【完結】醜い豚公爵様と結婚することになりましたが愛してくれるので幸せです

なか

文字の大きさ
4 / 25

4話

しおりを挟む
窓の外を見るとすっかり薄暗くなっている
陽は落ちてしまった

夜中に徒歩でウィリアム様の屋敷には行けないだろう
王都の宿屋に一泊しよう
幸い…少しならお金もある
荷物を持ちながら考えていると、私の良く知る令嬢が向こうから歩いてきた

「あら?誰かと思えば…レオナード様に捨てられたシャーロットじゃないの」

卑しい笑みで金色の髪をいじりながら呟く彼女
派手派手な化粧や装飾品、匂いのきつい香水に思わず顔を歪める

彼女、ベネット・デズモンドを忘れるはずもない、この匂いで覚えてしまった
デズモンド伯爵家の令嬢で、レオナード様に恋焦がれている
だが、なぜこんな時間にここにいるのだろうか

疑問に思っているとわざわざ彼女は答えてくれた

「ふふ、私ね?今日レオナード様にお呼ばれしたの…あなたの代わりにね」

「そうですか…では」

また遊ばれる女性が増えるんだなと考えながら
ベネットの隣を通り過ぎようとすると

「ま、まちなさいよ!!まだ終わってないわ!」

「なんですか?」

「ふん!私はずっと思っていたのよ!あなたはレオナード様の隣にふさわしくないわ!私こそが隣にいるべきで、私を愛してくれる予定でしたの、どんな色目を使ったのか知りませんが…ボロがでて捨てられてしまったのね…ざまぁないですわ!いい気味よ!あなたの態度は昔か」

「あの、もういい?話が長い」

「な!なんですって!」

「私にはもう関係ないから好きにしてください、私はウィリアム公爵様の所へ嫁ぐことになりましたので」

私の言葉にあぜんとした表情のベネットだが、突然吹き出す

「ぷふ!!この国一番のイケメンのレオナード様の次はあの豚公爵ですか!お似合いですわね!」

「………ねぇ、ベネット…一つだけ言っておいてあげるわ」

ベネットに詰め寄る、私が普段浮かべている愛想笑いもしてないからか
怖いのか、一歩後ろに引き下がる彼女にさらに詰め寄った

「いい?レオナード様が愛しているのは…自分自身だけよ…それがあなたの幸せになるのかしら?」

「な…なにを言って」

「…いずれ、わかるわよ」


そう言って、私はベネットから離れて再び歩き出した
彼女は気付くだろうか?レオナード様はどうしようもない男だと

無理かもね
くすりと笑う私をベネットはただ見つめていた









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

王宮を出る寸前、背後から足音が聞こえ振り返ると
少女が私に抱きついてきた

「お姉様!行かないで!」

ふわりと揺れる銀の髪、まだ幼い彼女は私を離さないと抱きしめる
私はしゃがみ込み、彼女の顔を見つめる

涙目で私との別れを悲しんでくれる優しい子

「ごめんね、ステラ様…もうお姉様にはなれないの」

レオナード様の妹君…ステラ・アゼラビア様
兄君とは違って優しい子で、私が王妃教育でこの王宮に住んでから
よく一緒に遊んだ、本当の姉のように慕ってくれるこの子を
私も本当の妹のように思っていた

正直、ギリギリまでレオナード様との婚約破棄を悩んだのは
ステラの存在が大きかった

「お姉様…いつものようにステラと呼び捨てしてください!」

「ごめんね…ステラ様…」

いやいやと、首を横に振り
ステラは私の胸に泣きつく

「兄君のことは私が謝罪します!だからお願い!ステラのお姉様でいてよ!」

「ステラ…様…今はお許しください…」

「なんで?ステラの事嫌いになったの?お姉様!」

私は首を横に振る
違う、ステラの事は大好きだ…正直犯罪が許されるのなら連れていきたい
だが、そんな事できない…だから

「ステラ様、お願いがあります」

「な、なに?」

「レオナード様はどうしようもないお人です、あの方が王になればこの国に未来はないかもしれません…だからいっぱい勉強して民に好かれる良い女王を目指してください…もしあなたが女王となり、私に許可してくださるのならまたお姉様にしてくれますか?」


私の言葉にステラは涙を拭い
力強く頷く

「わかった、ステラ…頑張る…」

「ありがとうございます…ステラ様…」

私も抱きしめながら彼女の白銀の髪を優しく撫でる
そして別れを惜しむ彼女に最後の挨拶をして

王宮から出る
外はすっかり暗くなっている、点々と道にある街灯のおかげで街に行くのには困らないが
宿は空いているだろうか

心配しながら、王宮から街道に繋がる石階段を降りていく
扇型に広がる階段を降りていくと馬車が止まっていた
派手ではないが品の良い装飾の馬車、繋がれた馬もよくしつけられているのが分かった
こんな時間に?ベネットが来た時の馬車だろうか?


不思議に思い、近付くと馬車の御者らしき人物がこちらに近づいてきた
その方は執事の格好の初老の男性
白髪のよく似合う方で、私を見るなり綺麗なお辞儀をした


「お待ちしておりました、シャーロット様」

私の名前を呼ばれ、驚くが
彼の続く言葉で安心した


「ウィリアム様に仕える執事のオルターと申します…婚約のお手紙読んで頂けたでしょうか?」

「ウィリアム様の…婚約の件ですがもちろんお受け…」

最後まで言う寸前でオルターさんが人差し指を立てて静かにとジェスチャーする

「お返事は、是非とも旦那様にお願いします…屋敷に来てくださいますか?」

オルターさんはそう言って丁寧に馬車の扉を開く
小さなランタンのついた馬車の中はどこか暖かそうで
冷めないようにだろう、毛布も積んであるのが見えた

こうした優しい気遣いができる
あの人にはやく会いたいと思った

「お願いできますか?オルターさん」

彼はただ黙って頷いてくれた


しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました

唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」 不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。 どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。 私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。 「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。 身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。

別れたいようなので、別れることにします

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のアリザは、両親が優秀な魔法使いという理由でルグド王子の婚約者になる。 魔法学園の入学前、ルグド王子は自分より優秀なアリザが嫌で「力を抑えろ」と命令していた。 命令のせいでアリザの成績は悪く、ルグドはクラスメイトに「アリザと別れたい」と何度も話している。 王子が婚約者でも別れてしまった方がいいと、アリザは考えるようになっていた。

【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!

ユウ
恋愛
侯爵令嬢のアリスティアは婚約者に真実の愛を見つけたと告白され婚約を解消を求められる。 恋する相手は平民であり、正反対の可憐な美少女だった。 アリスティアには拒否権など無く、了承するのだが。 側近を婚約者に命じ、あげくの果てにはその少女を侯爵家の養女にするとまで言われてしまい、大切な家族まで侮辱され耐え切れずに修道院に入る事を決意したのだが…。 「ならば俺と永遠の愛を誓ってくれ」 意外な人物に結婚を申し込まれてしまう。 一方真実の愛を見つけた婚約者のティエゴだったが、思い込みの激しさからとんでもない誤解をしてしまうのだった。

あなたの思い通りにはならない

木蓮
恋愛
自分を憎む婚約者との婚約解消を望んでいるシンシアは、婚約者が彼が理想とする女性像を形にしたような男爵令嬢と惹かれあっていることを知り2人の仲を応援する。 しかし、男爵令嬢を愛しながらもシンシアに執着する身勝手な婚約者に我慢の限界をむかえ、彼を切り捨てることにした。 *後半のざまあ部分に匂わせ程度に薬物を使って人を陥れる描写があります。苦手な方はご注意ください。

お飾りの私と怖そうな隣国の王子様

mahiro
恋愛
お飾りの婚約者だった。 だって、私とあの人が出会う前からあの人には好きな人がいた。 その人は隣国の王女様で、昔から二人はお互いを思い合っているように見えた。 「エディス、今すぐ婚約を破棄してくれ」 そう言ってきた王子様は真剣そのもので、拒否は許さないと目がそう訴えていた。 いつかこの日が来るとは思っていた。 思い合っている二人が両思いになる日が来ればいつの日か、と。 思いが叶った彼に祝いの言葉と、破棄を受け入れるような発言をしたけれど、もう私には用はないと彼は一切私を見ることなどなく、部屋を出て行ってしまった。

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

嫌いなところが多すぎるなら婚約を破棄しましょう

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミリスは、婚約者ジノザに蔑まれていた。 侯爵令息のジノザは学園で「嫌いなところが多すぎる」と私を見下してくる。 そして「婚約を破棄したい」と言ったから、私は賛同することにした。 どうやらジノザは公爵令嬢と婚約して、貶めた私を愛人にするつもりでいたらしい。 そのために学園での評判を下げてきたようだけど、私はマルク王子と婚約が決まる。 楽しい日々を過ごしていると、ジノザは「婚約破棄を後悔している」と言い出した。

処理中です...