我、迷い込みし者也

書仙凡人

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vol.5 探索者

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   [Ⅰ]


 サタは女にガチギレしていたが、俺は冷静に行くとしよう。

「おい、サタ、ムカつくのはわかるが、まぁ落ち着け。話がややこしくなる」
「しかしだな……グヌゥ。わかった。いいだろう」

 女は喋るサタを見て、驚愕の眼差しであった。
 たぶん、話す猿を初めて見たんだろう。
 面倒な展開だが、まぁいい。質問再開といこう。

「で、話を戻すが、お前達はそのイメルダ様とやらに、サタを強奪して来いとでも言われたのか?」

 すると女の目が若干泳いだ。

「え? ま、まぁ……最終的にはそういう方向になってたかもしれないけど……すんなり応じてくれるなら、コレで交渉して譲って貰うよう言われたわ」

 女はそこで、腰の辺りにある巾着袋を出した。

「何それ?」
「3000グランあるわ。コレで譲って貰えって言われた。応じなかったら、無理矢理応じさせろって」
「猿の値段てそんなもんなのか?」
「そんなの知らないわよ。私はそう言われただけだから。でも、このアレングランドでは、3000グランもあれば、半年は生活できる収入よ。贅沢しなきゃだけど」

 俺はそこでサタを見た。

「だってさ。半年分の生活費と引き換えに、お前を買うんだとよ。どうする?」
「どうするって……お前まさか……我を売るつもりか」

 サタは目を大きくして息を飲んだ。
 意外とビビってるようだ。

「フッ、冗談だよ。言ってみただけだ。売るつもりはない……今のところはな」
「今のところって……おま」

 サタは色々と察したのか、それ以上は何も言わなかった。
 理由は言わずもがな、だ。

「まぁそういうわけだ、女盗賊。俺はサタを売るつもりはない。で、どうする? 無理矢理するか?」

 女は意気消沈し、首を左右に振った。

「もういいわ……私の負けよ。依頼主にもそう言うから」

 完全に諦めたようだ。

「おい、女! そのイメルダとかいうバカ女に言っとけ。我はちっとも可愛くなんかないわい、他を当たれ、とな!」

 サタも悪態を吐いた。
 まぁ言いたくもなるだろう。
 というわけで、ここからは俺のターンだぜ。
 迷惑料を請求するとしよう。

「さて、じゃあここからは、俺が被った迷惑料をお前に請求させてもらうぞ」

 意外な展開だったのか、女は慌てて俺を見た。

「え? 何よそれ!」
「お前さ……疲れている俺を無理矢理足止めして、拉致しようとしてたんだぞ。タダで引き下がるとでも思ってんのか」

 今の俺は、ちょいと気が立っている。
 何もせずに終わるなんて、有り得ない事だ。
 迷惑料はキッチリ徴収させてもらおう。
 女は恐る恐る訊いてきた。

「迷惑料って……い、幾ら欲しいのよ」
「金はいらないよ。その代わり……」
「その代わり?」

 俺はそこで、女の背後にさっと回り、胸をガッツリ揉んだのである。

「ちょいと、おっぱい揉ませてもらうよ」

 煩悩全開だぜ。ヒャッハー。
 これには流石の女も、びっくり仰天だったらしく、即座に振り返った。

「ちょ!? ア、アンタ、一体何を……あん」

 俺は次に下腹部にも手を伸ばした。
 そして、衣服の中に手を入れ、胸とアソコの両方を直に攻めてやったのだ。
 ついでに言うと、感じやすいように、霊力も付加して、女の身体を刺激してやった。
 ある種の催淫術さいいんじゅつといったところである。
 本来は別の目的で使われる呪術だが、今回はお仕置き用だ。
 
「あ、あん……こ、こんな所で……何を……大声出すわよ」
「出せばいいよ」
「え? だ、出せばって……あん、なんで……こんなにキモチ……やん」
 
 結局、女は大声も出さず、抵抗もしなかった。
 口に両手を当て、寧ろ声を押し殺していたくらいだ。

「ンンン……ンン……」

 力では負けると諦めたのかもしれない。
 いや、もしかすると、俺の霊的愛撫で、かなり気持ちよくなっている可能性もありそうだ。
 ヒィヒィ言わしてやろうと思ったが、なかなかの忍耐力である。
 まぁそれはさておき、俺はそうやって暫し攻め続け、かなり濡れたところで、女を解放してやったのである。
 もうホットパンツにも相当染み込んでるに違いない。 
 すると、女は腰が抜けたように、ヘナヘナと地面に座り込んだのだった。
 今は、ポーとした表情で、俺を見ているところである。
 サタがそこで、ボソリと小さく呟いた。

「お主……凄いテクニシャンじゃな。しかも、途中でやめるとは、酷い事するのう……」
「いいんだよ、これで。つか、テクニシャンて言うな」

 程なくして、女は弱々しく口を開いた。

「ア、アナタ……いきなり……何をするのよ。まさか、こんな通りで……私を抱こうと……」

 ちなみに、最後までするつもりはない。
 今回は揉んでみたくなる胸だからやったまで。
 それに、わざと寸止め愛撫をしたのだ。
 日本なら警察案件だが、ここではそうとは限らない。
 犯罪行為に対するお仕置きである。
 生殺しの刑といったところだ。

「安心しろ。これで終わりだよ。それと、周囲に人の気配はないから、誰にも見られてはいない。知ってるのは俺とお前だけだ。良かったな。さて、これに懲りたら、もう悪さは止めるんだな、女盗賊。次はもっと凄い事するからな」
「ア、アナタねぇ……私に、ここまでして、もうやめるって……」
「は? やめる?」
「あ……ち、違うわよ」

 女はアタフタと目を逸らした。
 思わず、本音がポロリと出たようだ。

「そうじゃなくて……仲間達の事よ。ずっと眠ったままなんだけど」
「はいはい、仲間ね。おっとその前に……コイツが話せる事は誰にも言うなよ。言ったら、もっと凄いお仕置きするからな」
「もっと凄いお仕置きって……わ、わかったわよ」

 女は恥ずかしそうに俯いた。
 色んな事を想像をしてるんだろう。
 まぁそれはさておき、俺は掌に霊力を籠めて、寝ているお仲間の頭を軽く叩いた。
 程なくして、仲間達はもぞもぞと動き始める。
 さて、撤収するとしよう。

「起こしたぞ。じゃあな、女盗賊」
「ちょっと! さっきから何よ! 私は盗賊なんかじゃないわ! 私は……」

 なんか言ってるが無視だ。
 その後、俺は奴等に目もくれず、宿屋へと歩を進めたのであった。


   [Ⅱ]


 ギレルさんに教えてもらった、レントという名の宿泊施設は程なく見つかり、無事チェックインできた。
 石造りの箱型の建物で、宿泊料金は、1人1泊8グラン。
 ギレルさんが言うには、王都で1番の格安宿だそうだ。
 それもその筈、寝るだけの施設で、尚且つ、他の宿泊者と一緒に雑魚寝という、災害時の避難所のような宿だからである。
 ちなみにレントとは、この地域の古代語で旅人という意味らしい。要は旅の宿ってやつである。
 まぁそれはさておき、宿の中は他の旅人達が一杯いた。
 しかも、武器や防具を装備した輩が多いので、なかなかむさ苦しい。
 現代の日本が恋しいと思う、今日この頃であった。
 俺は誰もいない一角に移動し、そこに腰を下ろした。
 床が石なので硬いのが難点であった。
 一応、敷物があるが、簡素なモノでクッション性はない。
 快適さは諦めるとしよう。
 周囲を見たところ、他の旅人達はグループばかりで、お一人様は俺だけのようだ。
 なもんで、俺は少し浮いていたのは言うまでもない。

(しっかし……見れば見るほど、ファンタジー世界の住人達だなぁ。どいつもこいつも、指輪物語の映画に出てきそうな奴等ばかりだ。おまけに汗臭っ。風呂入ってんのかコイツ等……って、俺も今日は入ってないから人の事は言えんな。ン?)

 ふとそんな事を考えていると、東アジア系の顔付きをしたオッサンが、俺の所へとやってきたのである。
 日本人ぽいので、少し親近感が湧くオッサンであった。
 アマゾンの奥地で日本人に会ったような気分である。

「もしや……1人旅かね?」
「ええ、そんなところです」

 年は30代から40代くらいか。
 背は低めだが、ガッシリとした体型をしている。
 坊主頭で口と顎に髭を生やしていた。
 だが、アジア系なのに西洋風の武具を装備してるので、少々違和感のあるビジュアルであった。

「其方、1つ訊くが……アメノナカツクニからアレングランドに?」
「はい? 雨の何ですって?」

 なんか聞いた事ありそうで、ない名前が出てきた。

「なんだ違うのか。私はてっきり同郷人かと思ったのでな」
「私は自分の素性はよくわからぬのです。まぁとりあえず、ただの旅の者ですよ」

 面倒を避ける為、サラッと流しておいた。

「そうであったか。それは失礼した。ところで、其方は悪魔の爪痕の探索者か?」

 さっきギレルさんにも聞いたが、アレングランド王の御触れの件だろう。
 王様は爪痕を探索する者を募っているからだ。
 先の動乱で、かなりの兵士が命を落としたらしく、中を調査する者を外部から集めているとの事であった。

「いえ、ただの旅人ですよ。貴方は探索者なのですか?」
「ああ、そうだとも。この宿にいる者達も大体そうだろうな」
「へぇ……探索者が多いのか。ちなみに、悪魔の爪痕って、やはり化け物ばかりなんですか?」

 男はしんみりと頷いた。

「ああ……あそこは地獄だ。大地の裂け目を深く降りれば降りるほど、恐ろしく強い魔物がわんさかといるからな。探索するのも命懸けよ。実際、かなりの探索者が命を落としている。だが……結果を持ち帰れば、陛下より、多額の報酬が得られるのだ。探索するのも悪い事ばかりではない。こんな世の中だし、命を掛けたくもなろう」

 よくわからん論理だが、この世界は荒んでいる。
 命の天秤に掛けるモノも、俺の常識とは懸け離れているんだろう。
 しかし……聞いてて思ったが、某ダンジョンゲームに似た話であった。
 その内、アイテムの鑑定する奴とかも出てきそうである。
 まぁ何れにしろ、そこには近づかないようにしよう。
 君子危うきに近寄らずだ。
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