12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

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第6章 アーカウラの深き場所

第1話 拝啓、始まりの迷宮より

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6-1

「ふっ!」

 白い雲の流れる青空より草原へ向けて急降下し、巨大な鷲を大剣で一刀両断にしてから後ろを振り返ります。

「うん、向こうも片付きそうね」

 スズは丁度同じ種類の魔物の頭を落としたところです。ブランの方は水魔霊という殆ど水の塊の、瘴気に犯された精霊の一種が相手ですが、もうすぐ方がつくでしょう。

「お姉ちゃんおつかれー」
「お疲れ様」

 今私たちがいるのは、ただの草原のように見えますが、『迷宮国ラビリス』の領土内にある迷宮、『荒ぶる祖霊の社』の中です。
 迷宮国とあるように、ラビリスは迷宮を中心に栄えています。

「ブランちゃんは……あ、終わったみたい」

 周辺国家の安全を確保し、衝突を避ける為に領土は地図上で見ても分かるほどに広いですが、その形態は都市国家。全ての機能が一つの街に集約されています。

「ふぅ。姉様、スズ姉様、お待たせ」

 その狭い範囲にある迷宮の数は、なんと四つ。領土が広めに保有されている訳もなんとなくわかるというモノです。

「そんなに待ってないわ。本当に強くなったわね」
「えへへ」

 今いる『荒ぶる祖霊の社』は世界最高難易度と名高い迷宮で、未だ攻略者はいません。ランクとしては、最高のSSランク向けとなる十一。これは暫定のもので、私の見立てではもう少し上ですね。

「んー、今五十三階層だよね。アリスたちは何回層まで行ったかな?」
「あそこは、五十階層までよね。二人だけだし、まぁ、三十と少しじゃない?」

 この迷宮、アリスでは力不足です。コスコルはアリスと一緒が良いでしょうから、二人で別の迷宮に潜ってもらっています。
 ブランは、まぁここで一気に成長してくれれば良いでしょう。……多少酷かもしれませんが。

「そんなもんかー」
「それでも早い方だと思うわよ?」

 さて、リベルティアにアルティカと行ってから一年ほどが経っています。この間の変化は色々とありました。

「そうなんだ? じゃあ私たちも頑張ろー!」
「おー」
「ふふふ。そうね、今回で六十階層まで行きましょうか」

 まず、私の種族が『吸血族』の始祖に進化したこと。
 実は、スズとの試合の時に進化をしていました。〈制魂解放〉がレベル五になったからですね。
 どうせあの闘技場なら、魂の器に何かあっても元に戻ると思ったので、かなり無茶をしたんです。さすがに二レベル一気に上がったのは驚きましたが。

「今のペースだときついよね。急ごっか!」
「そうね、軽く急ぎましょう」

 次に、冒険者ランクが上がったこと。
 私とスズはあの闘技大会でSランクを圧倒しました。その為試験は免除してくれましたので、其々の貢献度が十分になると同時にSランクへと昇格できました。

「五十階層の守護者は、蛇みたいな土属性の精霊擬きだったけど、六十階層は何かな?」

 ブランもとうとうBランクになりました。緊張しても体が勝手に動くレベルで礼法を叩き込んでくれたアリスに感謝ですね。Aランクも近いです。
 これに伴って、アリスとコスコルもBランクに昇格しています。

「精霊擬きって……。精霊獣よ。そうね、ここまでの敵を見る限り、鳥の姿をしてるのは確かね」

 そして、スキルの変化。
 闘技大会の時点で最大レベルやそれに近いレベルだったスキルがいくつか、『理外のアウタースキル』に進化してしまいました。

「やっぱり? ブランちゃんに経験積ませる分には嬉しいけどね」
「うっ……飛んでる敵、苦手」

 『理外のスキル』はその名の通り、理の外にあります。これまで有った権能の大幅な強化に加え、無から有を作り出す事すら可能になったのです。

「そうだね。これからは極力ブランちゃんにまわそうか。鳥型」
「そうしましょう」

 例えば、今までの〈火魔導〉は元からある物理的なエネルギーの増加しか出来ませんでしたが、これからはゼロを一に、つまり静止している物体を急加速させる事が可能になります。
 勿論スキルを発動させる為の対価として魔力は消費しますが。

「が、頑張る!」

 そういえば、アルティカの孫と公的に認められたので、ミドルネームが付きましたね。まぁ大して変わりません。

 一先ずはこんなところです。
 今は攻略を優先しつつ、ラビリスで楽しむ事にしています。

「ふふ。さっ、どんどん行きましょうか」
「おー!」「おー」
 
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