呪い子ちびっこ令嬢は王家に囲われルート驀進中!

かのん

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10話

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 初めて見るお城は、ひときわ美しく際立って見えた。 

 白塗りの壁、塔の屋根は青色で太陽の光を浴びきらめいて見える。

 きっとここに住む人たちは キラキラと輝くまばゆい世界で生きているのだろうなと、私はそう思った。

 案内された会場には、テーブルがいくつも並び豪華な花々が飾られていた。 

 庭の噴水は太陽の光を反射し、まるで絵画のようだ。

 寝ぼけて埃が綺麗とか思っていた過去の自分が、なんだか恥ずかしい。

 本当の美しさとはこういうもの達を言うのだろう。

 断じて埃が光を反射した煌めきではない。

「みんな着飾っているな。 お、 美味しそうな菓子やケーキがたくさんあるぞ。こっそりと 取って馬車に運んでおこうか?」

 リヤンの提案があまりにも天才すぎる。 

 ここで問題を起こしたら、罰せられるかもしれないので、お菓子は我慢をしておこうと思っていた。

 だが見てみればあまりにも美味しそうなお菓子たち。

 リヤンが馬車に運んでいてくれるのならば、家に帰ってから二人でこっそりと楽しいお茶会が開ける。

 私はナイスアイディアというようにリヤンにウインクしてみせる。

 リヤンはぐっと親指を立てると言った。

「りょーかい! 運んでおくな」

 それからリヤンはお茶会のお菓子やケーキを物色し始めた。

 きっとこのお茶会が終われば 私はまたあの屋敷に閉じ込められることだろう。

 以前はひどく悲しく思ったけれど、リヤンがいるから悪くないとそう思うようになった。

 私は狙いを定めて、お茶会の隅の席へと腰を下ろす。

 他のご令嬢は王族の方々の席に近い席から順に座り始めた。

「わぁぁ。綺麗なお姫様がいっぱい」

 皆ここぞとばかりに着飾っている。

 私はミーナはどこかなと視線を彷徨わせ探していると、王族の方々の席にもっとも近い席で、たくさんのご令嬢方に囲まれて楽しそうにおしゃべりをしているのを見つけた。

 かなり上機嫌な様子である。

 見てみれば他のご令嬢方よりも気合の入った格好で、装飾品も一流のものだと、すぐに分かる。

 一流のものを見た後だと、先ほどまではお姫様みたいだと思っていた自分が、いかに最低限の恰好であったかを思い知る。

 これが格差か。

「……性格はブしゅだけど、見た目は妖精ね。あーあ。せっかくの妹なのに……仲良くできたら最高らったのになぁ」

 小さな声で呟き、自分が未だに家族というものに未練があることに気が付く。

 諦めろと、そう言い聞かせた時。

 ファンファーレと同時に王族の方々が入場される。

 皆が割れんばかりに拍手が響き渡った。

 ご令嬢方は頬を赤く染めながら、目的の王子様へと目が釘付けになっている。

 国王陛下は威厳のある風貌で、口ひげとあごひげとをはやしてらっしゃる。

 王妃殿下はご懐妊され、大きなお腹をしていた。

 そして第一王子のベンジャミン殿下と、その横に今回の主役であるエトワール殿下の姿があった。

 王家の方々は金髪碧眼の色を濃く継いでおり、ベンジャミン殿下とエトワール殿下の風貌はよく似ている。

 私は王家の方々を見て顔がひきつった。

 こんなに煌びやかで美しい城に住んでいるのだから、きっと皆幸せに豪勢に楽しく生きているのだろうと思っていたのに……。

 そうではないらしい。

「うわぁお。しゅごい……たーっくさん。背中に……背負ってりゅ」

 背後が真っ黒過ぎて、私は夜が突然訪れたみたいだなとそう思った。

 あれだけ大量の悪霊に取り憑かれるというのも、大変だろうな。

 肩凝り、腰痛、体調不良、睡眠不足は当たり前の日々だと思う。

 かわいそうすぎる……。

 私はそんなことを思いながら、王家の方々の挨拶を聞く。

 国王陛下が一言述べた後に、エトワール殿下が挨拶をし、談笑が始まった。

 エトワール殿下は煌めく稲穂のような髪に澄んだ青い瞳で、睫が太陽を反射してるのかキラキラと輝いている。

 天使を彷彿とさせる美しさだった。

「ましゃに、絶世の美少年……ただし悪霊憑き……」

 私はそう呟き、人生と言うものは、自分の意思ではままならないこともあるのだと、王子様を憐れに思った。

「はじめまして。ミーナ嬢。お会いできて光栄です」

 地位の高い公爵令嬢のミーナが一番始めに声をかけられた。まぁ、一番近くの位置にいたし、順当だろう。

 ミーナは顔を真っ赤にしながら答えた。

「お初にお目にかかります。ゴードン公爵家が娘、ミーナ・ゴードンと申します」

 習いたてであろうカーテシーをするミーナの姿を私は見つめた。

 お姫様のようだ。

 二人が並ぶと美男美女。将来の姿が楽しみという感想がもてる。

 まぁ、将来ミーナの性格がどのようになっているかは分からないが……。

 ちらりとリヤンの方をみると、リヤンは気付かれないようにこっそりとケーキや菓子を物色して、バレないように取り分けている。

 天才だ。

 私は家に帰ってからのお菓子パーティーを楽しみにしながら、じっと座っていたのだけれど、エトワール殿下の足元にすりよる猫の幽霊に気がついた。

 白いふわふわの猫ちゃんは大変可愛らしく、エトワール殿下の背後の悪霊に威嚇しては、足元でスリスリしている。

「かわちい」

 何もすることのない私は、猫ちゃんを愛でることにした。

 大変可愛らしい。

 高位貴族のご令嬢方への挨拶をエトワール殿下が終えると、今度は中位貴族のご令嬢方がエトワール殿下の元へと出向き、挨拶を行っていく。

 エトワール殿下はそれに笑顔で答え、次から次に、挨拶が行われていく。

 そして挨拶が終わった令嬢方は、未練がましく王子を見つめながらも、お菓子を取りに行ったり、庭を散策したりとの自由時間となった。

 私一人くらい挨拶に行かなくても気付かれないだろう。

 そう思うと、私はそっと庭の人のいないところへと隠れた。

「ふわぁ……ちゅかれた」

 お山座りをしてそう呟くと、楽しそうな皆の会話が聞こえてきた。

「はぁ、エトワール殿下、本当に素敵」

「結婚できたら幸せねぇ」

「でも筆頭候補はミーナ様でしょう?」

「ええ。ミーナ様はまだ三歳だというのにしっかりされていて、祝福の能力をお持ちだとか」

「祝福の能力! 素晴らしいですわね」

「あら? そういえば、ミーナ様は双子ではなかったかしら。いつもは体調が悪いと出てこないお姉様がいらっしゃるのよね?」

 私のことか。

 なるほど、通常はそのようにしてごまかされているのだな。

 けれど、今回のお茶会はさすがに王家からの命。お父様も断れなかったのだろう。

「ねぇ、あれって貴方のこと?」

「うひょっ!?」

 突然横からそう声をかけられた私は驚いて尻餅をついたのだった。
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