き留めるように、行かないでくれと縋るように。
けれどそれは無理なことなのだ。
シャルロッテはひらひらと手を振った。
「では、ごきげんよう。もう二度と会うことはないですわ」
シャルロッテとリラトは静かにその場から姿を消し、三人は元居た場所へと戻っていた。
罪などない少女を。
悶絶し、苦しみ悶える三人の姿にシャルロッテは微笑みを浮かべていた。
「今の時間軸で私を大切に思ってくれてありがとう。そのおかげで、今、復讐が叶っているのだから」
何とも思っていない人間が死ぬよりも、大切に思っている人が死ぬ方が辛いだろう。
だからこそ、シャルロッテは今回の時間軸で我慢をしたのだ。
自分を殺した人間と同じ空間で話をしたり食事をしたり、そうしたことをしたいと思う人間がいるだろうか。
少なくともシャルロッテにとっては苦痛であった。
けれどリラトからたのまれ、この世界を守るために仕方なく我慢をしたのだ。
吐き気を我慢し、涙をこらえ、笑顔を貼り付けてこれまで我慢をしてきた。
シャルロッテは、憎しみのこもった瞳で、ルークに向かって言った。
「これでも、私と婚約者でいられますか?」
「それは・・・」
涙で真っ赤になった瞳でルークはシャルロッテを見つめる。
「私に愛をささやいたその口と同じ口で、貴方は私を死へと追いやった。結婚し、いずれお互いに愛をはぐくんでいくのだとそう信じていた私はバカでしょう? 」
シャルロッテはオリバーへと視線を移す。
「オリバー様。貴方は騎士でしたのに、私を罪人と決めつけ、牢で殴りつけた。しかも卑怯にも誰にも知られない場で。ふふふ。私、本当はあなたを見るたびにその痛みがよみがえり、怖くてしかたありませんでしたの」
視線はグレイへと移る。
「家族に裏切られる気持ち、わかりますか? 肉親ですら信じてくれない。私はあんな浅はかな女よりも下なのだと、血よりもお兄様は、自らの愛を選ぶのだと……」
シャルロッテは唇をかむと、涙をぽたぽたと流しながら声をあげる。
「それでも……最後まで皆さまを信じて、首を落とされた、私の気持ちが、わかりますか!?」
恐怖と絶望が、苦しみと葛藤が、混沌とした感情が。
シャルロッテの心を蝕んだ。
涙は止まらない。
ずっと、ずっと堪えていた感情である。
リラトは拳をぎゅっと握り、唇をかむ。
シャルロッテは責めないけれど、自分も同罪であるとリラトは知っている。
結局自分も世界のために彼女を一度殺したのだ。
そう、リラトは思っていた。
けれど、シャルロッテはリラトの手をぎゅっと握ると、静かに言った。
「ふぅ……ずっと言いたかったことを言えて、少しすっきりしました」
三人は押し黙っており、シャルロッテは呼吸を整えると、リラトの手をぎゅっと握りながらもう一度口を開く。
「私の復讐は、皆さまに私を大切に思ってもらい、その大切な存在は皆さまを憎み嫌っているという思いを味合わせることですわ。なかなかに性格が悪いでしょう?」
シャルロッテはそういうと、涙を止めて微笑みを浮かべた。
三人は赤くなった瞳でシャルロッテを見つめる。
「さぁ、もうさようならですわ。お兄様、お父様とお母様にはよろしくお伝えください。リラト様、行きましょう? 私を、連れて行ってくださいませ」
リラトは口を開く。
「いいんだね?」
「えぇ。私は早く、この人たちから離れたいの。もう二度と顔も見たくないのですわ」
その言葉に傷ついたように三人は顔をゆがめる。
「シャルロッテ……」
「シャルロッテ様……」
「シャルロッテ!」
三人はそれぞれに彼女の名前を呼ぶ。
引き留めるように、行かないでくれと縋るように。
けれどそれは無理なことなのだ。
シャルロッテはひらひらと手を振った。
「では、ごきげんよう。もう二度と会うことはないですわ」
シャルロッテとリラトは静かにその場から姿を消し、三人は元居た場所へと戻っていた。
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