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35話
アロルドがドン引きしているけれど、彼にはしっかり教えておいてあげよう。
「白い結婚の時から、貴方を支えていたのではなく私自身のためです。なので感謝も謝罪も必要ありません」
「……なら今、俺を助けてくれたのは、なぜなんだ」
「貴方が父を救おうとしたのと同じです」
「え?」
「誰かを救えるなら。そう行動しているだけ」
深い意味なんてない。
ただ誰かを救う事を父が教えてくれて、エミネが私を信頼してくれている理由だから。
私は目の前で誰かが死ぬのを見過ごすような事はしないだけだ。
「っ!」
話している最中に、空を舞っていた飛竜が私に覆いかかる。
三体は同時に押しつぶそうと突進してきたのだ。
両手で受け止めるが……飛竜も必死なようね。
「私を足止めしている間に、大事な人達を殺す気なのね」
すでに父やエミネの方にも、別の竜が襲い掛かろうとしている。
やはり狡猾で合理的な飛竜は侮れないし、昔から軽率に手出しはできなかった。
だけど、もう私には頼れる人がいる。
私を押さえつけていた飛竜が突然、ふらりと意識を失うように倒れていく。
超重量が倒れるだけでも迫力はあるが、その身体に飛び乗ってさらに別の飛竜を切りつける影が見えた。
「ありがとうございます。フィリクス様」
お礼を言った時、すでに彼は残りの飛竜の逆鱗を切り裂いて仕留めていた。
私もさらに父やエミネを狙って降り立った竜へと駆け出し、その顎を砕き、角をへし折った。
「お父様、エミネも無事ですか」
「あぁ、大丈夫だ。セシーリアも怪我はないか?」
「お嬢様! 私達は大丈夫です。でもお嬢様が」
先ほど、飛竜に衝突された衝撃で少し頬を切ってしまっていたようだ。
垂れてくる血を拭いながらも、空を見て混沌とした様子にため息を吐く。
大臣たちのせいで溢れた飛竜は完全に怒り狂い、あちこちに被害をもたらしていそうだ。
「フィリクス様。先の報告にあった通り、飛竜は辺境伯領の全土に大きな被害を出していくはずです」
「……直ぐに辺境伯領内の騎士を集め、対策を講じる」
フィリクス様は冷静に対応を考えているが、今の状況はかなり厳しい。
私と彼だけでは、辺境伯領に広がった魔物被害を抑えるには手が足りない。
他に対策がないか考えないといけないが、この考えている間も……
「あぁ! た、助けてくれ!」
「ぁぁぁ!」
逃げ出そうとしていた大臣の片手をついばんだ飛竜。
それをどうにかしようと、王家の騎士団が必死に攻撃するが、まるで効いていない。
やがて飛竜が首を軽く振ると……無慈悲にも大臣は片手を失って地面に落ちていく。
「あぁぁ! ひぁぁ! わ、私の手が! あぁぁぁぁ!! 痛い! だ、誰かぁ!」
「はぁ……仕方ない」
地面を蹴り、大臣達を襲っていた飛竜をなぐりつける。
ゼイゼイと息を吐いて、怯えた表情の大臣はとりあえずほったらかしにして、またフィリクス様のもとへ戻る。
「いまも被害が広がっています。どうにか対策を考えないと……」
「……」
しかし良い案が浮かぶことはなく、沈黙が流れていく。
そんな時だった、レーヴ公爵と私の父が目配せをした。
そして父が叫ぶ。
「王家騎士団よ! これより大臣の指示ではなく、我らの指示に従っていただく!」
「っ! な、なにを言って」
「現在、辺境伯領内に魔物被害が広がっている状況であり。このままでは民への被害は甚大なものとなる! 多くの死傷者がでるだろう」
父は叫びながらも、王家騎士団に臆することなく言葉を続けた。
「これより王家騎士団は馬を飛ばし、各地の村々の民を辺境伯領の中心街に避難させよ!」
「わ、我らは王家の命でなくては動けない。それに飛竜を相手なんて」
「貴殿らは誰を守るために剣を取った? 王家の権威の象徴たる騎士団として、民を救うために行動をせよ!」
「……」
「私の娘は、その剣が無くとも民を守っていた。お前達にも王家の象徴としての矜持を見せてみろ!」
父の言葉に騎士達は顔を見合わせた後、やがて覚悟を決めたようにうなずく。
そして彼らは各自で指示を飛ばしながら人員を分配して、指示通りに避難誘導を行うために走り出した。
父はフィリクス様に頭を下げた。
「フィリクス辺境伯様。勝手な指示をお許しください。しかし今のまま民を分散した状態では、被害は広がっていくだけです。だからこそ王家騎士団が領民を中心街に避難させます」
「なるほど、一か所に集めるのか」
「幸い、寒い環境ゆえに辺境伯領にて住める環境は中心街から広くは分布していません。避難誘導も迅速にできるはずです」
「ですがお父様、王家騎士団だけでは数が……」
危惧していた言葉に対して答えたのはレーヴ公爵だった。
「王家騎士団で足りない人員は、私の護衛として連れてきた私兵団にて引き受けます。数は多くないが居ないよりはマシでしょう」
「あぁ、辺境伯領の兵にも指示を出せば可能だ」
ひとまず民を一か所に避難させる。
そうなれば襲ってくる魔物も一点に集まるため、少ない人員で守る事も可能だ。
方針も固まってきた時、レーヴ公爵が私へと頭を下げた。
「すまなかった。せめて私が王家側の動きをもっと監視していれば」
「レーヴ公爵、謝罪は必要ありません。今はただ……この事態を収めましょう」
「……やはり私達は魔物憑きだからと差別する考えを改めるべきなのだろう。逃げ惑う大臣よりも、人を救うために行動する君たちの方が……よほど人間らしい」
レーヴ公爵のような権力者が上手く動いてくれれば、きっと魔物憑きへの差別などは解消の方向に向かうかもしれない。
そんな未来のためにも……今日は少し気合を入れよう。
「エミネとお父様は馬車に乗ってください。私が避難する街まで運びます」
狙われやすい二人はすぐに避難させるべきだ。
それに……
「アロルドも乗ってください!」
「あ……わ、分かった!」
アロルドも乗った後、私は残った一人へと手を伸ばす。
「貴方もです。リエンネ」
「っ! わ、私は……貴方に酷いことを言ったのよ。私なんて」
「うっさい! ごちゃごちゃ言ってないで乗る! 急いでるの!」
「あぶ!」
リエンネを馬車に投げ込み、痛がる彼女に呟く。
「貴方に傷つけられた過去は消えません。絶対にね」
「……ごめんなさい」
「だから後悔し続けてもらうわ。貴方が捨てた娘がどれだけ立派になったか、これからも見せ続けていくから」
「っ」
馬車を持ち上げて、そのまま走り出す。
フィリクス様も馬に乗って付いて来るが、街には私の方が先に着いた。
馬車を置いて、後からやって来たフィリクス様と合流する。
「避難は始まり、各地から民がこの街に来ている状況だ。これからこの街に……魔物が集まってくるだろう」
危機的状況であり、絶望的でもある。
でも不思議と恐れはなかった。
フィリクス様が傍にいるからだろう。
「しばらくは魔物食には困りませんね」
「っ!」
珍しくフィリクス様が息を吐いて笑う。
私も釣られて笑ってしまった。
「君はいつも通りだな。だが……そうだな、明日からの食事には困らなそうだ」
互いに笑い合いながら、空を飛んでいる飛竜たちに視線を向ける。
きっと大丈夫だ。
なんてことはない、いつも通りに美味しい食事のために頑張るだけだ。
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「……なら今、俺を助けてくれたのは、なぜなんだ」
「貴方が父を救おうとしたのと同じです」
「え?」
「誰かを救えるなら。そう行動しているだけ」
深い意味なんてない。
ただ誰かを救う事を父が教えてくれて、エミネが私を信頼してくれている理由だから。
私は目の前で誰かが死ぬのを見過ごすような事はしないだけだ。
「っ!」
話している最中に、空を舞っていた飛竜が私に覆いかかる。
三体は同時に押しつぶそうと突進してきたのだ。
両手で受け止めるが……飛竜も必死なようね。
「私を足止めしている間に、大事な人達を殺す気なのね」
すでに父やエミネの方にも、別の竜が襲い掛かろうとしている。
やはり狡猾で合理的な飛竜は侮れないし、昔から軽率に手出しはできなかった。
だけど、もう私には頼れる人がいる。
私を押さえつけていた飛竜が突然、ふらりと意識を失うように倒れていく。
超重量が倒れるだけでも迫力はあるが、その身体に飛び乗ってさらに別の飛竜を切りつける影が見えた。
「ありがとうございます。フィリクス様」
お礼を言った時、すでに彼は残りの飛竜の逆鱗を切り裂いて仕留めていた。
私もさらに父やエミネを狙って降り立った竜へと駆け出し、その顎を砕き、角をへし折った。
「お父様、エミネも無事ですか」
「あぁ、大丈夫だ。セシーリアも怪我はないか?」
「お嬢様! 私達は大丈夫です。でもお嬢様が」
先ほど、飛竜に衝突された衝撃で少し頬を切ってしまっていたようだ。
垂れてくる血を拭いながらも、空を見て混沌とした様子にため息を吐く。
大臣たちのせいで溢れた飛竜は完全に怒り狂い、あちこちに被害をもたらしていそうだ。
「フィリクス様。先の報告にあった通り、飛竜は辺境伯領の全土に大きな被害を出していくはずです」
「……直ぐに辺境伯領内の騎士を集め、対策を講じる」
フィリクス様は冷静に対応を考えているが、今の状況はかなり厳しい。
私と彼だけでは、辺境伯領に広がった魔物被害を抑えるには手が足りない。
他に対策がないか考えないといけないが、この考えている間も……
「あぁ! た、助けてくれ!」
「ぁぁぁ!」
逃げ出そうとしていた大臣の片手をついばんだ飛竜。
それをどうにかしようと、王家の騎士団が必死に攻撃するが、まるで効いていない。
やがて飛竜が首を軽く振ると……無慈悲にも大臣は片手を失って地面に落ちていく。
「あぁぁ! ひぁぁ! わ、私の手が! あぁぁぁぁ!! 痛い! だ、誰かぁ!」
「はぁ……仕方ない」
地面を蹴り、大臣達を襲っていた飛竜をなぐりつける。
ゼイゼイと息を吐いて、怯えた表情の大臣はとりあえずほったらかしにして、またフィリクス様のもとへ戻る。
「いまも被害が広がっています。どうにか対策を考えないと……」
「……」
しかし良い案が浮かぶことはなく、沈黙が流れていく。
そんな時だった、レーヴ公爵と私の父が目配せをした。
そして父が叫ぶ。
「王家騎士団よ! これより大臣の指示ではなく、我らの指示に従っていただく!」
「っ! な、なにを言って」
「現在、辺境伯領内に魔物被害が広がっている状況であり。このままでは民への被害は甚大なものとなる! 多くの死傷者がでるだろう」
父は叫びながらも、王家騎士団に臆することなく言葉を続けた。
「これより王家騎士団は馬を飛ばし、各地の村々の民を辺境伯領の中心街に避難させよ!」
「わ、我らは王家の命でなくては動けない。それに飛竜を相手なんて」
「貴殿らは誰を守るために剣を取った? 王家の権威の象徴たる騎士団として、民を救うために行動をせよ!」
「……」
「私の娘は、その剣が無くとも民を守っていた。お前達にも王家の象徴としての矜持を見せてみろ!」
父の言葉に騎士達は顔を見合わせた後、やがて覚悟を決めたようにうなずく。
そして彼らは各自で指示を飛ばしながら人員を分配して、指示通りに避難誘導を行うために走り出した。
父はフィリクス様に頭を下げた。
「フィリクス辺境伯様。勝手な指示をお許しください。しかし今のまま民を分散した状態では、被害は広がっていくだけです。だからこそ王家騎士団が領民を中心街に避難させます」
「なるほど、一か所に集めるのか」
「幸い、寒い環境ゆえに辺境伯領にて住める環境は中心街から広くは分布していません。避難誘導も迅速にできるはずです」
「ですがお父様、王家騎士団だけでは数が……」
危惧していた言葉に対して答えたのはレーヴ公爵だった。
「王家騎士団で足りない人員は、私の護衛として連れてきた私兵団にて引き受けます。数は多くないが居ないよりはマシでしょう」
「あぁ、辺境伯領の兵にも指示を出せば可能だ」
ひとまず民を一か所に避難させる。
そうなれば襲ってくる魔物も一点に集まるため、少ない人員で守る事も可能だ。
方針も固まってきた時、レーヴ公爵が私へと頭を下げた。
「すまなかった。せめて私が王家側の動きをもっと監視していれば」
「レーヴ公爵、謝罪は必要ありません。今はただ……この事態を収めましょう」
「……やはり私達は魔物憑きだからと差別する考えを改めるべきなのだろう。逃げ惑う大臣よりも、人を救うために行動する君たちの方が……よほど人間らしい」
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それに……
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「あ……わ、分かった!」
アロルドも乗った後、私は残った一人へと手を伸ばす。
「貴方もです。リエンネ」
「っ! わ、私は……貴方に酷いことを言ったのよ。私なんて」
「うっさい! ごちゃごちゃ言ってないで乗る! 急いでるの!」
「あぶ!」
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「っ!」
珍しくフィリクス様が息を吐いて笑う。
私も釣られて笑ってしまった。
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