12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

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最終章 軌跡の終着点

エピローグ

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「あははっ、お兄ちゃんこっちこっち!」
「ちょ、アルジーネ、危ないぞ!」

 西大陸の中央、深い森の中の古城に、そんな子どもの声が響き渡ります。

 よく晴れた、気持ちのいい午後。辺りには穏やかな空気が満ちており、あの戦いは既に遠い記憶の彼方です。

「あてっ!」
「ほら、だから言っただろ?」
「うぅっ……痛い…………」

 どうやら転んでしまったようですね。今にも泣きそうな、アルジーネと呼ばれた『吸血族』の少女の声が聞こえます。
 お兄ちゃんのエルジネルが頑張って宥めているようですが、うーん、駄目そうですね。

 私は読んでいた本を閉じ、立ち上がって目の前の階段を降り、庭にいる二人へと歩いていきます。

「あ、お祖母様!」

 あらあら、エルジネルったら。助かったとばかりに目をキラキラさせています。アルジーネに見られたらなんて言われるかわかりませんよ?

「アルジーネ、ほら、見せてみなさい」
「うぅ……お祖母様…………」

 涙目のままですが、素直に痛いらしい膝を見せてくれます。
 うん、傷にはなっていませんね。

「傷はないみたいね。まだ痛い?」
「うん、痛い……」

 彼女は生まれながらの【真祖】で体も丈夫なんですが、痛いものは痛いんですよね。

「じゃあ、おまじないをかけてあげる」

 私は痛いらしい膝に手をかざし、円を描くように動かして呪文を唱えます。

「痛いの痛いの、飛んで行け~」

 この時心を落ち着かせる魔法を使うのがポイントです。

「どう?」
「痛く、ない……痛くないよ! お祖母様、凄い!」

 おっふ……百五十Lルル、いえ、五百Lスマイルいただきました、ありがとうございます! いやホント孫かわいすぎです!

「そ、なら良かったわ」

 荒ぶる内心を隠しつつ、笑顔でその、あの人と同じ綺麗な赤い色をした髪の頭を撫でてあげます。

 すると横でエルジネルが羨ましそうな顔をするじゃないですか。おばあちゃん、悩殺されちゃいましたよ?

「エルジネルも、アルジーネを励まそうとして、偉かったわね。さすが、お兄ちゃんね!」

 そう言ってしっかりエルジネルの頭も撫でてあげます。こちらは、私と同じ銀髪です。青みがかってはいませんがね。

「う、うん! 僕もう十二歳だもん! 当然だよ!」

 ディアスからスズを取り戻しておよそ千年。
 あの後、ディアスは往生際悪く新たに神としての身体を構築して私を殺そうとしてきました。しかしスズの、アーカウラの人間としての身体を無くしたのですから、タイトゥース様と宰相様が手を出せない理由も無く、二柱が来てサクッと滅ぼされていました。私、めちゃくちゃ苦労したんですがね……。いや、仕方なかったんですけども……。

「ただいまー」
「ん、姉様、ただいま」

 おや、帰ってきたみたいですね。

「あ、スズネ祖母さま、ブラン祖母さま!」
「ただいま、アルジーネちゃん!」

 先程まで泣きそうになっていた女の子の姿はどこにもないみたいですね。元気に突撃していきました。

「ほら、エルジネルは行かなくていいの?」
「ぼ、僕はもう十二歳なんだから、あんなことしなくて大丈夫!」

 ふふ、強がっちゃって。ちょっと涙目になってるのが、また可愛いところですね。

 ええ。二人もご覧の通り。
 ディアスが滅びたことでブランがかけられた神呪も解け、契約通りスズも生き返らせて貰えました。
 ついでに、王様からの報酬として私のスキルも戻して貰えましたよ。〈原初なる万物の王アザトース〉と〈無形Ubbo-の祖Sathla〉だけは、多少劣化したものでしたが、特に前者は強力過ぎますからね。十分です。大陸くらいは吹き飛ばせる[破滅齎すカタストロフィツク・極超ノヴァ・新星の審判トライビユーナル]を、ほぼノータイムで撃てるスキルとか、怖くて地上では使えませんよ……。

「エルジネル、いい子に、してた?」
「う、うん!」

 エルジネルったら、顔真っ赤にしちゃって。
 まぁ、ブランも今じゃ、見た目はすっかりお姉さんですからね。だいたい、人間でいう二十代前半というところです。それに対し、スズは殆ど変わっていません。

「む、胸は成長したんだから! ……ちょっとだけ」
「「?」」

 あー、はいはい。可愛いですがその辺にしておいた方が良いですよ? 悲しくなります。

 そうそう、スズと言えば。
 スズがあのクソ女神にあんな簡単に乗っ取られたのは、私の〈原初なる万物の王アザトース〉と【魔王】に仕掛けられていた仕掛けと同様のものが、〈勇者〉スキルと【勇者】の称号に仕込まれていたからだったみたいです。
 そちらは宰相様が処理してくださいましたから、もう心配はありません。

 代わりに、力が強すぎてアーカウラを直接覗けないという王様の、目や耳の役割を押し付けられてしまいましたが。
 つまり私の見るもの聞くものは全て、王様に筒抜けというわけです。
 というか、理由が量子のそれみたいですね……。存在のスケールがそれくらい違うということなのでしょう。

 と、ブランの話です。
 ブランはかなり成長して大人になった上、後から駆けつけてきた『万物の母』から加護を受けてましたから、妙に色っぽくなってしまって……。熾天使の如き可愛さも相変わらずですし、そりゃあもう、可愛いですよ?
 まぁ、だからと言ってブランに手を出したら、誰だろうと許しませんがね……?

「ヒェッ……!」
「お姉ちゃん、どーどー」
「あ、あら、ごめんなさい……?」

 二人、特にエルジネルを怯えさせてしまいました。反省反省。

「そうそう、なんかね、ヌーヴ共和国の人たちが、ここまでの道を作りたいって言ってたから、許可出しちゃった。良かったよね?」

 ヌーヴ共和国というのは、聖国が滅んだ跡地に出来た国の一つです。
 当時より、私はこの西大陸北部の支配者という事にされていました。更に土属性を司る【調停者】に任じられてしまったものですら、その役目として属性のバランスを保つために、本拠地をこの場に移す必要もありました。そんなこんなの、まぁ、成り行きで本当に支配者となってしまった訳です。

「まぁ、いいんじゃない?」

 とは言え、別に女王として君臨しているわけでは無いんですがね。私が彼らに自治権を認める形です。

 私が土を司る【調停者】についた事で崩れていたバランスが修正され、砂漠の適度な緑化が進んだのですが、その過程で私の住むこの古城――元は聖国の王宮です――の周囲が森と化し、所謂魔境となりました。彼らが作りたいと言っている道というのは、その魔境を越えるための道ですね。

「そういえば、今日ってお祖母ちゃんがくる日じゃなかった?」
「ええ。今アリスたちが迎えに行ってるわ」

 この場所には結界が張ってあるので、アルティカでも直接転移して来れませんからね。

 と、噂をすればなんとやらです。

「マスター、アルティカ様をお連れしました」
「ありがとう、アリス」

 コスコルとアリスは、スズ同様殆ど変わっていません。まぁ、アリスには元々の大きさで負け……わかりましたから、スズ、そんな睨まないでください。

「久しぶりね、アルジェちゃん、スズネちゃん、ブランちゃん!」
「久しぶりですね」
「えぇ、あの人の葬式以来、三百年ぶりくらい、かしら? プリームスも」
「そうだね」
「ん」

 ……そうですか、あの日から、もうそんなに経ったんですね。

「ほーら、なに感傷に浸ってるのよ。……それとも、今更後悔しちゃってる?」

 アルティカが茶化すような声音で、でも、真剣に聞いてきます。ですから私は、笑顔で答えるんです。

「全然。後悔なんてするわけないじゃない。私が選んだ道よ。……それに、幸せだったもの。あの子が産まれて、そして、今じゃこの子たちもいるしね」
「……そっ」

 アルティカは私の顔を見て、微笑みました。

「それはそうと、なんでプリームス伯父さんまでいるの? 議会の方は?」
「ほっほ、見ての通り、私はもう老いぼれ。プリームスの名は息子に譲ったのじゃ」

 本当に、老けましたね……。『上位森妖精ハイエルフ』である彼がここまで老いたという事は、寿命が近いという事です。

「そっか……。じゃあ、ゆっくりしてって!」
「そうさせてもらうよ」

◆◇◆
「それじゃあ、今日明日は、この子たちをよろしくね」
「ええ、任せてちょうだい!」

 アルジーネとエルジネルをアルティカたちに任せ、二日間ほど出かけます。五人揃ってというのは、いつぶりでしょうか。

「お祖母様たち、いってらっしゃい!」
「いってらっしゃーい!」
「ええ。二人とも、曾お祖母様の言うことをよく聞くのよ?」
「「うん!」」

 最後に二人の頭を撫で、五人で[転移]します。行き先は、リムリアです。

 一瞬視界が明滅すると、そこは懐かしい談話室です。魔法で保護されたこの屋敷は、当時のリムリア公爵より譲り受けた千年前から、殆ど変わっていません。ここだけ、時間が止まっているようです……。

「「「お帰りなさいませ、アルジュエロ様、スズネ様、ブラン様」」」

 談話室から廊下に出ると、屋敷の管理を任せている今の仕様人たちが並んで出迎えてくれました。もちろん当時とは全く違う顔ぶれですが、中には彼らの子孫も混じっています。

「あなた達がここを管理してくれて助かってるわ。いつもありがとう」
「い、いえ、私どもは雇われの身ですから!」

 そう言って謙遜したこの家令は、セバンの子孫ですね。

 屋敷から馬車に乗り、領主の屋敷を目指します。
 時間があったので、少し遠回りをして中層区の方を通ってもらいました。

「……ここらへんは、あんまり変わってないね」
「そうね……」

 スズがそう言ったのは、叔父さんが経営していた軽装備専門店の前を通った時です。
 ちょうど、お客さんを店主らしきエルフの女性が見送っているところでした。

 街並みは、たしかに変わっていません。多少魔道具の類が増えた程度です。人通りは、少し少なくなりましたが、それだけです。

 でも、冒険者ギルドにリオラさんは居ませんし、『星の波止場亭』にメルちゃんはいません。この街の当時の知り合いは、みんな、死んでしまいました。

 上層区に着くと、道行く人の服のデザインや素材が千年前と変わっていることがわかります。馬車ではなく宙に浮く浮車うきぐるまという魔道具に乗っている人もいますね。

 私とスズ、ブランの三人は、ただ、無言で窓の外を眺めます。

 公爵邸に着くと、現公爵とその娘でリリによく似た、日本だと高校生くらいの少女が出迎えてくれました。

「【調停者】アルジュエロ様、その眷属の皆様、お待ちしておりました」

 現公爵が言います。
 彼には、レオンの面影は殆どありません。千年経ってますからね。

 今回ここに寄ったのは、ついでです。私たちと、それから公爵たち親子が用があるのは、王都リベルティアですから、別にこのまま移動しても構いません。
 とは言え、一応一般に知られる私の今の対外的立場は、『吸血族』の王太后と西大陸北部の庇護者の二つですから、公爵側からすれば外聞上一度屋敷でもてなさない訳にはいかないのです。

 そんなわけで、一泊して翌朝に出発です。

「公爵、リムレイアはどう?」
「はい。既に街の経済は軌道に乗り、まだまだ住民も集まって来ております。樹海との均衡も守られておりますし、代々辺境を任されている身として、近いうちにあちらへ領都を移すことになるでしょう」

 ふむ。それは良いですね。
 領主家族があちらへ移動する事は少し寂しいですが、ミズネと交渉した甲斐があったようです。
 この千年でリベルティアはかなり樹海に進出しました。それが行き過ぎた結果、ミズネこと水龍ミルズネアシアが【調停者】として王国に敵対しかけたのです。
 さすがに見捨てるのは忍びなかったので、私が交渉に赴いた結果、リベルティアは今の位置を樹海に進出して良い限界ラインとして認められ、そこに新たな街を作ることになったんです。それがリムレイアですね。

「そう。ならいいわ。リリィの修行はどうかしら?」
「は、はい! お姉様に教えていただいた方法を続けて、今ではもう、好きな強さで魔法を使えるようになりましたっ!」

 顔を赤らめ、身を乗り出して私の事をお姉さまと呼ぶあたりも、リリそっくりです。
 先祖返りで魔力が急増した事と言い、彼女、リースリーネは、案外本当にリリの生まれ変わりなのかもしれませんね。

◆◇◆

 翌朝、予定通り二人も連れて、七人で王都へ〈転移〉します。

 今回はリリィがいますから、例の秘密の部屋に転移する訳にはいきません。というわけで、転移先はローズの執務室です。

「っ!?」

 妙齢に見える女性が、突然現れた私たちに驚いて臨戦態勢を取ります。
 あーあー、急に立ち上がるものですから椅子が倒れてしまいました。傷がついてても、私のせいじゃありませんからね?

「……なんだ、アルジェか。ビックリしたじゃない」

 ええ。この千年でいくらか大人っぽくなったローズです。

「ここに転移して来れる人なんて、そんないないでしょ。……久しぶりね」

 そう微笑みかければ、彼女も、見慣れた笑みを浮かべて返してくれます。

「ええ。五百年ぶりってところかしら? ここ暫くは、私が忙しくしてたから……」

 まぁ、グローリエス帝国が三国協定の更新を拒んで、海洋国家テラリアに侵略戦争を仕掛けてましたからね。
 セフィロティアが協定に則り、テラリアを支援しましたから、グローリエス帝国が勝てる筈も無く。敗戦後にも内戦が百年単位で続いていました。
 諜報のトップであるローズは、平定後も含めてそりゃあ忙しく働いていたというわけです。

「何のために私とアルティカがあの転移装置を作ったと思ってたのかしらね? あのボンクラ皇帝は」
「まったくよ……」

 ローズだって言いたい事が無いわけありません。不満を隠すつもりもなく嘆息しています。
 私も、この五百年で色々話したい事が溜まりまくってしまいましたよ。

 と、そんな私たちの様子に気を使ってか、他のみんなは先に行ってしまいました。リリィも憧れのローズと色々話したい様子でしたが、ごめんなさいね。今は、譲ってもらいます。

 そんな感じで、この五百年を取り戻すよう、沢山の事を話しました。それはもう、沢山の事を……。

「……それにしても、もう瓜二つね。元々そっくりだったけど」

 二杯目のお茶が無くなった頃、私が切り出します。

「ええ……。アルジェと初めて会った時と、同じ歳になったわ……」
「……そう」

 彼女の、彼女たちの種族の寿命は、およそ二千年ですから、そうなるのは、自然な事です。

「……」
「……」

 暫く、食器の擦れる音と、時計の針の音しか聞こえない時間が続きます。

「……そろそろ、時間ね」
「……ええ、そうね」

 私の言葉に、ローズが時計を確認して返しました。

「……アルジェの生まれた世界って、もっとずっと前から、時計があったのよね」
「そうね」

 アーカウラで地球にあるような時計が発明されたのは、ここ百年程のことです。

「……時って、残酷ね」

 時計を見つめるローズの顔は、私からは見えません。

「…………そうね」

 ローズの部屋を出て、儀礼の為の部屋へ向かいます。
 今日は、身内だけの、非公式の集まり。
 公式のものは後日行われますが、今は、私たちだけです。

「アルジェ、久しいな」
「久しぶりね~」

 『闇森妖精ダークエルフ』のジュリウスは、見た目は変わりませんが出会った当時より威厳があります。王として相応しいものとなった、という感じですかね。
 こちらは、公式の場で時折会う機会がありますから、前回会ってから百年も経っていません。

「ええ。アイリスはこの間会ったばかりでしょう?」
「あら? そう言えばそうね~」

 彼女とは偶にお茶をしていましすから。千年経っても、あまり変化がないのが彼女です。『水妖精ウンディーネ』は妖精種の中でも長生きですからね。

 ミカエルは……数百年の寿命を遠に迎えています。彼らしい、爽やかな笑みを浮かべた最後でした。

 天寿を全うしたのは、宰相だったヴェルデと元帥のアリエルもですね。ジュリウスたちの後ろに控えているのが、当代の宰相と元帥です。宰相はヴェルデと同じ『闇森妖精』、元帥の子は、『猫人族』。ミカエルの子孫で、ある公爵家の現当主です。一応というレベルですが、私の教え子でもあります。

 そうこうしている内に、式の用意が整ったようです。

 私たちは決められた席に着き、そして、祭壇に飾られた写真の、私と同じ身分の彼女に祈りを捧げました。

◆◇◆

 ……時は、残酷です。
 どれだけ願おうと、川に流れる水のように、ただ、流れていきます。

「あら、おかえりなさい」
「お祖母様だー! おかえりなさい!」

 あの波乱に満ちた、神々のレールを行く日々で、私は多くの人たちと知り合いました。
 でも、彼ら彼女らの殆どは、もういません。

「ただいま」
「ただいまー」

 まだ生きている人たちも、やがて会えなくなってしまうでしょう。

「ん、二人とも、いい子に、してた?」
「も、もちろん!」

 ローズで、長くて千年。
 この子たちは、もう少し長く生きるでしょうか……。

「確かに、二人ともいい子にしていたの」

 時は、残酷です。

「そか。プリームス伯父さんが言うなら大丈夫だね!」

 スズとブランの二人や、アリスとコスコル、それから、認めるのは癪ですが、アルティカがいなかったなら、私は自分の選択を後悔し、既に自死していたかもしれません。

「あー! スズネ祖母様、そんな事いうんだー!」
「あー、ご、ごめん、悪気は無かったから!」

 自死する事がなかったとしても、私は誰とも関わる事なく、手頃な山奥で隠居生活をおくっていたでしょう。
 
「ふふ、天下の『舞姫』様も、この子たちには勝てないようね?」
「ちょ、お祖母ちゃん、恥ずかしいからその二つ名で呼ばないでって!」

 もしそうなっていたら、もちろん、あの人の求婚を受け入れる事は無かったでしょうし、この子たちも産まれていませんでした。

「スズ姉様、照れてる」
「あーもう! ブランちゃんだって『影纒姫』って呼ばれるの、嫌だよね!?」

 今、こうして笑っていられるのも、……悲しみを抱えながらも、別れを恐れすぎず、前へ進めるのも、すぐ側で支えてくれた彼女たちのおかげでしょう。

「私は、嫌じゃない、よ? 寧ろ嬉しい。姉様たちと、お揃いだから」
「うっ……それは、ズルい…………」

 私の時間は、殆ど永遠です。

「お祖母様方、二つ名、カッコイイです!」
「僕も二つ名欲しい!」

 私のアルジュエロ・グラシアとしての生は、イブさんに【12/10^16のキセキ】なんていう称号を付けられるような、本当に極小の確率の奇跡から始まりました。

「ほら、この子たちもこう言ってるわよ?」
「う、うぅ……」

 それから色んなことがあって、神の一柱とあの子たちのために戦って、最後には、王様の使いっ走りのような役割を課されてしまいました。

「スズ、諦めなさい……私も諦めたから…………」
「お、お姉ちゃんまで……」

 王様も、私の目を通して、今のこの光景を見ている事でしょう。王様のために長い時間を捧げた、あの方の子どもたちと共に。

「うぅ~~、あーもう! わかったから!」
「ふふふ、冗談よ。スズネちゃんが嫌なら、呼ばないようにするわ」

 王様の為にタイトゥース様たちが敷いたレールは、あの時途切れ、私の歩んできた軌跡として残りました。

「か、揶揄われた!?」
「スズ姉様、可愛い……」

 しかし、私の軌跡はまだ、こうして続いています。これまでも、これからも。

「あら、ブラン、今頃気づいたの?」
「うんう、前から知ってた」
「なっ……!?」

 そしてその中には、沢山の輝石が詰まっています。
 今見ている、この景色のような輝石が。

「あー、スズネお祖母様、また顔が真っ赤! 照れてる!」
「~~~~っ!」

 私は、これからも生き続けます。こんな輝石を、もっと集める為に。

 ……この子たちと、一緒に。
 



 ―完―

~~~~
あとがき

読破ありがとうございます。
こちら、何年も前に私が初めて書いた作品でした。

右も左も分からないながらに、楽しく書いていた覚えがあります。

さて、現在、ファンタジー小説大賞が行われています。
それように思いっきりWebに寄せて書いた作品があるので、読んでいただけたら嬉しいです。

ついでに投票もしてもらえたらさらに嬉しいです。
(作品URL↓)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/173647773/723991105
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