呪い子ちびっこ令嬢は王家に囲われルート驀進中!

かのん

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34話

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「トト!」

「リヤン。よかった」

 ロード神父様の疎外の能力を解いてもらったことによって、私の元へとリヤンが血相を変えた様子で現れた。

 私はリヤンに飛びつくと、ぎゅっとする。

「突然お前の気配がわからなくなったんだ。生きてたか。死んだかと思ったぞ」

「死んでないわ! むぅぅぅ。心配してくれたっていいじゃない」

「……死んでないか?」

「死んでたら喋れないわよ! いや、リヤンとなら喋れるか……むうう」

 プンスカプンスカとしばらくの間、リヤンと言い合っていた私だけれど、こうもしていられない。

 さっそくリヤンにロード神父様のことを説明する。

 神父様には現在必要な物を集めに行ってもらっていること。

 集まり次第、御神体の所へ持って行ってほしいと伝えてあること。

 私はリヤンと向き合って座ると言った。

「ミーナは大丈夫?」

「ちゃんと屋敷まで送ってやったんだ。感謝しろ。そのロード神父ってのは、信頼できるのか?」

「うん。優しい人だから、大丈夫らと思う。それよりも、これからあの御神体をどうにかしなければいけないの。それにリヤンにも協力ちてほしい」

「それはいいが……今、王国は突然の竜の出現によってパニックだぜ。お前も避難した方がいいんじゃねぇか?」

 リヤンの言葉に私は首を横に振った。

「出来るだけ早く、祓った方がいいと思う……悪霊が溢れるのも大変だけれど……それ以上に……苦しんでいるから」

「苦しんでいる?」

 何度も、何度も私には、耳を劈く悲しい悲鳴が聞こえてくる。

 王国の建国がいつなのかは知らないが、ずっと、ずっと光の先にも進むことが出来
ず、苦しみ続けていたのだと思う。

 だからこそ、あれほどに邪悪なモノが出来上がってしまった。

「リヤン、御神体の所まで連れて行ってくれる?」

「あぁ。じゃあ行くぞ」

「あい!」

 リヤンに抱きかかえられ、私は御神体の所を目指す。

 祓えるか祓えないかは五分五分の所である。

 宿屋を出て路地裏をリヤンに抱えられて走っていきながら、そう、思った時であった。

 広場へと出たところで、私達の行く手を阻むように突風が吹き荒れる。

「うっひゃぁぁぁぁ。とばちゃれる!」

「なんだ!?」

 ギョロリとした巨大な瞳と目があった。

「うぎゃぁぁぁぁぁ!」

「なっ!?」

 私とリヤンの目の前に、巨大な竜が現れたのである。

「ふぁっ!? ファンタジー!」

「くそ。こんな近くまで来てたのか!?」

―――――ぎゃぁぁぁぁぁっぁぁぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉ

 耳を劈く鳴き声。

「ぐはっ! 耳がちぬ!」

 その瞬間、私の意識は、竜の中へと流れ込んでいったのであった。


 小さな、小さな卵。私の中で大きくおなり。
 百年年月かけて、大きくおなり。
 そして生まれておいで。
 千年生きる竜の子よ。
 私の命を紡いでおくれ。
 紡いだ命を繋げておくれ。
 小さな、小さな、私の卵。


 あぁ……なるほどそうか。

 この竜は、あの卵の母竜なのか。

 私の瞳からは、涙が一滴落ちていく。

「……リヤン、おろちて」

「トト?」

「大丈夫らから」

 竜の出現から、広場には悲鳴が響く。

 そんな中、私は怒りに染まった瞳の竜の目の前に立つ。

 王国の騎士団も駆けつけた様子で、騎士達が馬に乗って竜に向かって警戒している姿が見えた。

 その中に、メアリー様とルディウス殿下の姿が見えた。

「ココレット様!」

「騎士団! 構え!」

 指揮しているのがルディウス殿下なのだろう。

 私はそちらへと視線を向けると、言った。

「待ってくだしゃい」

「ココレット嬢! じっとしておくのだ! 今助ける!」

 ルディウス殿下がそう叫ぶ中、私の様子を見て、メアリー様がルディウス殿下の腕を掴み止める。

「ルディウス、待って」

 一瞬の間、ルディウス殿下が待ってくれる。

 私は、うなずくと竜へと向き直り、恭しく一礼をする。

「あまねく天を駆ける、偉大なるお方とお見受けいたしましゅ。貴方様のその御心。しかと、受け取りまちた」

『小さき者よ。我が子の声が聞こえた。やっとだ。やっと見つけた……。すぐにでもこの国を亡ぼしてやろうと思ったが、我が子が待てと言った』

 その言葉を聞き、私は恭しくうなずきながらも心の中では大荒れである。

 あっぶなぁぁぁぁ。

 一歩間違えば、全滅もありえたということか。

 王国滅亡とか、辛すぎる。

 恐らく、ミーナの祝福の能力によって御神体である卵が目覚めたのだ。

 そして母を呼んだ。

 けれど、私が待ってと頼んだから、待ってくれているのか。

 心臓がバクバクとする中、私は答えた。

「今、準備を進めておりましゅ。お時間を後少し、いただけますでしょうか……」

『三刻だけ待とう』

「感謝いたします」

 そう言うと、竜は飛び立ち、私は大きく息をつく。

 だが私は頭の中で、三刻とは何分だ!? 間に合うか!? と大混乱である。
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