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30話
伝えられた気持ちが、胸に歓喜を灯す。
そして、私も抱えていた感情を口にした。
「私もです、フィリクス様」
「……」
「貴方と会って、初めてなにも隠さなくていい相手ができて、心地よかったです。楽しかった」
話し始めれば止まらない。
今まで隠していた気持ちを吐露してしまう。
「誰にも分かってもらえない、誰にも理解されないと思っていた」
「俺もだ」
「父やエミネは良き理解者です、感謝してもしきれない。でもこの気持ちを知るのは同じ境遇の貴方だけで、だからこそ色んな事を話せた」
「……」
「私も貴方が好き……です。立場の違いはあるので、この気持ちは抑えていますが––––」
言葉の途中で私の頬に彼の手が当てられ、そっと口づけを交わす。
優しくて、柔らかい力。
そして唇に触れた感触に瞳を閉じて受け入れる。
「立場は関係ない」
「……良いのですか」
彼からの答えは再度の口付けで示される。
胸が満たされる感覚で、こんな気持ちや、充実感は初めての経験でどうすればいいのか分からない。
ただただ心臓が高鳴ってうるさく鼓動する。
「もう、一人じゃないですから。頼ってくださいね」
「あぁ……約束する」
二人で見つめ合いながら、吹雪の中で毛布にくるまって気持ちを伝えあう。
貴族同士の政略結婚や、ロマンあふれる場所での告白でもない、成り行きのものだ。
だけど今まで経験したどんな事よりも、嬉しい感情で満たされた。
◇◇◇
少し時間が経って、ようやく吹雪が収まってきた。
廃墟に近い屋敷に入っていた風が止み、私とフィリクス様は外を見る。
「そろそろ、エミネ達のもとへ帰りますか」
「そうだな」
吹雪という共に過ごす名目は無くなり、残ったのはどこか気恥ずかしい気持ち。
だけど手だけは繋ぎながら、名残惜しい気持ちのまま屋敷へと戻る。
「お嬢様! 吹雪でお帰りになられないと思っておりましたが……ご無事で……え」
屋敷に帰ってくれば、エミネは私とフィリクス様を見て足を止める。
そして何度も私達へと視線を交わせて、最後に繋いだ手を一点に見つめる。
「その……お嬢様、え? その……あれ」
「エミネ、そういうことです」
「あ……あぁ」
恥ずかしくて直接は言えなかったけれど、エミネにはハッキリ分かったようだ。
目を大きく見開いて驚きで倒れそうになるのとグッと耐えた後、こっそりガッツポーズしてきた。
「お嬢様に良いお相手ができて良かったです。本当にお嬢様は私を驚かせてきますね」
「いつも申し訳ないわね」
「気にしないでください。それがお嬢様だと思っておりますので」
エミネはそう言いつつ、私へと笑いかける。
今までずっと傍に居てくれていた彼女は、心から嬉しそうに私の空いた手を握った。
「本当に良かったです。お嬢様に大事な方ができて」
「えぇ、今までエミネが居てくれたおかげよ」
その後、フィリクス様を応接室へと案内する。
エミネがお茶を淹れると言ってくれていたが、それよりも先に私はフィリクス様と話す事があった。
「フィリクス様、もっと二人で話をしたい気持ちはありますが。今は優先すべき事に集中させてもらいます」
「あぁ、それでいい」
「先日、収容所にて傭兵を雇ったのがアロルドだというのが判明しました」
「加えてローザの件もある。君の元夫については問い質す事が多そうだ」
「そうです。彼を責めるための材料は揃いました。でも……あと一つだけ足りないのです」
私はフィリクス様を見つめて頭を下げる。
これからあるお願いをするためだ。
「フィリクス様、アロルドには相応の責任を負わせて……もう関わることが無いようにしたい」
「……」
「だからお願いがあります。先日のローザの件を含めて、辺境伯家として彼らを裁いていただけないでしょうか」
私からの抗議であれば、またいつもの長い話し合いで終わってしまう。
暴力で解決では意味がない、もう私に関わりたくないと思わせる程に追い詰めるにはそれでは駄目だ。
だから彼らに大きな責任を負わせるためには、フィリクス様の協力が不可欠だった。
「俺はもう、そのつもりでいた」
そしてフィリクス様の返事は私が望むものであり、感謝から再び頭を下げた。
「それでは、始めましょう。アロルド達を徹底的に潰します。私の平穏な生活のために」
「これからは、俺達のだ」
「っ! そうですね」
フィリクス様と話し合いながら、今度の流れを確認していく。
アロルドとローザを徹底的に追い詰め、関わっている私の元母の真意を探るため……
「それで、いつ彼らの元に向かう。向こうへ向かうにも準備が」
「いえフェリクス様、彼らの屋敷で話し合いなんてしませんよ」
「なに? どうする気だ」
「私が連れてきます。どうせなら、早い方がいいでしょう?」
それだけ伝えればフィリクス様には意図が伝わったのだろう。
「君だけにしかできない方法だな」と小さくつぶやき、口元に笑みを浮かべた。
そして、私も抱えていた感情を口にした。
「私もです、フィリクス様」
「……」
「貴方と会って、初めてなにも隠さなくていい相手ができて、心地よかったです。楽しかった」
話し始めれば止まらない。
今まで隠していた気持ちを吐露してしまう。
「誰にも分かってもらえない、誰にも理解されないと思っていた」
「俺もだ」
「父やエミネは良き理解者です、感謝してもしきれない。でもこの気持ちを知るのは同じ境遇の貴方だけで、だからこそ色んな事を話せた」
「……」
「私も貴方が好き……です。立場の違いはあるので、この気持ちは抑えていますが––––」
言葉の途中で私の頬に彼の手が当てられ、そっと口づけを交わす。
優しくて、柔らかい力。
そして唇に触れた感触に瞳を閉じて受け入れる。
「立場は関係ない」
「……良いのですか」
彼からの答えは再度の口付けで示される。
胸が満たされる感覚で、こんな気持ちや、充実感は初めての経験でどうすればいいのか分からない。
ただただ心臓が高鳴ってうるさく鼓動する。
「もう、一人じゃないですから。頼ってくださいね」
「あぁ……約束する」
二人で見つめ合いながら、吹雪の中で毛布にくるまって気持ちを伝えあう。
貴族同士の政略結婚や、ロマンあふれる場所での告白でもない、成り行きのものだ。
だけど今まで経験したどんな事よりも、嬉しい感情で満たされた。
◇◇◇
少し時間が経って、ようやく吹雪が収まってきた。
廃墟に近い屋敷に入っていた風が止み、私とフィリクス様は外を見る。
「そろそろ、エミネ達のもとへ帰りますか」
「そうだな」
吹雪という共に過ごす名目は無くなり、残ったのはどこか気恥ずかしい気持ち。
だけど手だけは繋ぎながら、名残惜しい気持ちのまま屋敷へと戻る。
「お嬢様! 吹雪でお帰りになられないと思っておりましたが……ご無事で……え」
屋敷に帰ってくれば、エミネは私とフィリクス様を見て足を止める。
そして何度も私達へと視線を交わせて、最後に繋いだ手を一点に見つめる。
「その……お嬢様、え? その……あれ」
「エミネ、そういうことです」
「あ……あぁ」
恥ずかしくて直接は言えなかったけれど、エミネにはハッキリ分かったようだ。
目を大きく見開いて驚きで倒れそうになるのとグッと耐えた後、こっそりガッツポーズしてきた。
「お嬢様に良いお相手ができて良かったです。本当にお嬢様は私を驚かせてきますね」
「いつも申し訳ないわね」
「気にしないでください。それがお嬢様だと思っておりますので」
エミネはそう言いつつ、私へと笑いかける。
今までずっと傍に居てくれていた彼女は、心から嬉しそうに私の空いた手を握った。
「本当に良かったです。お嬢様に大事な方ができて」
「えぇ、今までエミネが居てくれたおかげよ」
その後、フィリクス様を応接室へと案内する。
エミネがお茶を淹れると言ってくれていたが、それよりも先に私はフィリクス様と話す事があった。
「フィリクス様、もっと二人で話をしたい気持ちはありますが。今は優先すべき事に集中させてもらいます」
「あぁ、それでいい」
「先日、収容所にて傭兵を雇ったのがアロルドだというのが判明しました」
「加えてローザの件もある。君の元夫については問い質す事が多そうだ」
「そうです。彼を責めるための材料は揃いました。でも……あと一つだけ足りないのです」
私はフィリクス様を見つめて頭を下げる。
これからあるお願いをするためだ。
「フィリクス様、アロルドには相応の責任を負わせて……もう関わることが無いようにしたい」
「……」
「だからお願いがあります。先日のローザの件を含めて、辺境伯家として彼らを裁いていただけないでしょうか」
私からの抗議であれば、またいつもの長い話し合いで終わってしまう。
暴力で解決では意味がない、もう私に関わりたくないと思わせる程に追い詰めるにはそれでは駄目だ。
だから彼らに大きな責任を負わせるためには、フィリクス様の協力が不可欠だった。
「俺はもう、そのつもりでいた」
そしてフィリクス様の返事は私が望むものであり、感謝から再び頭を下げた。
「それでは、始めましょう。アロルド達を徹底的に潰します。私の平穏な生活のために」
「これからは、俺達のだ」
「っ! そうですね」
フィリクス様と話し合いながら、今度の流れを確認していく。
アロルドとローザを徹底的に追い詰め、関わっている私の元母の真意を探るため……
「それで、いつ彼らの元に向かう。向こうへ向かうにも準備が」
「いえフェリクス様、彼らの屋敷で話し合いなんてしませんよ」
「なに? どうする気だ」
「私が連れてきます。どうせなら、早い方がいいでしょう?」
それだけ伝えればフィリクス様には意図が伝わったのだろう。
「君だけにしかできない方法だな」と小さくつぶやき、口元に笑みを浮かべた。
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